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何歳まで働くべき?高年齢者の雇用ルールと老後資金を確保する手段を解説
何歳まで働くべき?高年齢者の雇用ルールと老後資金を確保する手段を解説

何歳まで働くべき?高年齢者の雇用ルールと老後資金を確保する手段を解説

2023/12/31・提供元:Money Canvas

近年、定年後の再雇用制度を活用して働く人が増えています。世界的にみても、日本は主要国のなかで高齢者の就業者数が高い水準にあります。

定年後も働く理由として、「家計の補助・学費等を得たいから」をあげている人が目立ちます。


そこで今回は、日本の高年齢者雇用に関する現状と、老後資金を貯めるための方法を解説します。健康に働きつつ、資産形成も行いながら理想の老後生活を実現させる一助として下さい。



高齢者雇用の実態

老後資金が枯渇してしまう不安から、65歳以降も働く人が増えています。


高齢者の就業状況*1

総務省統計局の調査によると、2021年の65歳以上の就業者数は909万人と過去最多の結果でした。

65歳以上の就業者数は、2004年以降18年連続で前年と比較して増加しており、次の表を見ても明らかとなっています。

2

出所)総務省統計局 高齢就業者数の推移


また、2021年の高齢者の就業率は25.1%で前年と同率でした。しかし、65~69歳の就業率は2021年に初めて50%を超えて50.3%となり、70歳以上は18.1%となっています。

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出所)総務省統計局 高齢者の就業率の推移


いずれも右肩上がりで上昇していることから、多くの高齢者が就業して収入を得ていることが分かります。


65歳までの雇用機会の確保*2

現行の高年齢者雇用安定法では、定年を65歳未満に設定している企業に対して下記のような措置を取ることが求められています。


  • 65歳までの定年の引上げ
  • 65歳までの継続雇用制度の導入
  • 定年の廃止

つまり、60歳以降も就労を希望している労働者は、65歳まで働ける法整備がされています。


70歳までの就業機会確保(努力義務)*3

令和3年4月1日に高年齢者雇用安定法が改正され、事業主に対する70歳までの就業確保措置が「努力義務」となりました。

定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主、または65歳までの継続雇用制度を導入している事業主に対して、下記のいずれかの措置を取るように努めることが求められるようになりました。


  • 70歳までの定年引き上げ
  • 定年の廃止
  • 70歳までの継続雇用制度の導入
  • 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  • 70歳まで継続的に事業主が自ら実施する社会貢献事業、または事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業の事業に従事できる制度の導入

現行法ではあくまでも「努力義務」となっているため、必ずしも70歳まで希望通りに働けるとは限りません。


老後資金を貯める方法

長く働く以外にも、老後資金を貯める方法はいくつかあります。以下、老後資金を貯めるための具体的な方法を解説していきます。


NISA*4

NISAとは、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。

令和5年度税制改正の大綱等において、2024年から新しいNISA制度の運用が開始されました。


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出所)金融庁 新しいNISA


新しいNISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠が設けられ、非課税保有期間は無期限です。

また、つみたて投資枠と成長投資枠が併用できます。


それぞれの枠を合わせた年間投資非課税上限額は360万円、生涯非課税投資枠は1,800万円となるので、老後資金を作るうえで有用な手段となるでしょう。


iDeCo*5

iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことで、加入は任意の私的年金制度です。

基礎年金や厚生年金などの上乗せとなる年金制度で、自分で申し込み、掛金を拠出したうえで運用方法を選ぶ仕組みとなっています。

原則60歳以降に掛金と運用益の合計額を給付として受け取れるため、現役の頃からコツコツと老後資金を用意できる制度です。


8

出所)iDeCo公式サイト iDeCoの特徴


なお、iDeCoには下記の3つの税制優遇制度があります*6。


  • 掛金が全額所得控除 : 拠出している期間、所得税・住民税が軽減される
  • 運用益が非課税で再投資される : 運用商品を運用して得られた利益は非課税で再投資される
  • 受給時に所得控除が適用される : 一時金で受給する場合は「退職所得控除」、年金で受給する場合は「公的年金等控除」が受けられる

原則として60歳に達するまで掛金の引き出しができないことから、老後資金作りに特化していると言えます。


付加年金*7

付加年金とは、国民年金第1号被保険者・任意加入被保険者が利用できる制度です。

国民年金保険料に月額400円の付加保険料をプラスして納付することで、65歳以降に受給できる老齢基礎年金に付加年金が上乗せされる仕組みとなっています。

受給できる付加年金額は「200円×付加保険料納付月数」で、老齢基礎年金と合わせて受給できる終身年金です。

老後資金の不安を軽減したいと考えている、個人事業主などの方は活用を検討するとよいでしょう。


働きつつ早い段階で老後資金作りに着手しよう

老後資金を確保する方法として、長く働くことは有効な手段です。

実際に65歳以降も働く人は増えていることから、年金に加えて自分自身で稼ぐことの重要性は高まっています。

また、働くことに加えてNISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用して、資産形成を行うことも大切です。

自分の望む老後生活を実現させる手段の一つとして、早いうちから資産形成を行う意識を持つとよいでしょう。


<関連コラム>
年金にはどんな種類がある?老後資金を把握して安心した老後生活を送ろう


※本稿執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客様自身の判断でお取り組みをお願いいたします。
NISAは2024年度から制度変更しています。

詳しくはコチラ


出典
*1 総務省統計局 高齢者の就業
*2 厚生労働省 高年齢者の雇用
*3 厚生労働省 高年齢者雇用安定法改正の概要p.2
*4 金融庁 NISAとは
*5 iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の特徴
*6 iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)のイイコト
*7 日本年金機構 付加年金

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