昨今の物価高騰により、家計見直しの必要性を感じている人も多いのではないでしょうか。また、新しいNISAが始まったことで、投資に回せる余剰資金を確保したいという人もいることでしょう。
本記事では、家計見直しのポイントについて、節約効果が大きい固定費から支出を減らす方法を解説します。
さらに、変動費の節約に向けて注意すべき点を紹介します。毎月の支出と照らし合わせ、節約できるところがあるか確認してみましょう。
家計の見直しをする際には、支出を「固定費」と「変動費」に分けて考えてみましょう。
固定費とは毎月決まった金額の支出があるもので、例としては家賃や通信費、保険料が挙げられます。変動費は、月によって支出の有無や金額が大きく変わるもので、食費や被服費、娯楽費等があたります。*1
固定費・変動費を比べたとき、より節約効果が大きいのは固定費です。固定費は家賃や保険料といったそもそもの金額が大きく、一度支出を減らすと節約効果が毎月続くためです。さらに、見直すタイミングが早いほど、生涯を通じた節約効果が大きくなります。*1
では、具体的にどのような支出を、どのように減らすと良いのか、費目ごとに考えてみましょう。
家賃や住宅ローン返済は、毎月の支出の中で特に大きな割合を占めているのではないでしょうか。簡単に削減できるものではありませんが、今がベストの状態であるかを確認することが大切です。
例えば賃貸住宅に住んでいる人であれば、現在の家の面積や駅からの距離が、自らのライフスタイルに本当に必要であるか考えてみましょう。
家具や荷物を減らすことで、より面積の小さい家に引越す選択肢もあります。また、在宅勤務が中心で通勤頻度が少ないのであれば、駅からの距離が遠い物件でも問題ないかもしれません。築年数や設備を変えずとも、面積や駅からの距離の条件を見直すと、家賃を抑えやすくなります。家賃が月1万円下がると、年間12万円の節約になり、それが毎年続く効果は非常に大きいものです。
また、住宅購入をした人であれば、住宅ローンの借入先見直しによって、毎月の支払いが削減できる可能性もあります。いくつかの銀行に見積もりを取って、現在の支払いと比較してみると良いでしょう。*2
※家計を助ける住宅費用の補助金とは?個人で利用可能な制度についてはこちらで確認!
総務省統計局の家計調査報告によると、二人以上の世帯における水道光熱費の平均は23,855円と月の消費支出合計の1割弱を占めています。*3
電気代については、2016年4月より電気小売業の参入が自由化され、消費者が電力会社や料金メニューを選べるようになりました。結果、電気とガス・電気と携帯電話といったセット割引プランや、ポイントサービスが登場し、自らのライフスタイルに合った選択ができます。*4
現在の契約先が、電気・ガスの使用量に対して最適であるのか、さらに安い電力会社やプランがあるか、検討してみると良いでしょう。引越しを伴う家賃の節約に比べると、契約見直しは手軽にできる節約方法であり、一度節約できるとその効果は長く続きます。
※エアコン、冷蔵庫、照明器具を活用して省エネ・節約!効果はどれくらい?こちらで解説しています。
毎月のスマホやWi-Fiの支出はどれくらいでしょうか。通信費の節約には、プランの見直しと格安SIMへの変更が効果的です。
契約時には、自分に必要な通信量(ギガ数)や通話量(通話時間)を踏まえてプランを決めているはずです。しかし、例えば、ライフスタイルの変化によって通信量の少ないプランで対応できる可能性はないでしょうか。もしくは、通信会社が新たな料金プランを開始しているかもしれません。定期的に現在のプランが適切であるか、より節約できるプランはないか検討してみましょう。
さらに、大手キャリアから格安SIMへの変更も大きな節約効果が期待できます。格安SIMで契約した場合の毎月の料金と、現在の料金を比較してみましょう。
現在契約している生命保険・医療保険・損害保険等について、その目的や必要性、内容に過不足がないか把握できているでしょうか。家族構成やライフスタイルによって、保険の必要性は大きく変わります。不要な保険に加入したままになっていないか、確認してみましょう。
また、販売代理店を通さず、インターネットで保険会社と直接契約をするダイレクト型の保険という選択肢もあります。ダイレクト型は代理店を通さないことから保険料を安くできるメリットがあり、ダイレクト型への契約変更も家計の節約には効果的です。
音楽・映画の定額配信、食品・化粧品の定期配達が主流のサブスクリプションは、一度サービスに登録すると、定期的にクレジットカードや銀行口座からの引き落としが発生します。その都度、支払いや購入をする手間がかからず便利な一方、利用していない・必要のないサービスに支出し続ける危険性もあります。
内閣府の「令和2年度年次経済財政報告」によると、サブスクリプションの市場規模は、2019年度の6,835億円から2024年度には約1.8倍の1兆2,117億円にまで拡大するといわれています。どんどん身近になるサブスクリプションですが、不要なサービスを継続していないか、定期的に確認する習慣が必要です。*2*5
固定費の節約ポイントについて解説しましたが、変動費はどのように節約をすれば良いのでしょうか。
毎月、支出金額が変わる変動費は、自分が何にどれだけ使っているか把握しにくいという特徴があります。そのため、変動費の節約を考える上ではまず、正確な支出を把握することが大切です。支出内容の可視化によって、節約の余地がどこにあるか見えてきます。*6
例えば、食費が高く、その内訳としてお惣菜やテイクアウトといった割高な商品の購入頻度が高かった場合、自炊の割合を増やすといった改善策があります。食費への対策として、ふるさと納税で食材・食品を返礼品として受け取る方法もあるでしょう。また外食費が高い人は回数を意識する、行くべきタイミングに限定するといった方法があります。
支出の把握をした上で、際立って支出が多いものや、重要でないけれども支出が多い項目から節約を検討してみましょう。
※家の片づけをするとお金がたまる?片付けと家計の驚きの関係とは?
支出の把握にあたって、家計簿をつけるというのが選択肢の1つです。
しかし、現金による支払いを中心にしていると、レシートを家計簿に記入する作業が発生してしまいます。
その場合、支払いをクレジットカードに統一すると、クレジットカード会社の発行する支払い明細が家計簿の役割を果たしてくれます。また、クレジットカードを家計簿アプリに連携させることで、支出を費目別に分類し、何にどれだけ使っているかを簡単に把握できます。*6
できるだけ手間をかけずに支出を把握し、継続的に固定費・変動費の支出を観察することが大切です。
家計の見直しをするにあたっては、効果の大きい項目から取り組んでみましょう。
一度節約できる状態に設定すると、継続的にその節約効果を享受できる固定費の見直しから始め、次に支出の大きい変動費の節約へと進めることで、効率的に家計の見直しができます。
支出の大きい変動費がよくわからない場合、支払いにクレジットカードを使い、大まかでも支出の内訳を把握することが必須です。家計においてウェイトの大きい項目から節約を実践していきましょう。
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意下さい。
出典
*1、三菱UFJ銀行「狙うは収入アップよりもコストカット!年間50万円浮く方法とは?」
*2、固定費を節約する方法は?家計の見直しポイントを解説
*3、総務省統計局「家計調査報告2023年12月分 p.15」
*4、経済産業省資源エネルギー庁「電力の小売全面自由化って何?」
*5、内閣府「デジタル化による消費の変化とIT投資の課題」
*6、mycard「家計の節約術を知って貯金しよう!すぐできる4つのコツを紹介」