世界中で気候変動が話題になる中、持続可能な社会を維持する取り組みが拡がってきました。
そのひとつがCO2の削減であり、各家庭でも省エネをはじめとした草の根の取り組みも定着してきています。
そのメリットを個人に置き換えると、例えば消費電力が少なくなることによる電気代の削減などがあるでしょう。
そこで本記事では、特にエネルギー消費量の多い家電であるエアコン、冷蔵庫、照明器具などをメインに、省エネや、それにともなう節約効果についてご紹介します。
地球温暖化を防止するために、家庭でもCO2排出削減が求められています。
ここでは家庭のエネルギー消費量の実態や、家電製品別の電力消費割合についてみていきましょう。
下図1は、経済産業省が調査した最終エネルギー消費の部門別伸び率のグラフです。
1973年の頃と比較すると、産業部門以外のエネルギーは全て大幅に増加しています。
家庭部門も約1.9倍の伸び率です。
図1
引用)経済産業省 資源エネルギー庁「省エネって何?」
家庭のエネルギー消費量が増えたのは、世帯数の増加やライフスタイルの変化が要因の一つとされています。
2018年度における家庭のエネルギー消費量の用途としては、動力・照明などが最も大きく、給湯、暖房、厨房、冷房と続いており、住宅設備機器や家電製品で省エネ対策を立てることが必要です。*1
環境省がまとめた「令和4年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査」によれば、世帯当たりの年間CO2排出量(電気、ガス、灯油の合計)は、2.57トンとなりました。
各エネルギーの内訳は電気が66.9%、都市ガス14.8%、LPガス5.8%、灯油が12.5%で、家庭におけるエネルギー使用量の割合は電気が一番多い結果です。*2
このようなことから家庭で省エネを実現するには、電気の使用量を抑えることがポイントといえます。近年では節電効果の高い省エネ家電が多く開発されているので、古い家電製品を使っている場合は買い替えするのも良い方法です。
家庭における家電製品別の電力消費割合もみていきましょう。
下図2は経済産業省がまとめた「家電製品別の電力消費割合」のグラフです。
参照すると、電力消費量はエアコン、冷蔵庫、照明だけで5割以上を占めています。
図2
引用)出典:経済産業省「家庭でできる省エネ」
特に多くを占めているのがエアコンで、夏季は34.2%、冬季は32.7%で約3割となりました。冷蔵庫も1日中使用しているため2番目に多く、照明も約1割です。
したがって、家庭で省エネを実現するには、電気使用量の多い「エアコン」「冷蔵庫」「照明」の家電をチェックすることが重要です。
ここでは、家庭でできる省エネ行動について解説します。
家庭でできるエアコンの省エネ行動は以下の通りです。
・カーテンで窓からの熱の出入りを防ぐ
・フィルターをこまめに掃除する
・室外機の周りに物を置かない
・扇風機やサーキュレーターを併用して風向きを上手に調整
・室内温度を適温に保つ*3
外出するときはカーテンを閉めておくと効果的です。
夏は遮光効果があるので部屋の温度上昇を抑え、冬は冷気が入り込んだり室内の暖かい空気が外部に漏れたりするのを防ぎます。
室内温度は夏の冷房時の室温は28℃、冬の暖房時の室温は20℃を目安にしましょう。
冷房時の温度設定を1℃高くすると夏は約13%(約70W)、暖房時の温度設定を1℃低くすると約10%の消費電力の削減になります。
扇風機やサーキュレーターをエアコンと併用すると、部屋の中全体に空気が循環するため、効率よく温度を調整することが可能です。フィルターが目詰まりしていると効率よく冷暖房できないのでこまめに掃除するとよいでしょう。冷房時で約4%、暖房時で約6%の消費電力の削減になります。室外機の周りに物を置くと冷暖房の効果が下がるため、吹き出し口の近くは片付けてすっきりさせておくようにします。
冷蔵庫に関する省エネ行動は以下の通りです。
・物を詰め込みすぎない
・短い時間で開閉をする
・熱いものは冷ましてから入れる
・壁から適切な間隔で設置する
・パッキンが傷んでいたら交換する *4
食材を詰め込み過ぎると庫内が均一に冷えなくなり、余分な電気を消費するため、適度な空間で冷やしましょう。ドアの開閉が多いと冷気が逃げるため、無駄な電気を使います。
熱いものをそのまま入れると庫内温度が上昇するため、冷ましてから入れるのがポイントです。
冷蔵庫の周囲を隙間がない状態で設置すると、庫内の食品から奪った熱を放熱しにくくなるため電気代が余計にかかります。パッキンが傷んでいると隙間から冷気がもれるので劣化してきたら交換することも必要です。*5
照明の消費電力を抑える方法はこちらです。
・照明器具を掃除する
・点灯時間を短くする
・待機消費電力を削減する
・省エネ型の照明器具に買い換える *6
必要のない照明はこまめに消すようにしましょう。
照明器具が汚れていると照度が暗くなるので、キレイに掃除しておきます。
リモコン機能付きの照明を使用している間は約1Wの消費電力がかかるため、照明のスイッチの電源を切る習慣をつけて待機消費電力を削減するのも効果的です。
最新型の照明器具は省エネ効果が高いため、LED式等消費電力の少ない照明器具に買い換えるのもよいでしょう。
最近の家電製品は昔のものより、省エネ性能が大幅に高くなっています。
ここでは、最新の家電製品の省エネ性能について解説します。
古い家電を見直すことで電気代を節約することが可能です。
まだ使えるともったいないと思いがちですが、買い換えたほうが省エネにつながり、お財布 にもやさしいことがあります。
エアコンの場合、最新のエアコンは省エネ性能に優れているのが特徴です。
一般財団法人 家電製品協会によれば、2012年の製品と2022年の省エネタイプを比較すると、消費電力を年間で約15%削減できます。年間の電気代が約4,120円お得になるのが嬉しいポイントです。*7
冷蔵庫も省エネ技術の進歩により省エネ性能が高くなり、2012年の製品が420kWh/年〜470kWh/年の消費電力に対し、2022年の製品は273kWh/年となり大幅に削減しました。
年間の電気代が約4,560円〜約6,110円も節約できます。*8
従来の白熱電球を電球型LEDランプに交換するのも効果的です。消費電力が年間で約86%の削減となり、年間電気代が約2,880円減らせます。*9
家電の省エネ化は目覚ましく進歩しており、古い家電を使い続けるより電気代がお得になります。エアコン、冷蔵庫、照明器具など家電の省エネ性能は、緑マークの「統一省エネラベル」で確認することが可能です。
「何年度の物であるか」「多段階評価」「年間の目安電気料金」などが表示されています。(下図3)
図3
引用)環境省「省エネ家電に買換えよう!」
多段階評価基準は省エネ性能を5段階で評価しており、省エネ性能の高い順に5つ星から1つ星で表示しています。優れた省エネ性能の家電を利用したいならば、最高基準である5つ星製品を選ぶとよいでしょう。
エアコン、冷蔵庫、照明器具など私たちは毎日のように家電製品を使っています。
近年では家庭におけるエネルギー消費量が増加していることもあり、地球温暖化を防ぐため、各家庭で省エネ行動を実行することが求められています。
省エネを心がけることで家計もお得になります。
「地球とお財布にやさしい」省エネ行動を実践してみてはいかがでしょうか。
まずは家計簿をつけて電気代などを確認してみましょう!
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意下さい。
出典
*1、経済産業省「省エネって何?」
*2、環境省「令和4年度家庭部門の CO2排出実態統計調査結果について(速報値)」P1
*3、環境省「家庭でできる節電アクション」③エアコンで節電!
*4、環境省「家庭でできる節電アクション」④冷蔵庫で節電!
*5、一般財団法人 家電製品協会 「省エネにつながる冷蔵庫の使い方ポイント」
*6、環境省「家庭でできる節電アクション」⑤照明で節電!
*7、一般財団法人 家電製品協会 「エアコンの進化した省エネ技術と技術トレンド」
*8、一般財団法人 家電製品協会 「冷蔵庫の進化した省エネ技術と技術トレンド」
*9、一般財団法人 家電製品協会「照明器具の進化した省エネ技術と技術トレンド」