-よろしくお願いします。
-はい、大学を卒業してからずっと今の証券会社で働いています。
-そうですね。もちろん沢山ありますよ。(笑)
-僕はやっぱり『ITバブルの崩壊』ですね。
-リーマン・ショックもすごかったですけど、原因が明確でしたからね。
リーマン・ショックっていうのは、2008年に米国の投資銀行大手リーマン・ブラザーズが史上最大規模で倒産したことで発生した世界的な株価下落が原因なんですよ。ITバブルはそういう理由がよく分からなかった。だからこそ下落も止まらなかったですし、とにかく大変でしたね。
-1998年から2000年まで、株価が急激に上昇する『ITバブル』というものが起きたんです。
ITバブルの中心地はアメリカだったんですが、インターネット関連の銘柄が急騰して、たった2年で4倍近く急上昇したんですよ。ITバブルの頃は、アメリカの低金利政策のおかげでお金が借りやすかったこともあって、IT関連のベンチャー企業がどんどん設立されました。そのITベンチャー企業に投資家たちが次々と投資していくので、株価は急上昇していった、という状況でしたね。
-そうなんです。そのあとに、アメリカのFRBが「利上げ」を決定して、今までお金を借りていた人もお金を借り辛くなってしまった。だから投資家も「金利が高くて、もう借りられない!」って悲鳴を上げて、株を売却。そして急落。それが『ITバブル崩壊』です。
そのあとには、2001年にアメリカで同時多発テロが起きたので、またハイテク関係の株がすごく下がってしまって。10分の1くらいになったんじゃないかな。そんなことがあったから、大きい会社でも、このITバブル崩壊の時の方がリーマン・ショックよりきつかったと思う。
リーマン・ショックは段階的に下がったけど、ITバブルは突然崩壊したので、対処が出来なかったんですよね。
-ITバブル崩壊のときは、もうよく分からない状態。持っている商品を持ち続けた方がいいのか、売った方がいいのか、買った方がいいのか、誰も分からなかった。
リーマン・ショックのときには、日経平均株価が10,000円になって沢山のお客さまから電話がかかってきました。「こんなこと過去に経験がないから売却してくれ」って言われた時は、基本的に止めたんですよね。何故なら、理由が明確だから。その理由が解消されれば相場は戻ってくるから、持っておいた方がいいですよって何度も色んな人に言いましたね。
-相当嫌な思いをしたと思う。でも、当時のお客さまは何もしていないんですよ。というか、動けなくなっちゃったんですね。下がり方も緩やかであればどこかで損切り出来たのですが、すごい勢いで下がったので。とにかくダメージが大きかったですね。
-2000年4月だけで1割下落、その後2年間近く下落が続きましたね。多くのITベンチャー企業は倒産に追い込まれていましたし、日本の有名なIT企業の株も大暴落していましたよ。アメリカの同時多発テロもありましたから、回復するまでには相当な時間がかかったと思います。大体5年くらいはかかったんじゃないかな。
-はい、とにかく大変でしたね。大きい下落って考えると、みなさんリーマン・ショックの方が印象強いでしょうね。勿論、お客さまは大変だったと思いますが、金融機関で働いている側としてはITバブル崩壊したときの方が大変だったんじゃないかな。少なくとも、僕はそうですね。
-あると思います。でも、ITバブルとかリーマン・ショックみたいなことは起こりにくいんじゃないかな。というのも、過去にこういうことが起きて、みんな対策しているから、仮にすごく大きい下落があったとしてもすぐV字回復できる力を持っていると思います。2020年のコロナショックがまさしくそうじゃないかと思います。
-過去に〇〇ショックとか沢山あったけど、長く持ち続けていれば回復するので、持っている商品が下落したからといって、すぐに売却しないこと。そうしないと、運用していて嫌な経験しか残らないからね。マーケットの動きに一喜一憂せず、上手く付き合っていくことが運用のコツです!