親戚から受け取るお年玉など、子どもがもらったお金をどのように管理するかは家庭によって異なります。子ども用の銀行口座を開設して、預金をすることを検討する親御さんも多いでしょう。
そこで今回は、子ども名義の口座を開設する方法や、子ども名義の口座を持つメリットについて説明していきます。
気付きにくい注意点にも触れていきますので、ご参考にして下さい。
お正月は、子どもたちにとって一年で最もお金をもらう機会です。子どもたちはお年玉をどのくらいもらっているのでしょうか。
学研教育総合研究所の「小学生白書」によると、小学生全体の89.7%がお年玉をもらっており、平均総額は20,047円となっています*1。
出典)小学生白書Web版 学研教育総合研究所|学研
お年玉の使い道を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「貯金」(81.0%)、次いで「おもちゃ」(24.6%)、「ゲーム機・ゲームソフト(オンライン以外)」(21.0%)でした。
出典)小学生白書Web版 学研教育総合研究所|学研
お正月一回でこれだけもらえるならば、子どもの用の銀行口座を作り、きちんとお金を貯めたいと考える人は多いようです。実際、高校生にもなると、半数以上が自分名義の銀行口座を持っています*2。
出典)高等学校の金融教育必修化に関する意識調査(高校生と親のお金に対する意識) | Visa
年末年始はクリスマスやお年玉など、子どもがお金に触れる機会が増えます。子ども名義の銀行口座を開設するのは、この時期に考えてもいいかもしれません。
子ども名義の口座を開設し、活用するメリットは主に3つあります*3。
子ども用の預金を、生活費用の口座や親の口座とは別に管理することで、口座の管理が簡単になります。
同じ口座にお金を一緒に入れておくと、どこまでが子ども用の預金なのかがはっきりせず、必要なときに子どものお金を使ってしまうかもしれません。子ども専用の口座を作れば、お金をわかりやすく分けて管理できます。
子ども自身が名義を持つ口座で預金の進捗状況を確認し、将来の目標に向けてお金を貯める経験が積めます。親子で預金の管理を共有し、お金の価値と預金の重要性を学ぶきっかけになります。
通常、子どもの口座は進学や将来の夢のために使われますが、預金だけでは資金不足の可能性があります。
多くの場合、教育にかけられる費用は家庭の経済状況で決まってきます。
そのため、子どもの口座残高は親が提供できるサポートの限界を示し、子どもは現実を見据えながら将来の選択肢を考える機会となります。
たとえば、大学進学費用が不足している場合、どの大学に進学するか、アルバイトでお金を稼ぐか、奨学金を検討するかなどの選択肢を考えられるようになります。
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子ども名義の口座を開設する場合、3つの注意点が考えられます。
親が子ども名義の口座にお金を預ける場合、税務署がそのお金を子どものものと認めないことがあるため、年間110万円を超える贈与に贈与税がかかることがあります*4。
ただし、お年玉やお祝い金を子ども名義の口座に入れ、子どもがその口座の存在を知っている場合、この問題はほとんど起こりません。子ども名義の口座は、お金の使い方を学ぶために使うものとし、役割を明確にしておくことで問題を回避しやすくなります。
子ども名義の口座は、子どもが未成年の間は親が共同管理しますが、子どもが成人した後は、通常、子ども本人が管理するものです。
親が子ども名義の口座からお金を必要とする場合、子どもの承認が必要であり、子どもを通じて手続きをしないと引き出せません*5。
大学の学費など確保が必要な資金がある場合や子どもの口座管理能力に不安がある場合は、具体的な状況に応じて親名義の口座を開設するなど、賢明な貯蓄方法を選択することが重要です。
通常、口座が10年以上取引がない場合、休眠口座とみなされ、その資金は民間公益活動に利用されます*6。
口座を定期的に利用していれば問題ありませんが、子ども名義の口座を開設したまま長らく入出金が行われていない場合などは、注意が必要です。
銀行口座を開設する手続きは金融機関によって異なります。口座を開設しようとする金融機関の取り決めを確認することが重要です。
たとえば三菱UFJ銀行の場合、現時点では14歳以下は原則、親権者が来店して窓口で手続きします*7。15歳以上は本人が手続し、パソコンやスマホアプリ「スマート口座開設」、来店のいずれかで口座開設ができます*8。
【用意するもの】
・子どもの本人確認書類
・子どものマイナンバーが確認できる書類
・親権者(来店する人)の本人確認書類
・子どもと親権者の関係を確認できる書類
・印鑑(朱肉を使用するタイプのもの)
【書類の具体例】
・子どもの本人確認書類(マイナンバーカード、パスポート、各種健康保険証など)
・親権者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、各種健康
保険証など)
・子どもと親権者(来店する人)の関係を確認できる書類(住民票の写し、戸籍謄本・戸籍抄本、子どもの各種健康保険証+親権者の運転免許証など)
上記はあくまで一般的に求められる書類ですので、実際に口座を開設する際には、銀行のホームページで確認するか、窓口にお問い合わせください。たとえば、顔写真なしの本人確認書類は合計2種類の提出を求められる場合があります。
子ども名義の口座を開設する際は目的を明確にし、親子でお金の使い方や預金目標を話し合うことが重要です。贈与税の心配がある場合は税務署や税理士に相談するのもよいでしょう。
金融機関選びも重要で、口座開設の目的に合った金融機関を選ぶ必要があります。金融機関によっては、特別な金利や取り扱いサービスを提供している場合もありますので、子どもの将来のために配慮して口座を開設しましょう。
本稿執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
出典
*1小学生白書Web版 学研教育総合研究所|学研
*2高等学校の金融教育必修化に関する意識調査(高校生と親のお金に対する意識) | Visa
*3子供名義の銀行口座はメリットあり?開設の方法や注意点も|気になるお金のアレコレ〜老後の資産形成・相続に向けて〜三菱UFJ信託銀行
*4子ども名義の口座を作ろう ネット銀行で親も確認|日本経済新聞
*5子供名義の銀行口座はメリットあり?開設の方法や注意点も|気になるお金のアレコレ〜老後の資産形成・相続に向けて〜三菱UFJ信託銀行
*6長期間使用していない預金等のお取扱いについて | 三菱UFJ銀行
*7未成年の子どもの口座を開設したい。 | よくあるご質問 | 三菱UFJ銀行
*8「スマート口座開設」アプリ | 三菱UFJ銀行