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失業保険と失業給付の基本!給付要件を知って生活を守る
失業保険と失業給付の基本!給付要件を知って生活を守る

失業保険と失業給付の基本!給付要件を知って生活を守る

2023/08/06・提供元:Money Canvas

雇用保険(失業保険)とは、自己都合で退職または解雇された人の生活を守る社会保障制度です。今回は雇用保険(失業保険)の制度や、失業給付の内容について解説します。

今回は給与明細の受取時に確認しておきたい3つのポイントを解説します。


雇用保険(失業保険)とは、どんな制度?

雇用保険は社会保険の一つです。

社会保険とは、主に健康保険・年金保険・介護保険・労働者災害補償保険・雇用保険など、国民の生活を支える公的保険制度を指します。*1


雇用保険の目的は、失業した人や教育訓練を受ける人に対し給付を行い、労働者の生活の安定や就職の促進を図ることです。*2


労働者を雇用する企業(事業)側は、規模や業種に関わらず雇用保険に加入するため*3、雇われている労働者は雇用保険の被保険者となります。*4

保険料は事業主と労働者の双方で定められた保険料率に従い負担します。*5


雇用保険の給付内容と「基本手当」

雇用保険制度の給付内容

雇用保険で給付される「失業等給付」は、大きく分けると「求職者給付・就職促進給付・教育訓練給付・雇用継続給付」の4つに分類されます。*6


雇用保険制度の給付内容

図1 ハローワークインターネットサービス「雇用保険制度の概要」


一般的に「失業保険」と呼ばれている制度は求職者給付の「基本手当」のことが多く*2、失業者の生活の安定を図るために制定されています。*7


就職促進給付は、被保険者の再就職の援助・促進を目指し、教育訓練給付は資格取得などの労働者のスキルアップを支援します。*7


また、雇用継続給付では、家族を介護している被保険者を対象とした「介護休業給付」や、60歳から65歳までの雇用継続を促進するための「高年齢雇用継続給付」があります。


解雇時などに支給される「基本手当」とは?

「基本手当」は下記のいずれかの要件を満たす被保険者が、働く意思・能力があるにも関わらず就職できない状態にある場合に受け取れます。*8


  • 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算12ヶ月以上あること
  • 特定受給資格者または特定理由離職者の場合、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算6ヶ月以上あること

基本手当が支給される日数は、退職理由や被保険者であった期間などによって、下表のとおり異なります。


失業等給付について

図2 厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き(第 13 章 失業等給付について)」p.180


基本手当の支給額(基本手当日額)は、「賃金日額」に基づいて決まります。*9

原則、賃金日額は下記のとおり計算します(2023年7月時点)。


  • 賃金日額=離職した日の直前6ヶ月に支払われた賃金(賞与は除く)÷180

賃金日額の約50〜80%が基本手当日額であり、年齢区分によって上限額が定められています。


在職中でも対象となる雇用保険とは?

ここで、在職中でも対象となる「教育訓練給付」と「介護休業給付」について説明します。

教育訓練給付

教育訓練給付では、一定の要件を満たす場合、在職者でも離職者でも「教育訓練給付金」が支給されます。*10


教育訓練給付金には、「一般教育訓練給付金」、「専門実践教育訓練給付金」、「特定一般教育訓練給付金」の3種類があります。


教育訓練給付

図3 ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」を参考に筆者作成


図中にある教育訓練経費とは、指定教育訓練実施者に支払った最大1年分の入学金および受講料の合計額です。*10


受講できる講座は種類豊富で、専門学校でも学ぶことができます。

例えば、専門実践教育訓練の指定講座には、介護福祉士や看護師の養成課程のほか、AI・データサイエンスなど第四次産業革命スキル習得講座もあります。*11

介護休業給付

介護休業給付は雇用継続給付の一つで、在職者が一定の要件を満たす場合に介護休業給付金が支給されます。


  • 介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12ヶ月以上ある(令和2年8月1日以降に介護休業を開始した場合、上記要件を満たさなくても、完全月で賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上の月を1ヶ月と算定する)
  • 介護休業期間中の1ヶ月毎に、休業開始前1ヶ月あたりの賃金の80%以上が支払われていない
  • 就業している日数が支給単位期間毎に10日以下である

支給額は、下記の計算式で算出します(2023年7月時点)。*13


  • 介護休業給付の支給額=休業開始時賃金日額×支給日数×67%

支給日数は、「30日」または「休業終了日の属する支給対象期間については、当該支給対象期間の日数」です


介護休業給付は、配偶者や父母、子どもなど家族の介護のために休業を取得した被保険者が対象です。*12

職場復帰を前提とした休業取得者が対象であるため、退職が確定(予定)している場合は支給されません。


ほかにも、社会保険についてや、就業不能保険労災給付住宅ローンの基礎知識についてあわせて確認してみてください。

まとめ

雇用保険は、労働者の雇用の安定と就職の促進を目的とした公的保険制度です。


解雇されたときなどに受け取れる「基本手当」だけでなく、キャリアアップを応援する「教育訓練給付」や、介護による休業を支える「雇用継続給付」などもあります。


失業時だけでなく、多様な働き方の実現を支える制度となっていますので、要件を確認しながら給付制度を活用しましょう。


本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。

出典
*1金融広報中央委員会知るぽると「社会保険とは」
*2金融広報中央委員会知るぽると「労働保険」
*3厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き(第2章 雇用保険の適用について)」p.4
*4厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き(第4章 被保険者について)」p.26
*5一般社団法人公的公的保険アドバイザー協会「雇用保険の役割」
*6ハローワークインターネットサービス「雇用保険制度の概要」
*7厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き(第 13 章 失業等給付について)」p.177
*8厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き(第 13 章 失業等給付について)」p.178
*9ハローワークインターネットサービス「基本手当について(支給額)」
*10厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き(第 13 章 失業等給付について)」p.186
*11厚生労働省「専門実践教育訓練の指定講座を公表しました(令和5年4月1日付け指定)」
*12厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き(第 11 章 介護休業給付について )」p.121-122
*13ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付(介護休業給付について)」

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