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がん保険は要らないって本当?医療保険との違いは?
がん保険は要らないって本当?医療保険との違いは?

がん保険は要らないって本当?医療保険との違いは?

2022/11/29・提供元:Money Canvas

以前は不治の病と言われていたがんも、医療技術の発達により早期発見・早期治療ができるようになりました。


しかし、その分治療費がかさむこともあり、がん保険加入を検討する方も多いのではないでしょうか。


いざという時に役立つがん保険ですが、なぜ医療保険とがん保険が個別に販売されているのかを説明できる方はそう多くありません。


そこで本稿では、がん保険の仕組みや医療保険との違い、受給要件などについて、分かりやすく解説します。




高齢化社会では、誰でもがんになる可能性がある

がんは加齢に伴い罹患する確率が高くなります。

高齢化が進む今日、2人に1人が生涯において一度はがんに罹かるであろうと推計されています。


各年齢までの累積がん罹患リスク

(ある年齢までにがんと診断されるおおよその確率で2015年のデータを基にしたものです)

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引用)公益財団法人 がん研究振興財団「がんを防ぐための新12か条 各年齢までの累積がん罹患リスク」p4

https://www.fpcr.or.jp/data_files/view/75/

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がんの罹患率は年齢が上がるごとに徐々に上がっていきます。69歳までは男性が20.9%、女性が19.9%だったのに対し、79歳までは41.5%、30.9%、生涯では63.3%、48.4%となっています。


また2020年にがんで亡くなった人は、死亡総数の27.6%を占めています。1981年以降、39年間連続で死因のトップです。*1


とはいえ多くの場合、早期発見できれば、がんは治癒も可能な病気になってきました。

(公財)がん研究振興財団が調査した2009~2011年の診断例では、全がんの5年相対生存率は64.1%と6割以上が生存しています。*2


保険の必要性の是非はともかくとして、「私たちの多くはがんになる可能性が高い」ことを考慮した人生設計が必要であることは、間違いがないでしょう。



がんの治療は入院よりも外来へ

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出典)厚生労働省「平成29年 患者調査(疾病分類編)」p24 より筆者作成

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja

/10syoubyo/dl/h29syobyo.pdf



次に、がん治療の変遷について見てみましょう。


昭和59年から平成14年までは、がんの治療は主に「入院」をするものでした。ところが、徐々に「外来治療」が増え、平成23年からは外来治療が主流です。


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※気管・気管支および肺、結腸、胃、乳房、直腸S状結腸移行部および直腸の悪性新生物。

参考:「医療給付実態調査」報告書平成30年度|厚生労働省


出典)株式会社 三菱UFJ銀行「がん保険の仕組みやメリットとは?医療保険との違いも解説していきます がんの治療期間や費用負担」

https://www.bk.mufg.jp/sonaeru/hoken/column/013/



しかし「通院で済むから特に備える必要がない」ということではありません。

上記は肺炎とがんの、治療にかかる平均費用や日数、自己負担額のデータです。


肺炎の通院費用が約1.9万円に対し、がんは約5.7万円、自己負担額は0.6万円に対し、1.7万円となっています。


通院などの平均日数は、どちらも同じで約1.6日です。一般的な疾病の治療と比較し、がん治療にはおよそ3倍の自己負担額が必要になる計算になります。


入院が不要になった現在でも、がんは治療費がかさむことになる可能性が高いと言えるでしょう。



令和の時代、がん治療にはどう備える?

ここまで、「がんに罹患する可能性を想定した備えが必要」であること。また「がんは基本的に、通院治療中心に変わったこと」を見てきました。


ではそのような時代にあって、私たちはどのようにがん治療に備えるべきなのでしょうか。様々な考え方がありますが、ここでは一つの方向性を見ていきましょう。


医療保険は基本的に、「入院や手術」を対象とした商品です。特約などのオプションを付けない限りは、その他の事由で給付金を受け取ることはできません。


つまり、がんで入院前に外来治療を行ったとしても、医療保険からは給付金を受け取ることができない可能性があります。


では、がんの治療費をまかなうためには、どのような保障を選べばよいのでしょうか。


がん治療にかかるお金は「がん保険」でカバー

がんに罹患した際の治療費を幅広くカバーすることができるのは、「がん保険」です。がん保険には様々なタイプがあります。


まとまった一時金を受け取れる商品や、治療をしていれば毎月5万や10万とあらかじめ定めた金額を定期的に受け取れる商品、自由診療と呼ばれる、健康保険が使えない実費の治療に対して給付金を受け取れる商品などです。


どのようなタイプを選ぶにせよ、がん保険は入院や手術の有無を問わず、がんの治療を受ければ給付金がもらえる商品です。


がん治療にかかる治療費をカバーしたいなら、やはりがんに特化した保険の保障内容が充実しています。


古すぎるがん保険は見直しを検討しよう

医療技術は、年々進歩しており、保険もそれに伴って時代に合った形に変化します。先のグラフでも分かる通り、平成14年からの20年弱で大きな治療方針の変化が見て取れます。


今加入しているがん保険が古い商品だった場合、受け取り事由が狭く、思ったよりも給付金を受け取れない可能性もあります。

このようなことがないように、必要に応じて見直しも検討してみてください。


かさむ治療費には「高額療養費制度」が役立つ

がんの治療費が高額になった場合は、「高額療養費制度」を利用するという選択肢もあります。


高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度です。


上限額は、年齢や所得に応じて定められています。また、いくつかの条件を満たすことにより、負担を更に軽減するしくみもあります。*3


例えば、標準報酬月額40万円の会社員の40歳男性が、1か月間に入院と通院治療を行い、100万円の医療費で、窓口負担30万円を払った場合で計算してみましょう。(入院中の食事代や差額ベッド代は除きます。)


ひと月の上限額(世帯ごと)の計算式は以下のようになります。*4


80,100円+(医療費-267,000)×1%


そのため、80,100+(1,000,000-267,000)×1% となり、自己負担額は87,430円となります。


該当するかは、加入している公的医療保険(市町村国保・共済組合・健康保険組合・協会けんぽの都道府県支部)や、住民票のある自治体に問い合わせてみてください。

ただし、高額療養費制度には下記のような注意点があります。


全ての治療費が対象ではない

高額療養費制度は、保険適用の診療のみ対象となります。そのため、保険適用でない「自由診療」による治療費は、対象外です。


また、「入院中の食事代」や「差額ベッド代」、「先進医療にかかる費用」なども対象から外れるため、注意が必要です。*5


治療開始日によっては、支給対象外になることもある

高額療養費制度は、毎月1日から末日までの1か月間で、上限限度額を超えた部分を支給します。


したがって、全体の治療費が上限額を超えていたとしても、治療開始日によっては翌月分として計算され、支給を受けられないことがあるのです。


例えば、1月15日~2月15日までの医療費が、上限額を超えていたとします。

しかし、1月、2月共にそれぞれ15日分で治療費を計算するため、ひと月の治療費は実質半額です。このような場合、15日間の治療費が上限を超えなければ、支給対象外となります。


支給までに3か月ほど時間がかかる

高額療養費は、申請後、各医療保険で審査した上で支給されます。しかしこの審査は、レセプト(医療機関から医療保険へ提出する診療報酬の請求書)の確定後に行われるため、一定の時間がかかるのです。


したがって、高額療養費制度の支給を受けるまでは、一時的に治療費を自己負担する必要があります。*6


医療費が高額になりそうなら、事前に「限度額適用認定証」を申請しよう

医療費が高額になることがあらかじめ予想できる場合は、事前に「限度額適用認定証」を申請しておきましょう。


限度額適用認定証を保険証と併せて医療機関等の窓口に提示すると、1か月(1日から月末まで)の窓口での支払いを、自己負担限度額まで抑えることができます。


限度額適用認定証は申請から1週間ほどでご自宅に届きます。

詳細は、加入している公的医療保険(市町村国保・共済組合・健康保険組合・協会けんぽの都道府県支部)や、住民票のある自治体に問い合わせてみてください。*7



まとめ

がんは不治の病でなくなった代わりに、長く付き合い続ける病気になりつつあります。


自由診療などの健康保険が使えない治療など、治療の幅も広がった分、治療代がかさむこともあるかもしれません。


そのような不安を解消するために、がん保険に加入するのも一つの手段です。


一口に「がん保険」と言っても、様々なタイプの商品が存在します。どのような商品が自身にとって必要なのか、よく比較検討してください。本稿がその助けになれば幸いです。



*1出所)公益財団法人 日本対がん協会「がんの動向 日本人の死因」

*2出所)公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計2022」p26

*3出所)厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

*4厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ Q2.どのような医療費が、高額療養費制度の支給の対象となりますか。」p3.5

*5出所)厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ Q2.どのような医療費が、高額療養費制度の支給の対象となりますか。」p10

*6出所)厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ Q3.高額療養費を申請した場合、支給までにどのくらいの時間がかかりますか。」p11

*7出所)全国健康保険協会「医療費が高額になりそうなとき(限度額適用認定)」


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