近頃ニュースで物価上昇といった言葉が出てきます。なんとなく不安だけど、実際、物価はどれくらい上昇しているのか?なぜ物価が上昇しているのか?そんな疑問があるのではないでしょうか。
近年の物価上昇について解説します。ニナ:去年から一人暮らしを始めたんだけど、最近色んなものが高くなって困る…。食料品とか、家賃とか、ここ数年で色々値上がりして、気付いたらゆとりが無くなってきた…。
A子:衣食住の生活必需品が高くなるのは苦しいよね。でも、物価上昇は今に始まったことじゃないって知ってた?気が付きにくいけど、実は昔から物価は上がり続けているんだよ。
実際に10年間だけでも食料品はこれだけ値上がりしています(図1)。30年間で比較すると、より継続して物価が上昇していることが分かります。
(図1)過去30年間の物価推移
(参照)統計局(総務省)/e-Stat…各年代の東京都区部の小売価格にて比較「1301牛乳」「1071小麦粉」・1993年度 「政府統計名:小売物価統計調査/小売物価統計調査(動向編)/主要品目の東京都区部小売価格:昭和25年~平成22年・2013年度 「政府統計名:小売物価統計調査/小売物価統計調査(動向編)/年次/2013年」・2023年5月 「統計表名:主要品目の東京都区部小売価格【2022年5月~2023年5月】」
ニナ:本当だ。少しずつだから実感がなかった…!
A子:物価上昇というのは本来悪い状態ではないんだよね。
継続的に物価が上昇していく状態のことをインフレと呼びます。
物の価格が上がるインフレは悪いイメージを与えがちですが、本来は悪いことばかりではありません。生活に良い影響を与える場合もあります。
一般的に「良いインフレ」というのは消費者の購買力も高く好景気の中で起きる物価上昇で、その結果企業の収益性が向上し、雇用増加や賃金上昇につながります。
逆に「悪いインフレ」とは消費者の購買力を低下させるような状態です。この結果生活費が上昇し、賃金が上昇しない場合は生活が厳しくなる可能性があります。
2023年7月の賃金上昇率は経団連の調査によると、2023年の大手企業(従業員500人以上)の賃上げ率は3.99%、中小企業の賃上げ率は3.00%でした(図2)。
出典)『基礎資料』 内閣官房
A子:物価上昇について、よく使われる指標と、近年の物価上昇の要因について一緒に確認しましょう。
物価の上昇を示す指標として、消費者物価指数(CPI)が政府から公表されています。
消費者物価指数とは、日常生活 で一般の消費者が購入する商品やサービスの価格の動きを示す統計指標で総務省統計局が毎月公表しています。物価水準の変動や経済のインフレーションやデフレーションの状態を表す重要な指標です。
消費者物価指数は、基準となる年の物価を100として、その時点の物価を表します。この基準となる年は西暦の末尾が0と5となる年であり、5年ごとに基準付きが更新されます。更新の際、指数に採用する品目も見直されます。*1
消費者物価指数は2022年以降増加傾向にあり、直近の2023年7月では、最低賃金審議会の議論等で用いる 「持ち家の帰属家賃を除く総合」は3.9%の上昇率となりました(図3)。
(図3)消費者物価指数の推移
出典)『基礎資料』 内閣官房
近年の物価上昇の原因は以下のようなことが挙げられます。*2
将来に向けて貯蓄するときは、今よりも物価が上がっている可能性があるので、その分多めに蓄えておかないと、「これだけあれば大丈夫と思っていたのに。20年後には足りない!」という事態に陥りかねません。
日本銀行は2013年1月に、消費者物価指数の毎年2%の上昇を「物価安定の目標」として、定めていて、実際に、毎年2%物価が上がったとすると、現在の1,000万円は20年後には約672万円の価値になります。
(条件、計算根拠)
①複利計算式(実質金利)にて物価上昇率を算出、n=年数
計算式:元本1000万円×(1+年利率)^n(例)10年…110.4622%
②(100÷①*)×1000万円=n地点での価値*0年地点からのn年数目にかかるお金の価値%を出す
お金の価値が下がることで、同じ生活をするにもより多くのお金が必要になります。
※関連コラム;「金融緩和とは何をする政策?物価安定を目指す日本銀行の手法をわかりやすく解説」
ニナ:今からできる対策は何があるかな?これ以上貯蓄を増やすのは難しくて…。
A子:もちろん、今の生活も大事だからね。無理のない範囲で、こつこつ貯蓄していくことも大切だよ。あとは物価上昇に負けないよう、私は資産運用もしているよ!
投資=ギャンブルって思っている人もいて、怖い印象があるかもしれないけど、実はそうじゃないんだよ。リスクを抑えて運用をする方法があって、その一つに一度に沢山投資せずに、毎月決まった金額を投資する方法(ドルコスト平均法)があるの。NISAを活用すれば運用益が非課税になるよ!
※関連コラム「2024年から始まる新NISAはどう変わる?制度改正のポイントや注意点を解説」
A子:あと、老後までに毎月いくら貯蓄すればいいかシミュレーションできるから、試しにやってみるといいかも。
ニナ:ありがとう!やってみる!
…(私の収入400万円・65歳まで働いたとすると)…毎月2万円弱が無理なくできる金額か!
A子:シミュレーション上無理のない金額でも、実生活では違うと感じたら、生活費の見直しをしてみてもいいかも。
ニナ:ありがとう!生活費も一度見直ししてみようかな
まとめ
Money Canvasでは口座開設から購入まで一連の取引が可能です。そして資産運用に関連したコラムで投資の知識を学ぶことができます。あなたもここから資産運用を始めてみませんか。本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意下さい。
出典
*1 総務省統計局「消費者物価指数に関するQ&A」
*2 「物価が上がっているけど、消費者の私たちはどうしたらいいの?」消費者庁