logo
Money Canvas(マネーキャンバス)
back icon
clear
back icon
お金の不思議解明!1円玉の原価からお札の処分まで
お金の不思議解明!1円玉の原価からお札の処分まで

お金の不思議解明!1円玉の原価からお札の処分まで

2023/06/18に公開
提供元:Money Canvas

普段私たちが使っているお金には、お札(日本銀行券)と小銭(硬貨=貨幣)があります。しかし、これらは消耗品でもあります。


ボロボロになったお札はいつまで使える?

その後どうなる?

1円玉を作るのに、原価はいくらかかっている?


そんな「お金」に関する雑学をみていきましょう。



使えなくなったお札はトイレットペーパーに?

お金は様々なところに流通しています。

私たちの手元やお店、銀行などがその居場所といえるでしょう。


2022年12月末の段階では、日本では185.9億枚(125.1兆円分)のお札が家庭や企業、金融機関などで「年越し」をしました。

これを積み重ねると約1,859キロメートル(富士山の約492倍の高さ)に相当し、横に並べると約289万キロメートル(地球の約72週分、月までの距離の約8倍)になるといわれています*1。


さて、「年を越した」紙幣がある一方で、「年を越せなかった」紙幣もあります。

極端に擦り切れているものや、変色・変形したものは、日本銀行に戻ってきた段階でチェックされて回収されます。


その後はどうなるでしょうか?

再び流通させるのに適さないものは、日本銀行の本店または支店で、復元できないサイズに細かく裁断されます。そしてその裁断された紙くずは、現在はトイレットペーパーなどへのリサイクルや、一般廃棄物として地方自治体で焼却処分されているのです*2。


みなさんが使っているトイレットペーパーの中には、かつてお札だった紙くずが混ざっているかもしれません。


なお、お札の平均的な寿命は、一万円札では4~5年程度です。五千円札と千円札はお釣りとしてやり取りされることが多いため傷みやすく、寿命は1~2年程度です*3。


硬貨は再び硬貨にリサイクル

金属でできている硬貨の場合、その後のリサイクル方法が異なります。


硬貨(貨幣)は法律で流通の停止が決まる、あるいは傷んで回収される以外は、半永久的に社会のどこかで流通しています。

流通できなくなったものは溶かされて再び新たな硬貨(貨幣)の材料になります*4。


ちなみに硬貨はどちらが表でどちらが裏かご存知ですか?造幣局によると、年号のある側が「裏」だそうです*5。


新500円玉には世界初の技術が取り入れられている

2021年11月から新しい500円玉が発行され、小売店などでもしばしば見かけるようになりました。

硬貨には、常に偽造防止の最新技術が使われてきました。


手元に新500円玉がある方は、観察してみてください。

新500円玉は周辺部と中央で色が異なっています。ここに、「バイカラー・クラッド」という技術が取り入れられています。


新500円玉には世界初の技術が取り入れられている

(出所:「解説!新しい500円貨」財務省)



これは、2種類の金属板をサンドイッチ状に挟み込む「クラッド技術」と、それをさらに別の種類でできたリングにはめ込む「バイカラー技術」を組み合わせたものです。


その他にも、「異形斜めギザ」という技術が使われています。

新500円玉には世界初の技術が取り入れられている1

(出所:「解説!新しい500円貨」財務省)


よくみると、ギザが均等ではない部分があります。こうした異形ギザが新500円玉の上下左右4か所に取り入れられています。


この「異形斜めギザ」を大量生産する通常貨幣に導入したのは、この新500円玉が世界初です*6。


また、偽物かどうかを見分けるためには、次のようなポイントがあります。


新500円玉には世界初の技術が取り入れられている2

(出所:「解説!新しい500円貨」財務省)


肉眼ではなかなか見えない細かな刻印もあります。


新500円玉には世界初の技術が取り入れられている3

(出所:「解説!新しい500円貨」財務省)


上下2か所の縁に、「JAPAN」「500YEN」という微細文字があります。


1円玉を作るのにはいくらかかる?

現在の1円玉は、ある意味ではアルミニウムの塊ともいえます。


1円玉にはいくらの価値があるでしょうか。言い換えれば、1円玉を作るのに実際は何円かかっているのでしょうか?


実は造幣局は、硬貨の原価については明かしていません。その理由は、「貨幣に対する信任を維持するためや、貨幣の偽造を助長するおそれがあると考えられる」というものです*7。


またその他にも、硬貨の原価は考え方が難しいというのも理由として挙げられます。


硬貨を造る段階では、原材料費(変動費)だけでなく人件費や設備費用(固定費)がかかりますが、これらは常に一定というわけではないためです。



1円玉を作るのにはいくらかかる?

(出所:「貨幣の製造に必要な経費」財務省)



新札や新硬貨の発行時には注意を!

2024年度上半期には新しいデザインの紙幣が発行されます。

新しいデザインの紙幣

新一万円札のデザイン

(出所:「新しい日本銀行券及び五百円貨幣を発行します」財務省)


2024年7月3日に新紙幣が発行されるにあたって、財務省が注意喚起をしています。


今の紙幣は新しい紙幣が発行されてからも使えるにも関わらず、「現行の日本銀行券が使えなくなる」などとうたった詐欺行為(振り込め詐欺)などに注意が必要だというものです*8。


新しくなった500円玉も含めて、不審な話には警戒を怠らないよう注意してください。


本稿執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。



*1 「日本で流通しているお札は全部でどれくらいありますか?」日本銀行

*2、3 「お札の寿命はどれくらいですか? 使えなくなったお札はどうなりますか?」日本銀行

*4 「貨幣Q&A - 使えなくなった貨幣はどうなるのですか?」造幣局

*5 「貨幣Q&A - 貨幣の表はどちらですか?」造幣局

*6 「解説!新しい500円貨」財務省

*7 「貨幣Q&A - 貨幣の製造原価を教えてください。」

*8 「現行の日本銀行券が使えなくなる」などを騙った詐欺行為(振り込め詐欺など)にご注意ください」財務省

関連コラム
もっとみる >
Loading...
scroll-back-btn