為替市場で急激な円安が進行しています。
年初に1ドル=115円前後で推移していた為替相場は、9月には145円台と1998年以来24年ぶりとなる水準をつけました。
海外比率の高い自動車や機械など、輸出関連株には「円安メリット」が発生することが見込まれます。
円安のメリットについて、例えば1ドル=100円が140円になったケースで考えてみましょう。
海外で1個1ドルで商品を販売した時、その売り上げは円換算で100円から140円に増えることになり、それとともに売上高や利益が拡大することになります。
また、1ドル=140円の時に最低限100円の売り上げを確保したい場合、1個0.72ドル程度まで値下げをすることができ、価格競争力の面で日本企業の優位性が高まります。
今年に入ってからの急速な円安の要因としては、米国が大幅な利上げを進めている一方で、日本がマイナス金利政策を維持していることによる日米金利差の拡大が挙げられます。
また、ウクライナ危機で原油などエネルギー価格が上昇し、日本の貿易赤字が拡大したことも要因の一つとなります。
企業が業績見通しを立てる際に決める想定為替レートを見てみると、例えば自動車メーカーのトヨタ自動車<7203>は1ドル=130円としています。
また、ゲーム大手の任天堂<7974>は同115円です。
このほか、建設機械のコマツ<6301>は同118円、電子部品大手の村田製作所<6981>は同120円、プリンター大手のセイコーエプソン<6724>は同131円といった具合です。
足もとの為替水準はこうした輸出関連企業の想定よりも円安となっており、先ほど紹介した円安メリットの効果で業績が上振れする可能性もあります。
「円安メリット」は、株式市場で考える場合、まず自動車、電機、精密機器、機械など主力の輸出企業にとって収益拡大要因と判断します。
例えば、1ドル=90円から1ドル=100円へと、対ドルで10円分の円安・ドル高が進行した場合、従来1個1ドル(90円)で海外で販売していた同じものが、1ドル(100円)で売れるようになり、円換算することで、売上高、利益の手取りが増加し、利益水準が上昇することになります。
また、手取りが増加したことで、値下げの余地も出て価格競争力の向上も期待できます。