みなさん、ドイツでメガネを買うといくらかかるかご存じですか……?
なんと、13万円でした! 日本なら3~4万円くらいで買えたのに!
「高い買い物をしたなぁ……」と思っていたが、購入から2年後の現在、結果的に見るとそれが「安い買い物」だったと気付く。
買い物をするときは、目の前の値段だけでなく、最終的な損得で考えるべきなのだ。
※本記事では2023年11月13日のレートを参考に、1ユーロ=162.25円で計算しています。
今までメガネは日本で買っていたのだが、2年ほど前、度が合わなくなってしまった。しかしコロナ禍で帰国できないので、現在住んでいるドイツで買うしかない。
さて、どこで買おうか。ドイツのメガネ屋なんてさっぱりわからないぞ。
とりあえず検索してヒットしたいくつかのチェーン店をまわり、値段の相場を聞く。
2、3軒まわった結果、500ユーロ程度かかることがわかった。8万円以上か。むむ、結構高いぞ。
Googleマップを見てみると、街の外れに個人店と思われるメガネ屋を発見。200件以上のレビューがつき、星がほぼ5というとんでもない高評価を獲得している。
せっかくだから、と訪れてみると、30代と思われる男性が笑顔で迎えてくれた。店内は広々としていて、わたしと店員さんの2人のみ。勧められるままコーヒーをいただきつつ、自分の希望や度数を伝えると、その店では800ユーロほどかかるという。約13万円だ。
うーん、評判が良くても800ユーロはさすがに高いなぁ。チェーン店なら500ユーロで済むし……と、気持ちはチェーン店のほうに傾いた。
しかし夫が「長く使うんだから、評判がいいお店のほうが安心じゃない?」というので、結局個人店で800ユーロのメガネを購入。
13万円だよ! 日本ならメガネ3本買えるよ! 高い!
クレジットカードの暗証番号を入力しながら、「本当にこんなに高いメガネが必要だったか……?」と、早々に後悔した。
購入直後、トラブル発生。ドイツ人と骨格が違うからか、とにかくメガネがよくずり落ちる。
2週間後の検診でそれを言ったところ、なんと無料でまったく違うフレームに取り換えてくれるという。最初のフレームは鼻当ての調整範囲が狭いので、鼻当ての角度を替えやすいフレームのほうがいいだろう、と店員さんが提案してくれたのだ。
フレーム丸ごと交換がタダ!? いいの!?
フレームを交換したさらに2週間後。ずり落ちることはなくなったが、鼻当ての角度が悪いのかどうにも痛くて、鼻根の皮膚が真っ赤になっていた。
再び検診に訪れそれを伝えたところ、シリコンの鼻当てに変えてくれた。そっちのほうが肌に負担が少ないらしい。なんと、これも無料である。
それから2年経ち、今年の夏、ある異変が起きた。突然、両耳の後ろがとんでもなく痒くなったのだ。
そのときは真夏でゲームのためによくヘッドフォンをしていたから、蒸れてかゆくなっているのかなぁ~なんてのんきに考えていた。
しかし数日後、何もしていないのに流血。乾きかけの血がメガネに張り付き固まってしまうので、メガネを外すときはかさぶたごと取らなくてはならず、毎回血まみれでグロい状態になってしまった。
「さすがにおかしい」とメガネをよく見てみると、耳に接する部分の塗装が剥げて、中の素材が少し見えていた。もしかしたら、金属アレルギーを起こしているのかもしれない。
慌ててメガネ屋に駆け込むと、「新しいものを注文しましょう」と、すぐにテンプルを注文してくれた。テンプルとは、レンズ横の耳にかける棒部分の部品のことである(今ググった)。
そしてなんと! これも無料!
これらのサービスが、もし全部有料だったらどうだろう。おそらく、数百ユーロはかかっていたはずだ。
最初は「13万円なんて高いなぁ」と思ったが、2年経った今改めて考えてみると、高い買い物をしたことで結果的に安く済んだのだ。
逆の例で、「安物買いの銭失い」という言葉がある。読んで字のごとく、「安物を買ったらそのぶん損をしてしまった」という意味だ。
だいぶ寒くなり、先日、セーターを買いに行ったときのこと。店に並ぶのは50ユーロ以上のものばかりで、家着としては少し予算オーバー。
夫と犬が外で待っていてあまり時間がなかったので、とりあえず寒さをしのげれば何でもいいか、という気持ちで20ユーロの薄手のセーターを買ってパジャマにすることに。
しかし一回洗濯しただけで糸が出てきてすぐに襟が伸びてしまったうえ、「そんなことある!?」とびっくりするくらい保温性が悪く、全然暖かくない。
結局次の週末、ふたたび服屋に足を運び、50ユーロするセーターを新たに買うことになった。こうなるなら、最初からいいセーターを買っておけばよかったよ……。
ヘッドフォンでも、同じような経験がある。
以前PS5を買ったとき、「とりあえず安いものでいいや」と20ユーロのヘッドフォンを同時に買った。
しかしそれでは物足りなくなり、一ヶ月も経たないうちに、200ユーロするヘッドフォンに買い替えを決意。最初のヘッドフォンはムダになってしまった。
安易に安いものを買った結果高くつく。典型的な「安物買いの銭失い」の例だ。
「最終的に得をするように買い物する」というのは、案外難しい。
ちょうど最近、乾燥機能つきの洗濯機に買い替えようかな~と思っているのだが、「最終的に買い替えたほうが得なのか」が判断できずに迷っている。
ドイツは基本室内干し、かつ冬場はずっと暖房を入れているので、まったく服が乾かない。乾くのに丸2日かかることを見越して洗濯物をこまめに洗っているせいで、電気代と水道代が余分にかかる。
先日夫が転職してスーツで出勤することになったため、シャツを洗う都合上、今までよりさらに頻繁に洗濯しなければいけなくなった。
それなら乾燥機能つきのものに買い替えて、一気に洗って一気に乾かしちゃったほうがいいかもしれない。が、乾燥機能つきとなると10万円以上はかかる。
うーん、今の洗濯機も問題なく動くしなぁ。冬だけしか乾燥機能を使わないなら買い替えるほどでもないような気も……。とはいえ電気代も水道代も多くかかってるし……。
という感じで、なかなか決められない。
乾燥機能なしの洗濯機で頻繁に洗うのと、思い切って10万円以上する乾燥機能つきの洗濯機に買い替えるの、どっちが「得」なんだろう?
最終的な損得を意識すると、買い物の難易度はぐっと上がる。でもそれを考えないと、いい買い物はできないのだ。
何かを買うなら当然、安いほうがいい。でも安いものを買ったとしても、必ずしも安く済むとはかぎらない。
壊れてすぐに買い直したり、修理が必要になってさらなる出費がかさんだり、となれば本末転倒だ。
しかしそうなっても、多くの人は「安いからしょうがない」と諦めるだろう。「安かろう悪かろう」と。
でも、それでいいんだろうか?
安いものを買った結果買い直したり追加料金が発生したりしたら、それは本当に安いと言えるんだろうか?
逆に、値段は高くとも、丁寧なアフターサービスや長持ちした結果、安物をいくつも買うより安く済むこともある。
1週間後、1ヶ月後、1年後。
高いものを買ったほうが結果的に安く済む可能性もあるし、安いものを買うのなら、最終的な損得でも安くなると確信できるものを買わなくては意味がない。
本当にコスパのいい買い物をしたければ、目の前の値段ではなく、その後のプラスとマイナスを含めて考える必要があるのだ。
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