
2026年9月現在、NISAの枠で国債そのものを購入することはできません。ただし、国債をNISAの対象商品に追加する法案が提出され、対象化に向けた議論が進んでいます。また、現行のNISAでも、ETFや投資信託を通じて間接的に国債へ投資することは可能です。
この記事では、国債の基本やNISA対象化の動向、NISAにおける安全性を重視した投資先の選択肢について解説します。
国債とは、国が資金調達のために発行する債券です。国債を購入すると、国にお金を貸すかたちになります。原則として保有期間中は利子が支払われ、満期になると元本(額面金額)が払い戻される仕組みです。*1
債券には国債のほか、地方自治体が発行する地方債、一般企業が発行する社債などがあります。一般的に国債は国が発行体であるため信用度が高く、安全性を重視して資産を運用したい場合は選択肢の一つとなります。*2
債券は、市場金利の動きによって価格が変動します。基本的に「金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が低下すると債券価格は上昇する」という関係があります。*3
たとえば、金利年2%の債券を購入後、市場金利が年3%に上昇したとします。新たに金利年3%の債券が発行されると、既存の金利年2%の債券は魅力度が低下するため、債券価格は低下します。反対に、市場金利が低下した場合は、既存の債券の魅力度が高まって価格は上昇します。
国債への投資を検討するのであれば、債券価格と金利の関係を理解しておくことが重要です。
〇金利が上昇すると債券価格は下落する理由についてくわしくはこちら
個人が購入できる代表的な国債には、「個人向け国債」と「新窓販国債」があります。
個人向け国債は、「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類があります。国が元本と利子の支払いを保証しており、1万円から1万円単位で購入可能です。発行後1年を経過すればいつでも中途換金が可能ですが、中途換金時には直前2回分の各利子相当額が差し引かれます。*4
一方、新窓販国債は、個人だけでなく法人や団体も購入できる国債です。「固定10年」「固定5年」「固定2年」があり、最低5万円から5万円単位で購入できます。満期を迎える前に、市場で売却することも可能です。ただし、売却価格はその時点の市場価格となるため、購入価格を下回って損失が生じる可能性があります。*5
個人向け国債や新窓販国債は、銀行や証券会社などの取扱金融機関で購入できます。
初めて国債を購入する場合は、取扱金融機関で専用口座を開設しなくてはなりません。口座開設時には、本人確認書類やマイナンバーを確認できる書類などが必要です。口座開設が完了すると、国債の購入申し込みが可能となります。
金融機関によって口座開設にかかる日数や手数料、取り扱っている国債の種類や募集期間が異なるため、事前に確認しておきましょう。
2026年9月現在、NISAの枠で個人向け国債や新窓販国債などの国債を直接購入することはできません。*1
NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、それぞれ対象商品が定められています。つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限定されています。成長投資枠では上場株式や一定のETF・投資信託などを購入できますが、国債は対象外です。*6
ただし、国債を投資対象とするETFや投資信託の中にはNISAで購入できるものもあります(詳細は後述)。これらの商品を活用し、間接的に国債へ投資することは可能です。
2026年7月10日、国民民主党は国債をNISAの対象商品に追加する法案(国債NISA法案)を参議院に提出しました。財務相も国債のNISA対象化について前向きな姿勢を示し、資産運用のポートフォリオの多様化につながるとの意見があることに言及しています。*7
NISAはもともと「貯蓄から投資への流れを促進するための制度」であり、与党内では国債を投資対象に含めることに慎重な意見が多くありました。しかし、近年は国債の利回り上昇を背景に、長期の資産形成手段としての注目度が高まっています。
国債のNISA対象化が決定したわけではありませんが、今後は導入に向けて議論が進んでいく可能性があるでしょう。
ここでは、NISAにおける安全性を重視した投資先の選択肢を紹介します。
ETF(上場投資信託)は、証券取引所に上場している投資信託です。*8
日本国債を投資対象とするETFもあり、NISAの成長投資枠の対象となっている商品であればNISA口座で購入できます。*9
日本国債ETFでは、1本で複数の日本国債に分散投資が可能です。
また、株式と同じように、市場が開いている時間帯には基準価額を確認しながらリアルタイムで売買できるのも特徴です。ただし、売却するタイミングによっては、購入時より値下がりして損失が生じる可能性があります。*8
国内債券インデックスファンドとは、日本の債券市場の値動きを示す指数(インデックス)との連動を目指して運用される投資信託です。商品によって投資対象は異なりますが、日本国債を中心に運用するものや、日本国債だけでなく地方債、社債などを組み入れるものがあります。*10
NISAの成長投資枠の対象となる国内債券インデックスファンドであれば、NISA口座を利用して投資できます。*11
ETFとは異なり、投資信託は原則として1日1回算出される基準価額で取引します。*8
少額から分散投資が可能で、積立投資に対応していることが多いため、初心者の方でも活用しやすい商品といえるでしょう。*12
NISAで安全性を重視した運用を行うために、日本国債ETFや国内債券インデックスファンドを活用する際は、以下の点に注意が必要です。
国債は国が発行体であるため、「安全性が高い」というイメージを持つかもしれません。
しかし、ETFと投資信託は、どちらも組み入れている債券などの価格が変動すれば基準価額も変動します。そのため、日本国債を主な投資対象としている商品であっても、購入時より値下がりして元本割れする可能性があります。*8
国債を中心に運用する商品は、株式を中心とする商品に比べて値動きを抑えやすい一方で、期待されるリターンも低くなる傾向があります。*13
安全性だけで投資先を決めるのではなく、「何のために運用するのか」「いつまで運用できるのか」「どの程度の値下がりなら受け入れられるのか」を考え、自分に合った資産配分を検討することも重要です。
先述のとおり、一般的には市場金利が上昇すると既に発行されている債券の価格は下落します。そのため、国債を中心に運用する商品についても、金利が上昇すると価格が下落する可能性があります。*10
金利上昇による影響を和らげるには、外国債券や国内外の株式など、国内債券とは値動きの異なる資産への分散投資を検討するのも一つの方法です。
2026年9月現在、国債そのものはNISAで購入できませんが、対象化に向けた議論が進められています。現行のNISAでも、日本国債ETFや国内債券インデックスファンドなどを活用すれば、安全性を重視した資産運用を検討することは可能です。
ただし、ETFや投資信託は元本保証ではありません。それぞれの特徴やリスクを理解したうえで、自分に合った商品を選びましょう。
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
本コラムの内容は、特定の金融商品やサービスを推奨あるいは勧誘を目的とするものではありません。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客さまご自身の判断でお取り組みをお願いいたします。
出典
*1 三菱UFJ銀行 「個人向け国債とは?種類や購入するメリット・デメリット、購入方法まで解説」
*2 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 「債券投資のはじめ方」
*3 Money Canvas 「金利が上昇するとなぜ債券価格は下落する?株価への影響とあわせ投資の基礎知識を再確認しよう」
*4 財務省 「個人向け国債」
*5 財務省 「新窓販国債」
*6 金融庁 「NISAを知る」
*7 野村総合研究所(NRI) 「国債は新NISAの対象となるか?」
*8 三菱UFJeスマート証券 「債券ETFの基本〜リスクを知って賢く分散投資」
*9 日本取引所グループ 「銘柄一覧(ETF) 債券」
*10 三菱UFJeスマート証券 「債券ファンド「買ってはいけない」はホント?」
*11 資産運用業協会 「NISA成長投資枠の対象商品(投資信託(非上場) 対象商品リスト)」
*12 三菱UFJeスマート証券 「投資信託の魅力とリスク」
*13 三菱UFJアセットマネジメント 「投資信託のリスクとリターン」
