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金利が上昇するとなぜ債券価格は下落する?株価への影響とあわせ投資の基礎知識を再確認しよう
金利が上昇するとなぜ債券価格は下落する?株価への影響とあわせ投資の基礎知識を再確認しよう

金利が上昇するとなぜ債券価格は下落する?株価への影響とあわせ投資の基礎知識を再確認しよう

16時間前に公開
提供元:大西勝士

日銀の利上げや国債の需給バランスの変化などを背景に、金利は上昇傾向にあります。
金利と債券価格は逆方向に動く関係にあり、通常は金利が上がると債券価格は下がります。
金利上昇は株価下落の要因にもなり得るため、どのような投資戦略をとるべきか悩んでいる個人投資家もいるでしょう。

本コラムでは、金利上昇が続く理由や債券価格との関係、株価への影響、金利上昇局面での投資戦略について解説します。


金利が上昇するとなぜ債券価格は下落するのか

「金利と債券価格は逆方向に動く」といわれますが、直感的には理解しにくいかもしれません。まずは、債券の基本的な仕組みを確認しておきましょう。


そもそも債券とは

債券とは、国や企業などが資金調達のために発行する有価証券です。投資家は、債券を購入することで発行体に資金を貸すことになります。その見返りとして、保有期間中は定期的に利子を受け取ることができ、満期には元本(額面金額)が返還されます。*1

債券の代表例が日本国債です。日本国が発行するため信用度が高く、株式に比べると比較的安定した運用先として位置付けられています。
安定性を重視するなら債券、リスクをとって大きなリターンを期待したい場合は株式が向いているでしょう。*2


市場金利の動きで債券価格は変化する

債券は、満期まで保有すれば原則として元本が戻ります。しかし、発行後は市場で取引されるため、需要と供給によって債券価格は変動します。その際、大きな影響を与えるのが「市場金利」です。*1

例えば、金利2%の債券を購入した後、市場金利が3%に上昇したとします。すると、新たに発行される金利3%の債券はより高い利回りになります。金利2%の債券は魅力度が低下するため、価格を下げなければ買い手が付きにくくなります。*3

反対に、市場金利が低下した場合は既存の債券の価値が高まり、価格は上昇します。


金利と債券価格の関係

先ほどの内容を踏まえると、金利と債券価格には次のような関係が成り立ちます。

  • 市場金利の上昇→既存債券の魅力度低下→債券価格の下落
  • 市場金利の低下→既存債券の魅力度上昇→債券価格の上昇

このように、金利と債券価格は逆の動きをする、シーソーの関係になっています。


0 /br

出典)三菱UFJモルガン・スタンレー証券 「債券投資のはじめ方」


日本の金利は上昇傾向が続いている

以下は、日本の長期金利(10年国債利回り)の推移です。


1

出典)三菱UFJアセットマネジメント 「INVESTMENT STRATEGY MONTHLY(投資戦略マンスリー)2026年2月 P19」


これまで長期金利は低水準で推移してきましたが、近年は上昇傾向にあります。背景には複数の要因が重なっています。ここでは、代表的なものを紹介します。


日銀の利上げ

これまで日本では大規模な金融緩和が続いていましたが、2024年3月に日銀はマイナス金利政策を解除しました。*4
その後、複数回にわたって利上げを実施し、2025年12月の会合では政策金利を0.75%に引き上げました。*5

2026年1月の会合では政策金利の据え置きを決めましたが、利上げの継続を示唆する姿勢は崩していません。*6

政策金利が引き上げられると、市場全体の金利水準も上昇しやすくなります。日銀の利上げは、市場金利の方向性を決定づける重要な要素の一つといえるでしょう。


国債の需給バランス

これまで日銀は、大量の国債を買い入れて金利上昇を抑え込む「長短金利操作(YCC)」を実施してきました。しかし、2024年3月のマイナス金利政策の解除と同時にYCCも終了しました。*4

さらに国債買い入れの減額計画も示されました。日銀は「長期金利は市場で形成されることが基本」としており、「金融政策の正常化」に向けた取り組みを強めています。*7

日銀が国債の買い入れを減らして需要が弱まると、国債価格は下落し、結果として金利に上昇圧力が働くことになります。*7


財政悪化への懸念

2025年10月に誕生した高市政権は「成長重視の積極財政」を掲げています。*8
2026年2月に行われた衆議院選挙では、高い支持率を背景に、自民単独で3分の2を超える議席を獲得しました。*9

一方で、積極財政を支えるには大規模な財源が必要となるため、公約実現のために大量の国債が発行される可能性があります。*8

経済政策への期待感から株価上昇が続いていますが、国の財政悪化への懸念から長期金利も上昇傾向にあります。*6


金利上昇が株価に与える影響は?

金利上昇は債券だけでなく株式市場にも影響します。具体的には、次のような影響が考えられます。


基本的には株価の下落要因になる

一般的に、金利上昇は株価の下落要因とされています。*10

理由の一つは、企業の資金調達コストが上昇することです。借入金利が高くなると支払利息が増加し、設備投資や事業拡大が難しくなるため、企業の売上や利益が減少する可能性があります。

また、金利上昇により、安定した利回りが期待できる債券や預貯金に資金が流れやすくなることから、株価下落につながります。


金利上昇がプラス要因となる業種もある

ただし、金利上昇がすべての企業にとってマイナスとは限りません。例えば、企業や個人へのローンを取り扱っている金融関連企業は、貸出金利の上昇で収益が上がりやすいため、株価が上がることがあります。

このように、金利上昇が株価に与える影響は業種によってさまざまです。


株価を動かす要因は金利だけではない

また、株価は金利だけで決まるものではありません。企業業績や景気動向、為替、政治情勢、国際情勢、自然災害、外国人投資家の動向など、複数の要因が影響します。*11

「金利が上がるから株式投資は危険」と単純に判断するのではなく、長期的な視点で株式市場全体の動向を見る姿勢が重要といえるでしょう。


金利上昇局面での投資戦略

金利上昇局面では、どのような投資戦略をとるべきか迷う人もいるでしょう。ここでは、個人が資産形成に取り組む際に意識したい考え方を紹介します。


長期・積立・分散投資を心掛ける

市場環境が変化しても、「長期・積立・分散投資」という資産形成の基本は変わりません。*12

  • 長期投資:長期にわたって金融商品を保有する
  • 積立投資:毎月自動的に投資を行う
  • 分散投資:国内外のさまざまな資産を組み合わせて投資を行う

金利上昇局面では、株価や債券価格が短期的に下落するかもしれません。しかし、下落局面でも積立投資を続けることで、平均購入単価を平準化させる効果が期待できます。*13

また、さまざまな資産に分散投資を行うことで、ある資産の値下がりを他の資産の値上がりでカバーできる可能性があります。

将来の金利や株価を正確に予測することは困難です。短期の値動きに一喜一憂せず、リスクを抑えながら長期的な視点で投資に取り組むことが大切です。


個人向け国債の活用も選択肢

金利上昇局面で安定的な運用を重視する場合は、個人向け国債の活用も選択肢です。

個人向け国債(変動10年)は、市場金利の上昇に応じて適用金利が見直される仕組みになっています。また、国が元本と利払いを保証しており、価格変動を気にせず保有できるのも大きな特徴です。*14

株式や投資信託と組み合わせれば、資産全体の値動きを安定させる効果が期待できるでしょう。

ただし、個人向け国債は、発行から1年が経過するまでは中途換金ができません。また、中途換金時には利子の一部が差し引かれるペナルティがある点にも注意が必要です。


まとめ

金利と債券価格は逆に動く関係にあり、金利が上昇すると債券価格は下落します。また、一般的に金利上昇は株価の下落要因とされています。

ただし、株価はさまざまな要因で変動します。将来の金利や株価は正確に予測できないため、資産形成の基本である「長期・積立・分散投資」を心掛けることが重要です。市場の動きに一喜一憂するのではなく、長期的な視点で投資を継続していきましょう。



本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
本コラムの内容は、特定の金融商品やサービスを推奨あるいは勧誘を目的とするものではありません。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客さまご自身の判断でお取り組みをお願いいたします。



出典
*1 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 「債券投資のはじめ方」
*2 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 「債券と株式の違いとは?リスクやリターン、銘柄の選び方などをわかりやすく解説」
*3 金融経済教育推進機構 「債券価格と金利って、どういう関係なの?」
*4 Money Canvas 「長期金利上昇とは?上昇する原因を解説」
*5 NHK 「日銀 政策金利0.75%へ利上げ 迫られる繊細なかじ取り」
*6 三菱UFJアセットマネジメント 「INVESTMENT STRATEGY MONTHLY(投資戦略マンスリー)2026年2月 P19」
*7 Money Canvas 「国債買い入れ減額 日銀の決定は市場にどんな影響をもたらす?」
*8 Money Canvas 「高市政権が進める『積極財政』の実態|国債発行がもたらす日本経済への影響と今後」
*9 NHK 「自民 316議席獲得 単独で3分の2超 中道は49議席【開票結果】」
*10 三菱UFJeスマート証券 「利上げとは?わたしたちの生活・株価への影響をわかりやすく解説」
*11 日本取引所グループ 「経済を学ぶ 2.株価変動要因」
*12 Money Canvas 「【初心者向け】資産形成の基礎知識 ③「長期・積立・分散」を知ろう!」
*13 三菱UFJ銀行 「資産運用のキホン 第4章:投資の極意は長期・分散投資」
*14 三菱UFJeスマート証券 「個人向け国債は買ってはいけない? 知らないと損する特徴と注意点」


大西 勝士

金融ライター(日本FP協会 CFP®認定者)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで記事を執筆中。得意領域は資産運用、不動産、税務。

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