logo
Money Canvas(マネーキャンバス)
back icon
clear
back icon
経済や株価に大きな影響を与える原油価格 過去の推移は?どうやって決まる?
経済や株価に大きな影響を与える原油価格 過去の推移は?どうやって決まる?

経済や株価に大きな影響を与える原油価格 過去の推移は?どうやって決まる?

23時間前に公開
提供元:清水沙矢香

アメリカのイラン攻撃が始まり、原油価格が再び上昇して不安定な値動きになっています。

日本国内では暫定税率が廃止され一度はガソリン安になった時期があったものの、この攻撃の影響を受けてすぐに上昇に転じてしまいました。アメリカとイランの交戦で、中東からの原油運搬ルート「ホルムズ海峡」をタンカーが一時通過できなくなったこと、イランの原油施設への攻撃なども影響しているでしょう。また、先行きに対する不透明感もあります。

しかし、原油価格はそもそも誰がどうやって決めているのでしょうか?
どうして株価に影響するのでしょうか?

ここでわかりやすく説明していきます。


原油価格の決まり方

意外なことに、いまの原油価格は売る側(産出国)が全てを決めているわけではありません。基本的に「先物市場」という場所で、世界中から参加する投資家間で取引されています。

先物取引とは、

  • 将来の予め定められた期日に
  • 特定の商品(原資産)を
  • 現時点で取り決めた価格
で商品を売買することを約束する取引です。*1
その売買の価格は、世界情勢によって日々変動しています。


原油価格の3つの指標

そして原油価格には、大きく分けて世界に3つの指標があります。*2
原油を産出できる地域は限られていて、産出国は輸出する地域ごとに指標を使い分けているからです。

その3つの指標とは、

  • 北海ブレント=欧州
  • WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)=アメリカ
  • ドバイ原油=アジア
となっています。

この3つの指標の中でも、取引量や市場参加者が多いWTIの値動きが大きな影響力を持ちます。


どうやって価格を決める?

モノの輸出・輸入ならば生産国と消費国の間で値段を決めれば良いのに、と思われるかもしれません。
輸入原油の価格は、1970年代までは国際石油市場を支配していたオイルメジャーと呼ばれる国際石油大手企業が決めていました。*3
しかし1973年の第一次オイルショック以降、オイルメジャーに対抗するOPEC(石油輸出国機構)が次第に勢力を強め、オイルメジャーを通さずに原油の消費国へ直接販売を開始するようになりました。そして販売価格も、OPECが決める基準原油価格(公式販売価格)に変わりました。

しかし公式販売価格は需給等の変動を反映しにくく硬直的であったことから、サウジアラビアは1988年に価格決定方式を変更し、長期契約でもスポット価格や先物価格に準じて原油価格を決める市場連動方式を導入しました。市場のほうが、より足下の経済状況を反映しやすいためです。そして現在ではこの方式が主流となっています。

原油価格の安定、そして経済状況をリアルタイムに反映するために今の取引の形になったというわけです。

なおOPECは、主要産油国が石油の生産量を調整することで価格の安定を図る枠組みで、1960年に結成されました。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などが加盟しています。*4
しかし2016年に、非加盟の産油国による生産増や2010年代に起きた米国のシェール革命※で、OPECの価格支配力は陰ってしまい、現在は「OPECプラス」という枠組みになっています。
※シェール革命=アメリカ国内で地中深くから石油や天然ガスを掘削できる技術の確立。2000年代後半から始まる。*5

OPECプラスには、以下の国が加盟しています。


2

出典)独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構 「石油の増産・減産で何が起こる? ガソリン価格への影響も解説!」



過去からの原油価格の推移

次に、過去からの原油価格について、日本の先物市場に上場されているドバイ原油のスポット価格を見てみましょう。オレンジの線です。


3

出典)石油連盟 「指標原油とは」


原油価格は、株価とも密接な相関関係にあります。*2

原油が高い時は株価も上がっているという正の相関関係もあれば、株価が低迷しているときと連動する逆相関関係もあります。
ではなぜ、このような逆相関関係が生まれることがあるのでしょうか。

例えば2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が起こり、原油市場は急騰しました。一方で日経平均株価は、地政学的リスクの高まりや世界的なインフレ加速による景気減速懸念などから安値に繋がりました。

原油高・株高の構図にならなかったのは、需要の高まりから原油価格が上昇したのではなく、ロシアのウクライナ侵攻による原油の供給不足への不安など特殊な要因によって急騰したことが大きな要因と考えられるでしょう。

また最近では、アメリカ・イスラエルによるイランへの攻撃です。空爆開始直後、株価は下落傾向、原油価格は上昇傾向で、やはりこの時も逆相関関係でした。


4

出典)第一ライフ資産運用経済研究所 「近年の戦争とマーケット」


原油価格と株価は連動するとはいえ、正・逆どちらのパターンでの連動かは、その要因によって大きく変わるということです。


他にもある原油価格変動の要因

今は非常事態なので値動きは荒くなっていますが、原油価格を決めるもう一つの要素があります。
というのは、OPECプラスは世界の景気動向を見ながら、産油量を調整しているからです。時には増産、時には減産という措置を取ります。*6

もちろんインフラの都合など操業上の理由、ということもありますが、原油価格を安定させるためでもあります。そのためOPECプラスが増産・減産を決めるたびに原油価格が上下することもあります。アメリカやカナダなどの非加盟国の生産量も世界全体の供給に影響するため、これらの国の動きによって価格の変動が左右されることがあります。
新たな油田の開発が進む地域もあります。近年では、南米のガイアナが大規模な海底油田の発見をきっかけに急速に産油国として台頭しており、OPECプラスの決定がこれらの国の動きによって相殺されることもあります。

OPECプラスによる増産・減産のニュースが流れると原油価格に影響を与えることもありますが、それだけで先行きが決まるわけではない、ということも知っておきたいものです。



本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。


出典
*1 日本取引所グループ 北浜投資塾 「先物取引とは」
*2 Quick Money World 「原油価格はどう決まる? 株価との関係や関連銘柄は? 投資家なら知っておきたい原油の基本」
*3 石油連盟 「輸入原油価格の決まり方」
*4 日本経済新聞 「OPECプラスとは 石油価格の安定へ生産調整」
*5 日本経済新聞 「シェール革命とは 米、石油・ガス生産急増で輸出国に転換」
*6 独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構 「石油の増産・減産で何が起こる? ガソリン価格への影響も解説!」


清水 沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後TBSに入社、主に報道記者として勤務。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として国内外の各種市場、産業など幅広く担当し、アジア、欧米でも取材活動にあたる。その後人材開発などにも携わりフリー。取材経験や各種統計の分析を元に各種メディア、経済誌・専門紙に寄稿。
趣味はサックス演奏と野球観戦。

関連コラム
もっとみる >
scroll-back-btn