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介護休業の取得条件や期間は?給付金の仕組みと併せてくわしく解説
介護休業の取得条件や期間は?給付金の仕組みと併せてくわしく解説

介護休業の取得条件や期間は?給付金の仕組みと併せてくわしく解説

2023/07/02・提供元:Money Canvas

家族に万一のことがあった場合や、近い将来に両親を介護する場合に備えて、介護休業・介護休業給付制度を理解しておくことは大切です。

この制度を他の制度・サービスと併用して活用することで、仕事と介護を両立させる体制を整えることができます。

本記事では、介護休業制度と介護休業給付金について説明し、併用が推奨されている他の制度・サービスについてもご紹介します。


介護休業制度

介護休業制度とは、介護が必要な家族を介護するために取得する休業の制度です。


制度を活用できる労働者

この制度を利用できるのは、後述する対象家族を介護する労働者ですが、日々雇用は除きます。*1

ただし、パートやアルバイトなど、期間を定めて雇用されている人は、申出の時点で次の要件を満たすことが必要です。

「この制度の取得予定日から起算して、93日を経過する日から6か月を経過する日までに、契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。」

言い換えると、この制度が利用できるのは、取得予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過するまでに、契約期間が満了しない人、あるいは契約期間が満了しても更新されることが明らかな人です。

以下の図1は、要件を満たす場合と満たさない場合の例を表しています。


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図1 介護休業制度利用の要件を満たす場合と満たさない場合の例

出所)厚生労働省「介護休業とは」を参考に筆者作成


ただし、無期雇用労働者と同じように、労使協定が締結されている場合でも、以下に該当する人は対象外となります。

  • 入社1年未満の労働者
  • 申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

なお、ここでいう「労使協定」とは、以下を指します。

  • 事業所ごとに労働者の過半数で組織する労働組合(労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)と、事業主との書面による協定

対象となる家族と休業期間

対象となる家族(対象家族)とは、要介護状態にある家族で、配偶者(事実婚を含む)、子(養子を含む)、父母(養父母を含む)、配偶者の父母(養父母を含む)、祖父母、兄弟姉妹、孫です。*1


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図2 介護休業制度の対象となる家族

出所)厚生労働省「介護休業とは」を参考に筆者作成


対象となる休業期間は、対象家族1名につき3回まで、通算93日までです。*1
要介護状態というのは、負傷、疾病、あるいは身体上または精神上の障害により、2週間以上にわたり、常時介護を必要とする状態にあることを指します。

ただし、この「2週間」は、介護休業の期間が2週間以上必要だという意味ではなく、あくまでも対象家族が常時介護を必要とする期間のことで、介護休業はそれより短い期間であっても構いません。


手続き方法

介護休業を取得したい労働者は、休業開始予定日の2週間前までに、書面等で事業主に申出ます。*1

休業終了予定日を繰り下げ変更したい場合には、休業終了予定日の2週間前までに申出れば、1回の申出につき、1回限り、その理由に関わらず休業終了予定日を繰り下げ変更することができます。

申出をする際の書面は、社内様式があればそれを利用し、社内様式がなければ厚生労働省の以下の社内様式例を活用することができます。

事業主は、介護休業の申出があったときには、介護休業開始予定日と介護休業終了予定日などを労働者に速やかに書面などで通知しなければなりません。

申し出をする際の書面や事業主が使用する通知書に法定様式はありませんが、社内様式が特にない場合等は、厚生労働省が提供している社内様式例(上記のもの)を活用することができます。

厚生労働省 介護休業関連書類 社内様式例

上述のように、申出は休業開始予定の2週間前までと定められていますが、就業規則で2週間より短縮して条件設定することも許容されています。

留意が必要なのは、介護休業開始日の繰上げ・繰下げ変更についてです。
育児・介護休業法には、介護休業開始日の繰上げ・繰下げ変更については定めがありません。
もし、介護休業開始日の繰上げ・繰下げ変更の必要がある場合には、労働者と事業主で話し合って決めることとされています。

また、休業開始日の変更を認める場合は、変更できることと、その手続きについて、あらかじめ就業規則などで明記しておくことが望ましいとされています。


介護休業と組み合わせて活用できる制度・サービス

厚生労働省は、仕事と介護を両立させるために、介護休業と他の制度・サービスを組み合わせて活用することを提唱しています。*1
具体的には、育児・介護休業法の両立支援制度、介護保険制度の介護サービスです。

たとえば、介護のためには、短時間勤務等の措置や、所定外労働・時間外労働・深夜業が制限される措置があります。*2(p.3)

また、市町村・地域包括支援センター・ケアマネジャーへの相談、介護サービスの手配、民間事業者やボランティア、地域サービスなどの利用可能なサービスを活用することも提唱されています。*1

基本的に、介護休業に関しては都道府県労働局に、介護保険サービスについては地域包括支援センターに相談することができます。*2


介護休業給付金

次に、介護休業中に受給できる介護休業給付金についてみていきます。*3


支給対象となる介護休業

介護休業給付金は、次の1と2を満たす介護休業に対して支給されます。
ただし、支給対象となる同一の家族について、93日を上限に3回までと限られています。

  • 介護するのは、上述の介護休業の対象となる家族であること
  • 被保険者が、その期間の初日と末日になる日を明らかにして事業主に申出を行い、そのことによって被保険者が実際に取得した休業であること

ただし、介護休業は、産前・産後休業中に開始することはできません。
介護休業中に他の家族に対する介護休業、産前・産後休業、育児休業が開始された場合は、それらの新たな休業の開始日の前日をもって当初の介護休業は終了し、その日以降の分は介護休業給付金の支給対象とならないため、留意が必要です。


介護休業給付の受給要件

介護休業給付の受給資格は、介護休業の開始日前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が12か月以上あることです。

なお、上記期間が12か月に満たない場合であっても、当該期間中に本人の疾病等がある場合は、受給要件が緩和される場合があります。

ただし、介護休業開始時点に、有期雇用労働者(契約期間に定めのある人)の場合は、上述の要件に加え、以下のような要件も必要です。

  • 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでないこと。

したがって、上記の期日までに労働契約が満了することが明らかな場合には、受給要件を満たさないことになります。

介護休業給付は、介護休業終了後の職場復帰を前提とした給付金です。
そのため、介護休業の当初からすでに退職を予定しているのであれば、介護休業給付の支給対象にはなりません。

また、就労した場合、1支給単位期間(基本的に30日)において、就労している日数が10日以下でなければ、その支給単位期間については支給対象となりません。
さらに、介護休業終了日の属する1か月未満の支給単位期間については、就労している日数が10日以下であることに加え、全日休業している日が1日以上あることが必要です。

なお、この就労日数は、在職中の事業所以外で就労した分も含まれます。


手続き方法

必要書類を持参し、在職中の事業所を管轄するハローワークに申請します。

介護休業給付の申請手続きは、原則として事業主経由で行う必要がありますが、被保険者本人が希望する場合は、本人が申請手続きを行うことも可能です。

支給金額

介護休業給付の支給単位期間ごとの給付額は、以下により算出します。

「休業開始時賃金日額(介護休業開始前6か月間の総支給額を180で除した額。賞与を除く。)×支給日数(原則として30日。)×67%」

ただし、1支給単位期間(原則として30日)において、「休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上の賃金が支払われている場合、介護休業給付の支給額は、0円となります。
また、80%に満たない場合でも、収入額に応じて、支給額が減額される場合があります。

正確な金額は、ハローワークに提出する「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」によって休業開始時賃金日額が確定し、算出されます。


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仕事と介護の両立のために

最後に事業主の責務と、介護休業を活用することの重要性についてみていきましょう。


事業主の責務

事業主は、要件を満たした労働者の介護休業の申出を拒むことはできません。*4(p.65)

また、法律で労働者の権利として定められたものよりも、労働者に有利な条件を設定することは自由です。*4(p.64)

むしろ、労働者の福利厚生を充実させるために、休業期間、取得回数、対象となる家族の範囲などの事項に関して、法の内容を上回るような制度を定めるよう、事業主の努力が求められています。

逆に、介護休業の対象となる労働者の範囲をこの法律で示された内容より狭くしたり、対象家族の範囲、休業期間、申出の手続についてこの法律の規定より厳しい条件を設けたりすることは許されておらず、そのようなことが定められた就業規則の当該部分は無効となります。


介護休業活用の重要性

継続的な介護には、経済的な負担がかかります。
また、介護が終わった後の生活を視野に入れても、経済的基盤は重要です。

介護に直面してもすぐに退職せず、仕事と介護を両立するための制度・サービスを活用して、仕事を続けながら介護をするという方向性を探ることは経済基盤を支えるためにも有益でしょう。

いつ家族の介護が必要になるか、わかりません。
いざというときのために、介護休業と介護休業給付金制度の概要を理解しておくことが大切です。


本稿執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。


出典
*1厚生労働省「介護休業とは」
*2厚生労働省「マンガでわかる 介護休業制度」p.2
*3厚生労働省「Q&A~介護休業給付~」
*4厚生労働省「Ⅲ 介護休業制度」p.64, p.65

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