logo
Money Canvas(マネーキャンバス)
back icon
clear
back icon
資産運用で確認しておきたい重要指標は?読み方やポイント、注意点を紹介
資産運用で確認しておきたい重要指標は?読み方やポイント、注意点を紹介

資産運用で確認しておきたい重要指標は?読み方やポイント、注意点を紹介

2025/01/07に公開
提供元:大西勝士

資産運用に取り組む際は、株価や為替の動きはもちろん、国内外の景気動向にも注目する必要があります。景気の現状や見通しを把握するには、どのような指標に注目すればよいのでしょうか。

本コラムでは、投資初心者の方向けに、資産運用で確認しておきたい重要指標の内容と読み方・ポイントを紹介します。


株価・為替に関する重要指標

まずは、株価・為替について確認しておきたい指標を紹介します。


主要株価指数

株価指数とは、複数銘柄の株価を一定の算式で総合的に数値化したものです。 株価指数をみれば、株式市場全体の値動きを把握できます。*1

定期的に確認しておきたい主な株価指数は以下のとおりです。


0

出典)三菱UFJアセットマネジメント「当サイトで使用している指数について」をもとに筆者作成


日本の株価と米国の株価は連動する傾向にあるため、日経平均株価やTOPIXだけでなく、NYダウやS&P500の動きも併せて確認するとよいでしょう。*2
MSCI AC ワールドをみれば、世界全体の株価の動きを把握できます。


為替相場

為替相場の変動は、株価の変動要因の1つです。円安は輸出企業、円高は輸入企業の売上・利益が増える要因となります。そのため、 為替相場が円安に振れると輸出企業、円高に振れると輸入企業の株価上昇につながります。*3

また、 為替相場の変動は、外貨建て資産の価値にも影響を与えます。海外の株式や債券に投資している場合、円安になると為替差益が発生し、円換算後の価値が高まります。反対に、円高になると為替差損が発生するため、円換算後の価値が目減りします。*4

米ドル円相場やユーロ円相場は、経済ニュースで毎日のように報道されています。まずは米ドル円相場を確認する習慣を身につけ、余裕があればユーロ円相場にも注目しましょう。


主要国の中央銀行の金融政策

中央銀行は経済や物価の安定を図るため、政策金利や通貨供給量などを操作する金融政策を決定・実行しています。*5

政策金利とは、中央銀行が設定する短期金利(誘導目標金利)のことで、金融機関の預金金利や貸出金利などに影響を与えます。*6

一般的に、政策金利の引き上げ(利上げ)は株価下落、政策金利の引き下げ(利下げ)は株価上昇につながります。*6
また、主要国の中央銀行の金融政策は為替相場の変動要因にもなるため、市場関係者から常に注目されています。


日銀金融政策決定会合

金融政策決定会合とは、日銀の政策委員が金融政策の方向性について審議・決定する会合です。年に8回開催され、金融経済情勢に関する検討を行い、次回会合までの金融市場調節方針を決定します。*7

具体的には、政策金利を変化させる「政策金利操作」、日銀が国債などを売買する「公開準備操作」などにより、金融市場における資金量の調整を行っています。また、経済・金融情勢に関する基本的見解も示されます。

金融政策決定会合の結果を受けて、株価や為替が大きく動くことも珍しくありません。
決定内容は経済ニュース等で報じられるため、定期的に確認しておきましょう。


〇日銀の金融政策決定会合について、さらにくわしい解説はこちら!

FOMC

FOMCとは、米国の金融政策を決定する会合です。FRB(米連邦準備制度理事会)が年に8回開催します。日銀の金融政策決定会合と同じく、通貨供給量や政策金利の誘導目標などが決定されます。*8

米国株に投資する場合は、FOMCでの決定内容を確認しておく必要があるでしょう。


〇アメリカFRBの利上げ・利下げによる日本への影響について、さらにくわしい解説はこちら!

また、 日米の金融政策の違い(日米金利差)に注目 することも重要です。
経済成長率やインフレ率の違いから、基本的に日本より米国のほうが金利水準は高く推移しています。高金利の通貨で運用したほうが多くの利益が期待できるため、日米金利差が拡大すると日本から米国に資金が流れ、円安が進行しやすくなります。反対に、日米金利差が縮小すると円高が進行しやすくなります。*9


〇日米金利差と為替・株価の関連性について、さらにくわしい解説はこちら!

資産運用で押さえておきたい経済指標

経済指標とは、内閣府や各省庁、日銀などの公的機関が公表している経済状況に関する統計データです。実際に公表された数値が事前予想から大きく外れると、株価に影響を及ぼすことがあります。*10

ここでは、資産運用で押さえておきたい主要な経済指標を紹介します。


GDP(国内総生産)

GDP(国内総生産)とは、一定期間内に国内で産出された財やサービスなどの付加価値の総額です。その国の経済規模や景気動向を表す指標となります。*11

付加価値とは、モノやサービスを販売した際の価値から原材料等を差し引いた価値のことで、国内で生み出された儲けといえます。*12

前期・前年からのGDPの増加率を「経済成長率」といいます。
経済成長率がプラスであれば景気拡大が予測できるため、企業の業績アップへの期待感から株価上昇につながる可能性があるでしょう。*13


〇GDPについて、さらにくわしい解説はこちら!

日銀短観

日銀短観(全国企業短期経済観測調査)とは、日銀が四半期ごとに実施している統計調査です。全国約1万社の企業を対象に景気の現状と先行きについて調査を行い、その集計・分析結果をもとに日本経済を観測しています。

日銀短観のなかでも、特に注目度が高いのが「業況判断DI」です。企業は「良い」「さほど良くない」「悪い」の3つから回答します。業況判断DIは、「良い」と回答した企業の割合から、「悪い」と回答した企業の割合を差し引いて算出します。*14

業況判断DIは回答期間から公表まで約1ヵ月と短く、速報性が高いため、株式市場への影響力が強いといわれています。
単月の結果だけでなく、過去の推移に注目することも重要です。


〇日銀短観について、さらにくわしい解説はこちら!

米国雇用統計

米国雇用統計とは、米国の雇用情勢を調べた経済指標です。米国労働省が、毎月第1金曜日に10数項目の統計を発表しています。 特に注目度が高いのが、「失業率」と「非農業部門就業者数」の2つです。

FRBは、「物価の安定」と「国民の雇用の最大化」を目的としています。米国雇用統計の結果は、FOMCにおける金融政策の決定にも大きな影響を与えることから、市場関係者が注目しています。*15

米国雇用統計から景気の底堅さを確認できると、投資家のリスク志向が強まるため、株価上昇につながります。反対に、米国雇用統計の結果が市場予想を下回ると株価が下落する可能性があります。


〇雇用統計について、さらにくわしい解説はこちら!

まとめ

資産運用に取り組むなら、株価指数や為替相場の動向を把握することが重要です。さらに、主要国の金融政策や各種経済指標をチェックすれば、景気の現状や見通しが理解できるため、投資判断がしやすくなるでしょう。

ただし、株価にはさまざまな変動要因があります。指標の数値どおりに株価が動くとは限らない点に注意しましょう。



本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客さまご自身の判断でお取り組みをお願いいたします。

出典
*1 三菱UFJ銀行「株価指数とは?初心者が知っておきたい種類や変動する要因をわかりやすく解説」
*2 Money Canvas「アメリカFRBの利上げ・利下げは日本にどう影響する?」
*3 Money Canvas「株価変動の仕組みや要因を解き明かす!過去事例から学ぼう」
*4 全国銀行協会「円高、円安がわかる!為替相場のしくみと影響」
*5 日本経済新聞「中央銀行の役割を知る」
*6 三菱UFJ銀行「政策金利」
*7 Money Canvas「日銀の金融政策決定会合とは?基礎知識と株価・為替への影響をわかりやすく解説」
*8 三菱UFJモルガン・スタンレー証券「解説!知っておきたい経済指標」
*9 Money Canvas「日米金利差はなぜ注目される?為替や株価との関連性をわかりやすく解説」
*10 Money Canvas「株式投資に影響する経済指標とは?株価との関係も解説」
*11 日本経済新聞「GDPとは 景気動向はかる指標、日本は個人消費が5割」
*12 Money Canvas「GDPとは 実質と名目の違い、日本のGDP推移を含めわかり易く解説」
*13 Money Canvas「株式投資に影響する経済指標とは?株価との関係も解説」
*14 Money Canvas「日銀短観はなぜ注目される?業況判断DIの見方や株価・金利への影響を解説」
*15 Money Canvas「米国雇用統計の株価への影響とは?株価上昇のカギを解説」


大西 勝士
おおにし かつし

金融ライター(日本FP協会 AFP認定者)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで記事を執筆中。得意領域は投資信託、不動産、税務。

関連コラム
もっとみる >
Loading...
scroll-back-btn