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小金持ちになったときに、その人の真の姿が見える。
小金持ちになったときに、その人の真の姿が見える。

小金持ちになったときに、その人の真の姿が見える。

2024/04/11・提供元:安達裕哉

私たちは日々、様々な人と接しています。職場の同僚や上司、友人、家族。

彼らの多くは、社会的規範に従い、礼儀正しく振る舞っています。しかし、人は本当にそのような姿なのでしょうか。

私は、コンサルタントとして、多くの会社に出入りしましたが、実は 人の真の姿を知るには、「話をする」だけではなく、その人がお金をどのように使うか、何に身銭を切るかを見ることが重要だと考えています。




例えば、過去の私のクライアントの一人に、システム開発業の経営者がいました。

彼は社内的には「世の中のためになる」「社員の働きがいを高める」と打ち出していましたが、彼が実際にカネを投じていたのは、社員の給与や設備投資ではなく、自分自身のマンション、スーパーカー、そして夜の店でした。

あるいは、成功した経営者の中には派手なCMや豪華なオフィスにお金を注ぎ込む人もいます。それは「社員のため」というよりも、実際にはCMと派手なオフィスによって、自分の権勢を示すことが目的だったようでした。

一方で、自分を誇示することに全く興味のない経営者も存在しました。
あるベンチャー企業の若き経営者は、簡素な生活を好み、中古車に乗り、庶民的な食事をします。
稼ぎ出した資金の大半は、新規事業の投資や、社員の育成に充てているのです。彼にとって、お金は従業員や社会のために活用するものでした。
自分のために使うよりも、会社のために使うほうが、彼は満足度が高かったのでしょう。

ただ、誤解の無いように強調したいのは、これらの間に「どちらが良い、どちらが悪い」という話はないという点です。

言いたいことは一つ。
お金の使い方は、その人の価値観や人格を如実に表す。自分の欲望を優先する経営者もいれば、従業員や会社の拡大にひたすらまい進する経営者もいる。その経営者のお金の使い方を見れば、会社の文化や価値観も透けて見えてくるはずです。

もちろん、これは経営者だけの話ではありません。

例えば、スポーツ界にも、お金の使い方に関する興味深い事例があります。NBA選手の60%が引退から5年以内に破産するという統計があります。

ある有名なNBA選手は、現役時代に1億ドル以上を稼ぎました。しかし、引退後わずか数年で破産してしまいました。彼は高級車を10台以上所有し、毎晩のように豪華なパーティーを開いていたと言います。
また、友人や家族への貸付金も多額に上り、返済を受けられないまま破産に至ったのです。彼は、お金を自分の欲望を満たすためだけに使い、将来への備えを全く怠っていました。

しかしそれは 「お金を持ったからそんな行動に走った」というよりは、お金を持ったことでその人の元の性向が露出した、と言うべきでしょう。でなければ、破産にまで至ることはないはずです。

宝くじが当たっても、幸福な人生が約束されていないのはこのためです。
人は金銭的に満たされると、次に満たしたくなるのは権力欲、承認欲求、安心感などの、根源的な欲求なのです。




自己中心的で目先の快楽を追求する人は、そのような形で、お金を浪費する傾向にあります。
一方で、倫理観や社会的責任を重んじる人は、お金を慈善事業や社会貢献に活用する傾向が強いのです。

お金の使い方を見て、その人の真の姿を知ることができるということは、逆に言えば自分のお金をどのように管理し活用するのかが、成功の度合いに関わらず、誰にとっても重要な課題だとも言えます。

お金は私たちの人生を豊かにしてくれる一方で、私たちの本性をさらけ出してしまう諸刃の剣でもあり、したがって、 マネーリテラシーを鍛える、ということは、すなわち、人格を見直す、という事にもなります。

例えば、ある起業家は、事業で成功を収め、多額の富を築きました。

当初は、浪費行動に走った彼ですが、「金で作った縁は、金がなくなると終わる」という当たり前の事実に気づき、彼は物質的な豊かさだけでは満たされないことに気づいたのです。

そこで、自分の財産の一部を、教育支援や医療支援などの社会貢献活動に充てることにしました。お金を社会のために役立てることで、自分の人生の再定義が可能になったのです。

また、ある家族は、毎年豪華な海外旅行に出かけることを楽しみにしていました。しかし、子供たちが成長するにつれ、家族で過ごす時間が減っていくことに気づいたのです。そこで、海外旅行をやめ、その予算で、複数回の国内旅行に出かけることにしました。
彼は「豪華であること」を重視する人生から、「時間を大切にする」人生への切り替えを果たしました。




私たちはSNSなどで、毎日のように「小金を手にした人間」を目にすることができます。
そしてそこで誇示されている「金の使い方」を見てください。

自分があこがれるような使い方であれば、見習うべきかもしれません。
しかし、 「成金趣味だな」とあなたが思うような使い方であれば、彼がどのようなきれいごとを述べていたとしても、「そういう人物」なのです。

逆に言えば、ちょっとお金を持った時に「自分のお金の使い方」を晒すことは、自分の人格をそのまま晒すことにほかなりません。それはある意味、自分の最も深い欲望をさらしていることと同じですから、自己顕示を目的とした金の使い方を人に見せることには十分な注意を払うべきです。

繰り返します。
くれぐれも気を付けて下さい。
口で言っていることと、金の使い方が異なっていることは、人格を疑われることになりかねないのです。



安達裕哉
あだちゆうや

1975年生まれ。デロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社後、品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事。その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。
大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」の経営者として、コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。


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