
新NISAの普及などを背景に、「ほったらかし投資」への関心が高まっています。
しかし、「本当に何もしなくて大丈夫なのか」「初心者でも失敗しないのか」という疑問を持つ方もいるかもしれません。
結論からいえば、「ほったらかし投資」は何もしない投資ではなく、最初に仕組みを整えたうえで、長期的に育てていく投資方法です。
投資の世界では、頻繁に売買を繰り返すよりも、「長期・積立・分散」を基本にしたシンプルな運用のほうが成果につながりやすいとされています。
その際、相場の変動に一喜一憂せず、時間を味方につけて、継続することが重要です。
本記事では、「ほったらかし投資」とはどのような考え方なのか、なぜ初心者に向いているのかについて、資産運用の基本をふまえてわかりやすく解説し、長く続けていくためのポイントを紹介します。
「ほったらかし投資」とはどのような投資でしょうか。
「ほったらかし投資」とは、短期間で大きな利益を追求するのではなく、長期的な視点から資産を運用する方法を指します。*1
市場の短期的な変動や急激な価格変動に惑わされないため、投資した後に頻繁に見直しや手入れをする必要がありません。
主に、NISAによる投信積立やiDeCo、ロボアドバイザーを通じて、分散投資を行うことが多く、時間を味方につけて資産を育てることが可能です。
そのため「ほったらかし投資」は、投資初心者や、忙しくて投資に時間を割けない人が、リスクを抑えながら資産を増やす手段として向いています。
では、「ほったらかし投資」の主な選択肢であるNISAとiDeCoを利用している人はどのくらいいるのでしょうか。
下の図1は、2025年12⽉末のNISA口座数と買付額を表しています。*2
図1 2025年末のNISA口座数と買付額
出典)金融庁 「NISAの利⽤状況(速報値)」
NISA口座数は年々増加し、2025年末には、2,826万⼝座に達しています。
また、NISA買付額は累計71兆円で、「2027年12⽉末までに56兆円」という政府目標を既に達成しています。
2026年4月末のiDeCo加入者は、前年同月比108.4%の3,951,770人に上ります。2026年4月の新規加入者だけみても、前年同月比134.8%の36,662人でした。*3
このように、「ほったらかし投資」を利用する人は年々、増加しています。
「ほったらかし投資」が投資初心者に向いているのは、「長期・積立・分散投資」という資産運用の基本をふまえているからです。
それぞれどのようなものかみていきましょう。
長期間投資を続けると複利の効果が大きくなります。*4
複利とは、投資や預金などで得た収益を、元本にプラスして運用することで得られる利益のことです。
次の図2は、毎月1万円ずつ、年利3%で運用した場合の運用資産額を表しています。
図2 毎月1万円、年利3%で運用した場合の運用資産額
出典)金融庁 「資産形成の基本」
また、金融市場は、短期的には大きく変動することがありますが、保有期間が長くなればなるほど、バラツキがならされ、リターンが安定する傾向があります。*5
このように、長期投資を活用することで、安定した収益の確保が期待できます。
「積立投資」とは、一括で投資するのではなく「あらかじめ決まった金額」を継続して投資することです。*4
積立投資なら、少ない金額からコツコツ始めることができます。
積立投資することで、安いときに買わなかったり、高いときにだけ買ってしまうことを避けられます。
次の図3は、たとえば以下のような値動きのあったときに、投資信託を最初に4万円分一括で買ったときと、4か月間、毎月1万円ずつ定額で買ったときを比べたものです。*5
図3 投資信託を一括で4万円分買ったとき・毎月1万円ずつ4か月間定額で買ったときの比較
出典)金融庁 「基礎から学べる 金融ガイド」p.14
どちらも購入総額は4万円ですが、一括で購入した場合と毎月定額を継続して購入した場合では、購入口数と平均購入単価が異なっています。
一括で購入した場合には、購入口数は計4万口で、1万口あたりの平均購入単価は1万円でした。
一方、毎月1万円ずつ積立投資をした場合には、購入口数は計4.5万口、1万口あたりの平均購入単価は約9千円でした。
このように、積立投資は、投資するタイミングによるリスクを抑える効果があります。
1つの資産だけに投資するのではなく、値動きが異なる複数の資産(国内/海外、株式/債券/不動産など)に投資を行うことを「分散投資」といいます。*4
分散投資は、価格の変動をある程度抑えられ、安定的な運用につながる可能性があります。
次の図4は、「長期・積立・分散投資」の実績を表しています。*5
図4 「長期・積立・分散投資」の実績
出所)金融庁 「基礎から学べる 金融ガイド」p.13
次に「ほったらかし投資」を長く続けていくためのポイントについてみていきましょう。
市場は常に変動しており、その動きを正確に予測することは容易ではありません。*1
時には大きく値動きすることもありますが、そのたびに慌てて行動するのではなく、落ち着いて対応することが大切です。
短期的な相場の流れを活用する投資手法もありますが、長期的な視点で資産形成を続けるほうが、安定した成果につながりやすいとされています。
投資を行う際は、一時的な値動きや感情に左右されず、客観的な情報やデータに基づいて判断することが重要です。
前述のように、分散投資とは、値動きの異なる複数の資産に資金を振り分けることで、リスクを抑える投資手法です。
一つの資産に集中して投資すると、その資産の価格が大きく下落した際に資産全体への影響も大きくなります。
一方、異なる種類の投資商品に投資することで、一部の資産が値下がりしても他の資産がその影響を和らげることが期待できます。
分散投資は、市場環境の変化による影響を抑えながら、長期的に安定した資産形成を目指すうえで欠かせない考え方です。
分散投資を徹底しましょう。
「ほったらかし投資」は、頻繁に売買を行わず長期的に運用を続ける方法ですが、まったく状況を確認しなくてよいというわけではありません。
市場環境や経済情勢は常に変化しているため、自身の資産がどのように推移しているかを定期的に把握しておくことが大切です。
資産状況を確認することで、運用方針が当初の目的に合っているかを見直したり、必要に応じて資産配分を調整したりすることができます。
そのため、自分のリスク許容度に合ったポートフォリオを維持しやすくなり、長期的な資産形成にもつながります。
大切なのは、日々の値動きに一喜一憂するのではなく、定期的に状況を確認しながら、長期的な視点で運用を続けることです。
「ほったらかし投資」は、何もしない投資ではなく、「長期・積立・分散投資」という資産運用の基本を活かしながら、時間を味方につけて資産を育てていく方法です。
特に投資初心者にとっては、相場の値動きを追い続ける必要がなく、無理なく続けやすい点が大きなメリットです。
もちろん、投資にはリスクが伴うため、定期的に資産状況を確認し、自分の目的やリスク許容度に合った運用を続けることが大切です。
短期的な市場の変動に振り回されず、長期的な視点でコツコツと続けることが、将来の資産形成につながる第一歩となるでしょう。
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
本コラムの内容は、特定の金融商品やサービスを推奨あるいは勧誘を目的とするものではありません。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客さまご自身の判断でお取り組みをお願いいたします。
出典
*1 三菱UFJeスマート證券 カブヨム 「手間をかけたくない人に最適!ほったらかし投資がおすすめな理由」(2025年8月6日)
*2 金融庁 「NISAの利⽤状況(速報値)」
*3 iDeCo公式サイト 「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況」(2026年4月)p.1
*4 金融庁 「資産形成の基本」
*5 金融庁 「基礎から学べる 金融ガイド」p.13, 14
