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違法な資産運用業者に要注意 見分けるポイントを弁護士が解説
違法な資産運用業者に要注意 見分けるポイントを弁護士が解説

違法な資産運用業者に要注意 見分けるポイントを弁護士が解説

2023/11/16に公開
提供元:阿部由羅

投資詐欺の被害事例が相次いでいますが、ほぼすべてが無登録の違法業者によるものです。違法な資産運用業者を見極めるためのポイントを押さえて、投資詐欺の被害に遭わないように努めましょう。


本記事では違法な資産運用業者のよくある手口や、投資詐欺に引っかからないためのチェックポイントなどを解説します。

違法な資産運用業者のよくある手口

投資を始めたばかりの方は、自分で資産運用をすることに自信がないので、「プロ」に資産運用を任せれば安心だと考えがちです。しかし、違法業者は投資初心者の弱みに付け込み、資金をかすめ取ろうと狙っています。


特に以下のような手口は、投資初心者をターゲットとした違法業者の常套手段です。

・「代わりに運用してあげるから資金を預けてほしい」と持ち掛ける

・投資勉強会などと称する高額セミナーの参加費を前払いさせる

・非常に高い利回りが得られると言って、超高リスクの取引に誘導する


こうした違法業者の手口に引っかかってしまうと、投資の元手の大半を失ってしまうことになりかねません。投資を行うに当たっては、違法業者に対して十分な警戒意識を持つことが大切です。

違法な資産運用業者の特徴|見分けるためのポイント

違法な資産運用業者には、主に以下の2つの特徴があります。

(1)金融庁の登録を受けていない

(2)禁止されている勧誘を行う


怪しい業者から資産運用の勧誘を受けた際には、必ず上記2点に当てはまらないかどうか確認しましょう。もしいずれか一つでも当てはまっていたら、勧誘に乗らないようにしてください。


金融庁の登録を受けていない

有価証券(株式・投資信託の受益権など)に関する業務を行うためには、金融商品取引法に基づき、業務の種類に応じた金融庁の登録を受ける必要があります。


たとえば、有価証券の取得(購入)を勧誘する際には、有価証券の種類・内容に応じて「第一種金融商品取引業」または「第二種金融商品取引業」の登録を受ける必要があります。

顧客に対して投資に関する助言を行うためには、「投資助言・代理業」の登録を受けなければなりません。

顧客の資産を預かって運用するためには、「投資運用業」の登録が必要です。


しかし、SNSなどを通じて資産を預けるように勧誘してくる業者は、その多くが必要な金融庁の登録を受けていません。


金融庁の登録を受けずに投資に関する助言をしたり、顧客の資産を預かって運用したりすることは、金融商品取引法に違反する犯罪行為です。無登録の違法業者に対しては、絶対に資産を預けてはいけません。


金融庁の登録を受けている業者については、金融庁のウェブサイト*1で確認できます。第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業の登録業者は、いずれも「金融商品取引業者」のPDFファイルまたはExcelファイルにて記載されています。


業者から資産運用に関する勧誘を受けた場合には、その業者が金融庁の登録を受けているかどうかを必ず確認しましょう。


禁止されている勧誘を行う

有価証券取引などのルールを定める金融商品取引法では、顧客の利益が不当に害される事態を防ぐため、金融商品取引業者による勧誘行為を規制しています。


以下に挙げるのは、金融商品取引業者に対して禁止されている勧誘行為の一例です。このような勧誘を受けた場合は、違法業者である可能性を疑い、勧誘を拒否しましょう。


(1)著しく事実に相違する表示、または著しく人を誤認させる表示

金融商品取引業者が顧客に対し、利益の見込みなどについて、著しく事実に相違する表示をし、または著しく人を誤認させる表示をすることは禁止されています(金融商品取引法37条2項)。

(例)真実の期待利回りは年3%程度であるのに、「年20%の利回りが期待できます」などと勧誘する


(2)取引態様を事前に明示しない行為

金融商品取引業者は、顧客が有価証券の売買等を行うに当たり、自ら売買の相手方となるのか、それとも別の人との売買を媒介・取次ぎ・代理するに過ぎないのかを明示しなければなりません(同法37条の2)。

上記のうちいずれの取引態様に当たるかを明示せずに有価証券の売買等を勧誘した場合は、金融商品取引法違反に当たります。


(3)取引に関する書面を交付しない行為

金融商品取引業者は原則として、顧客に対し、契約締結前および契約締結時において、取引に関する所定の事項を記載した書面を交付しなければなりません(同法37条の3、37条の4)。

顧客に対して契約締結前書面または契約締結時書面を交付しなかった場合は、金融商品取引法違反となります。


(4)断定的判断の提供

金融商品取引業者が顧客に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、または確実であると誤解させるおそれのあることを告げて、契約の締結の勧誘することは禁止されています(同法38条2号)。

(例)未公開株式について、将来的に上場するかどうかは分からないにもかかわらず、「上場確実です!」などと言って取得を勧誘する


(5)契約締結を拒否したにもかかわらず、勧誘を継続する行為

金融商品取引業者は、顧客が契約を締結しない意思を表示した場合には、勧誘を停止しなければなりません。契約締結を希望しない顧客に対して勧誘を続けた場合には、金融商品取引法違反に当たります(同法38条6号)。


(6)損失補てんの約束

金融商品取引業者が、有価証券の売買等によって顧客に生じた損失を補てんする約束をすることは禁止されています(同法39条1項)。


(7)適合性の原則違反

金融商品取引業者は、顧客の知識・経験・財産の状況や、契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘をしてはなりません(同法40条)。これを「適合性の原則」といいます。

(例)資産運用の経験がほとんどない顧客に対して、ハイリスクの信用取引を勧誘する

投資詐欺の疑いを持った場合の相談先

SNSなどを通じて投資勧誘を受けた場合には、ご自身だけで投資を決断せず、行政機関や専門家に助言を求めるべきです。


金融庁では「金融サービス利用者相談室*2」を設けています。詐欺的な投資勧誘については特に強く注意喚起が行われており、電話等で相談すれば、適切な対応方法についてアドバイスを受けられるでしょう。


また、すでに業者に対して資金を預けてしまった場合は、早急な対応が必要です。振り込め詐欺救済法*3に基づく口座凍結の申請など、預けた資金が失われてしまう前に迅速な対応が求められます。

資金を振り込んだ金融機関に対して直ちに連絡した上で、必要に応じて弁護士にもご相談ください。

まとめ

違法な資産運用業者の勧誘に乗ってしまうと、貴重な投資資金の大半を失ってしまう可能性が非常に高いでしょう。無登録業者や不適切な勧誘を行う業者には十分注意を払って、ご自身の資産を守りましょう。


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【初心者向け】サクッと学ぶ!資産形成の基礎知識 ②投資のリスクを知ろう!


本稿執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。


出典
*1金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」
*2金融庁「金融サービス利用者相談室 皆様の「声」をお寄せください!」
*3金融庁「振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ」



阿部 由羅
あべ ゆら

ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。


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