「防衛」は、国民の生命・財産の安全を確保する国防に関わる投資テーマです。
防衛省など官公庁や防衛装備品を手掛ける企業向けに製品やサービスを提供している銘柄が含まれます。
政府は2022年12月、今後10年程度の外交・防衛政策の指針となる「国家安全保障戦略」など3文書を改定しました。
反撃能力の保有など、防衛力を抜本的に強化する方針を打ち出したのです。
これに伴い防衛費を増額し、2023年度からの5年間でGDPの1%程度から2%程度に引き上げることを決定しました。2022年度に約5兆4000億円だった防衛費が、5年後の2027年度には約11兆円と倍増することになります。
これまで抑制的だった日本の防衛政策が大転換を迎えた背景には、世界情勢の変化があります。
中国や北朝鮮といった周辺国の脅威が年々高まっていることに加え、ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的な安全保障環境の不安定化もあり、日本を取り巻く状況が一段と厳しさを増しているのです。
人々の「防衛」に対する意識が高まるなか、関連銘柄への関心は今後も継続していくことになるでしょう。
日本の防衛装備に関連する企業は、護衛艦や潜水艦、次期戦闘機といった大型の装備品を製造する三菱重工業<7011>をはじめ、哨戒機や輸送機を手掛ける川崎重工業<7012>、中距離地対空誘導弾などを提供する三菱電機<6503>、日本と英国、イタリアの3カ国による次期戦闘機プロジェクトに参画するIHI<7013>など、大手を筆頭に数千社に及ぶとされています。
中小型の関連企業には、機雷などを製造す石川製作所<6208>、火薬や弾薬を加工した火工品を製造する細谷火工<4274>、自動小銃などを製造する豊和工業<6203>のほか、自動警戒管制システムなどを提供する日本アビオニクス<6946>、防護マスクや防毒マスクの興研<7963>や重松製作所<7980>などがあります。
世界的に紛争地域がなくならず、日本周辺でも北朝鮮や中国などの地政学リスクの高まりが存在するなか、国土防衛の観点から防衛関連の製品をつくる企業への関心が高まっています。
また、日本ではかつて「武器輸出禁止三原則」と呼ばれる政策を採っていましたが、2014年4月に武器輸出三原則に代わる新たな政府方針として「防衛装備移転三原則」が閣議決定され、兵器輸出の道筋もつけられました。
北朝鮮のミサイル開発の加速や中国による軍備の拡張と海洋進出の継続、ロシアによるウクライナ侵略などを受けて、政府は防衛力の増強を図っており、2023年からの5年間の防衛費をこれまでの約1.6倍となる総額43兆円に増額する方針です。
また、年間の防衛予算をGDPの1%程度から2%程度に増額する方針で、2022年度は約5兆4000億円だった防衛費が、2027年度には約11兆円と倍増する見通しです。
防衛費の増額は防衛装備の増強が進むことにつながり、防衛関連銘柄を取り巻く環境も大きく変化しています。
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