仕事に優れている人、そして稼ぐ人に、共通した行動原理が存在していることは、誰しもなんとなく考えたことがあるのではないでしょうか。
配慮のある行動。
面倒見の良さ。
「与えること」を第一に考える姿勢。
このような「成果を上げる人の特性」と思われる行動は、随所で話題になります。
しかし、それらを見習うことは簡単ではありません。
なぜなら、行動をつぶさに見ていても、こうした原理原則をその人の行動だけから見出すことは難しいからです。
そこで着目したいのが「口ぐせ」です。
口ぐせは、その人の価値観が強く反映される一言であり、ビジネスの現場で観察することも容易です。
口ぐせは習慣や思考法を反映しており、ビジネスの現場での行動原理を示しています。
実際、米国のビジネス誌「forbes」は「成功者が決して言わない言葉」として
などを挙げており、ビジネスの現場においての発言が、その人をよく表すという考え方は、日本だけではないようです。
では、私が様々な会社で観察してきた、優れた人の口癖はどのようなものであったのか。
以下でご紹介します。
「私がやります」という口癖は、主体性と責任感を示す典型的なフレーズです。
この言葉を使う人は、他者に対し、すすんで自分が責任を持って行動する意思を持っていることがわかります。
しかしなぜ、ビジネスで主体性が重要なのでしょうか。
それは「主体性」が責任を引き受けることを前提としているからです。
仕事はどんなものであっても、究極的には、ある事柄に対する遂行の責任を引き受ける行為です。
ところが、往々にして仕事のできない人間は、
「私のせいではない何かのせいで」仕事が遂行できなかった、と言い訳をするのです。
時間がなかった
お客さんが決めてくれなかった
製品が悪かった
お金が足りなかった
上司がちゃんと教えてくれなかった
「私がやっときますよ」という口ぐせを持つ人は、こういう発言をしません。
なぜなら、「自分が主となって責任を引き受けている」という意思が明確だからです。
時間が足りない。ではどうやったら納期に間に合うか。
お金が足りない、ではどうしたら資金を増やせるか。
上司が教えてくれない。ではどうしたら必要なノウハウが入手できるか。
このように、責任を第一に遂行することを考えるのが「優れた人」です。
裏を返せばこれは「リスクを取る人」とも言えますから、成功する起業家はほとんどこのタイプです。
「叩き台だしますねー」という言葉は、上と同じく主体性の現れですが、加えて実行力を示すフレーズです。
この口癖を持つ人は、アイデアを形にすることに積極的であり、手を動かす人であると言えます。また、チームの中で最も自己犠牲を厭わない、と考えてもよいでしょう。
どう考えても、貴重な人材です。
叩き台が一つあるだけで、メンバーとのコミュニケーションが活発になり、効果的な会議が実現するのは皆、わかっているのです。
しかし、それを用意するのはとても大変です。
ゼロからイチを作る行為がどんな仕事でもいちばん大変なのをわかっていて、それを引き受ける発言をするのですから、ある意味では最も信頼できる人と言えるでしょう。
「私がやっときますよ、叩き台だしますね。」
という口ぐせを部下に持つ人は、絶対手放してはいけません。
得難い人材です。
「どの数字を見たらいいですか?」という口癖は、成果と目標設定の重要性を認識している人のみが発する言葉です。
データに基づいた意思決定を重視し、プロジェクトの進捗を客観的に評価することは、往々にして「いい加減」になされがちですが、それを確認する行為を促す発言は、チームにとって貴重なものになります。
また、このフレーズは暗に「教えて下さい」という要求を含んでいます。
わからないところは、わからないままスルーしてしまう習慣となっている人が往々にしていますが、きちんと「教えて下さい」と述べる姿勢が、仕事には絶対に必要となってきます。
「何が障害になってますか?協力しますよ」という口癖は、問題解決スキルとチームワーク向上を重視しているフレーズです。
この言葉は他者の問題を積極的に特定し、解決に向けて協力する姿勢を示す言葉ですので、
この口ぐせを持つ人物は、「自分の責任範囲外の事柄」に対しても積極的に手を貸すことを受け入れています。
「他の人の進捗なんて、どうでもいいよー」
と、責任を区切るのも、時には必要な行為かもしれませんが、
「協力しますよ」という言葉が口癖になっている人は、それだけで貴重な人材であると言えるでしょう。
こういう人が、チームに一人いるだけで、途端に雰囲気が良くなるものです。
「今日中に打ち合わせできますか?」という口癖は、タイムマネジメントとコミュニケーション能力を示すフレーズです。この言葉を使う人はとにかく
ために、周りを牽引していくひとです。
実際、スピード重視の仕事の進め方を実践する人物は、とにかく「早くできることは早くやる」を実践します。時間を有効に使い、迅速に情報を共有することが、どれだけ無駄な時間の経過を防ぐか、知っているのです。
彼のような人物がプロジェクトに一人いると、プロジェクトの進捗がスムーズになり、
「スピードが大事である」ことを体現するため、全体のスピードが上がります。
彼もまた、得難い人材です。
「今日の話まとめますね」という口癖は、「叩き台だしますね」という人物と同様に、主体性だけではなく、実行力が伴っていることを示す好例となります。
この言葉を使う人は、会議においても、「自分が主体となって仕事を進める」という、強い責任感を持っている人が多いのです。
議事録を誰が取るのか決まっていない会議は、往々にして
「いつまでに」
「誰が」
「何を」
やるのかが、不明確なまま終わります。
それをわざわざ明確にするために、自分のリソースを使ってくれるのですから、こんな会社にとってありがたい人はいません。
その人物はおそらく、「自分がやらなければ、誰がやる」という強い信念を持っている可能性が高いのです。
「ごめんなさい!」という口癖は、謙虚さとフィードバックの重要性を示すフレーズです。
この言葉を使う人は、素直に自分の過ちを認め、改善に向けて努力する姿勢を示すことができることを自ら証明しているのです。
しかし「ごめんなさい」と率直に言える人は、それほど多くはありません。
自分の能力を疑われてしまうのではないか、バカにされてしまうのではないか、
そういうおそれが、往々にして勝ってしまうからです。
しかし、謙虚さを持たなければ、学びはありません。
学びがなければ、新しい事業も起こせず、リスクを取って挑戦することもできません。
「ごめんなさい」と言えるということは、成熟していることの証です。
こういう口ぐせを持つ人を、大切にしましょう。
大きく成長して、会社を支えてくれる人物になってくれるはずです。
以上、「仕事に優れている人、稼ぐ人の口癖」です。
もちろん、これは優れている人の一つの側面を取り上げただけで、これだけを取り上げて人を評価できると言うことにはなりません。
しかし、「言霊」という事が言われるように、口から発された言葉は、現実を変える力があります。
その人の主体性、実行力、謙虚さなどがよく分かる「口ぐせ」は、その人物の特性がよく現れるものです。
注意してみてください。とてもあたっていると思いますよ。