「リスキリング」とは、社会人が新たな職業に就けるようにするための“学び直し”のことです。
人工知能(AI)など技術の進歩によって今後私たちの働き方が大きく変わると予想されるなか、仕事をしながらスキルアップを目指していくことの重要性は増しています。
社員が新たな技術やスキルを身に着けることで企業の生産性が高まれば、日本経済全体にとってもプラスとなることから、政府もリスキリングを後押しする構えにあります。
一度仕事を辞めて大学などの教育機関に入り直す「リカレント」も含め、社会人の学び直しに向けた機運はこの先盛り上がりをみせることになるでしょう。
社会のデジタル化が急速に進むなかで、これに対応できるIT人材が不足していることから、近年リスキリングへの関心は世界的に高まっています。
米通信大手AT&Tは10万人の社員のリスキリングに10億ドルをかけて取り組んだ実績があるほか、米アマゾン・ドット・コムは2025年までに7億ドルを投じて従業員のリスキリングを実施することを明らかにしています。
一方、日本では富士通<6702>やキヤノン<7751>といった大企業を中心に取り組みが聞かれるようになりましたが、この分野ではまだまだ世界に遅れているのが現状です。こうした状況を受けて日本でもリスキリングが注目され始めてきました。
経済政策「新しい資本主義」の柱の一つとして、「人への投資」を重視する方針を掲げている岸田文雄首相は、2022年10月3日の臨時国会での所信表明演説で、個人のリスキリングの支援に5年で1兆円を投じると表明しました。
国の後押しを追い風に、この先株式市場でも折に触れ話題に上ることが期待できます。
関連銘柄としては、企業や社会人向けに教育サービスを提供している企業が注目されます。
研修を中心に社会人向け教育サービスを手掛けているインソース<6200>、リスキリングを通して教育・就職を支援する新規事業「まなクル」を展開するジェイテック<2479>、ビジネススキルからITスキルまでさまざまな研修を提供するブリッジインターナショナル<7039>など。
このほか、個人向けオンライン資格対策講座「スタディング」や法人向け社員教育サービスを展開するKIYOラーニング<7353>などが挙げられます。
リスキリングとは、従業員が社内で新たな業務に就けるようにするための学び直しのことです。
同じような意味を持つ言葉として「リカレント」がありますが、リカレントは自らが大学など高等教育機関で学び直すのに対し、リスキリングは企業が社員に対して今後必要となる仕事上のスキルを身につけさせることをいいます。
社会人の学び直しという点では同じですが、新しいことを学ぶためにたとえ一時的にでも「職を離れる」必要のないリスキリングに注目が集まっています。