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テーマ株発見のヒント 村瀬智一の株式市場の歩き方(2)
テーマ株発見のヒント 村瀬智一の株式市場の歩き方(2)

テーマ株発見のヒント 村瀬智一の株式市場の歩き方(2)

2023/05/23・提供元:Money Canvas

かつての東京証券取引所には、手サインを使って売買の注文を出す「場立ち」と呼ばれる証券マンがいました。そんな時代から株式市場をウォッチしてきた村瀬智一氏。
個人投資家好みの中小型株や材料株に強い同氏が「有望銘柄」の発掘方法を指南します。
連載第2回目は、個人投資家でもできるテーマ株の発掘方法を紹介します。


材料不足のマーケットで、テーマ株は乱舞する

株式市場では、それぞれの企業における成長こそが株価上昇の中核要因です。たとえば、投資家が企業の成長を見抜いたり、成長を加速させる兆しを察知したりすることによって、その当否にかかわらず「期待感」という形になって株価に表れます。
期待感を形成する要因の一つが「テーマ」となります。テーマに関連した物色は昔から存在しており、身近なところで言えば「外需株・内需株」といった大きな括りから、「少子・高齢化」「空き家対策」といった社会問題のほか、「アップル」「インバウンド(訪日外国人観光客)」「防衛」「省エネ」など時勢に沿ってさまざまなものが生まれてきます。

まだインターネットに投資情報が十分に無かったころは、さまざまな市場関係者から伝わった情報が「思惑」となって株価に反映されることも多くありました。
また、日々のニュース報道や新聞紙面で取り上げられた政治・経済などからテーマが検討され、投資家を関連する銘柄への物色に向かわせました。SNSを含め情報が氾濫している昨今は、突如としてあるテーマへの関心が急激に高まることも多く、できるだけ多くのテーマ株を知識として頭にストックしておき、初動に乗り遅れないようにすることが重要です。

ちなみに、テーマがにぎわう局面としては、物色の手掛かり材料を相場が欲している状況でもあります。決算発表シーズンになると投資家の関心は、個別企業の業績に集中することになります。しかし、これが通過してしまうと、何らかの物色の手掛かりを探る動きに向かいやすくなる傾向があります。


思惑先行でイレギュラーな価格形成も

具体的な話をしてみましょう。1995年1月17日に発生した阪神・淡路大地震では、地震が発生したことは報道されていたものの、震災直後の段階で東京市場に伝わってきた情報は限られていました。その後、徐々に地震の被害状況が伝わるごとに、多くの銘柄が急落していく一方で、復興関連といったテーマ物色が強まりました。このときは建設株が軒並み買われましたが、特に関西地盤の中堅土木の企業に資金が集中したほか、建機やコンクリート、仮設住宅などへ物色に広がりが見られました。また、電話回線が大きな被害を受けた一方で、インターネットはそれほど被害を受けなかったことから、ネット関連の銘柄への関心も高まりました。

この動きも「思惑」や「期待」が先行する格好で資金が集中した投機的な動きでもあります。たとえば、東洋建設(1890)は当時、2200円(分割修正)辺りから地震発生後に一気に4300円辺りまで急伸しました。ただし、2月以降は調整が強まり、3月末には急伸部分を帳消しにしていました。「思惑」が先行することでイレギュラーな価格形成となるため、いったん資金流入の動きが鈍ると、今度は換金売りに伴う需給悪化の影響を受けました。

需給面によるこういった株価の動きはテーマ株に限ったことではありませんが、特にテーマ株については多くの個人投資家の意思が集まることにより、過熱が冷まされれば株価は早い段階で修正されることになります。

直近の話題で言えば、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛を受けてテレワーク関連が物色されたことは記憶に新しいでしょう。2020年は1年を通じて強い相場となりましたが、テレワークの普及が一巡したとして2021年に入ると反対に年間を通じて調整が継続し、ほぼ上昇分を帳消しにしたような銘柄も見られます。一方で、インバウンド関連は新型コロナ感染拡大による渡航制限から急落したものの、その後は政府の支援策のほか、行動制限が緩和されるなかで、コロナ前の水準まで回復しています。


関連する企業の事業内容や実際の影響を要チェック

テーマは短命で終わるものから、年間を通じて一方向のトレンドが継続するものまでさまざまです。ピーク形成後は反動も強まりやすい点には注意する必要がありますので、テーマ自体の注目度の高さを客観的に見極めることが重要になります。また、テーマ自体を見るときは、事業内容や実際にテーマに沿った影響が見られているかを調べる必要があります。

たとえば、防衛関連では、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻からすでに一定時間が経ち、報道に対する株価反応も足元では限られています。また、北朝鮮のミサイル発射も数年前であれば地政学リスクへの高まりとともに物色資金が向かっていましたが、連日での発射となれば市場の反応も薄れます。

一方で、「政府は防衛費の増額を検討」するとの報道をきっかけに、防衛関連への物色が再燃しましたが、この時の対象銘柄には変化が見られました。防衛関連というと、石川製作所(6208)豊和工業(6203)重松製作所(7980)などの物色が定番でしたが、政府の報道を受けて、三菱重工業(7011)など大型株に対象がシフトしました。これまでの思惑的な側面が弱まって、実際に影響が見込まれる銘柄へのシフトと見られます。筆者もこの報道を受けて、「防衛省・自衛隊」のホームページを検索し、改めて調達情報を確認しました。三菱重工業が防衛省の調達先トップであることや、納入している製品などの詳細も確認できます。それによって、ほかの関連銘柄も調べることができますので、防衛に限らず政府のさまざまな施策については、内閣府や各省庁のホームページを閲覧し、事業規模など各種情報をチェックすることをお勧めします。


政府主導の政策に関連するテーマは長期目線で

また、政府主導による自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)推進では、「自治体 DX 地方創生」などと検索すると、各自治体の動きのほか、受注獲得のある企業などを調べることができます。思惑先行ではありますが、総務省によると本稿執筆時点(2022年11月)で全国に1,718もの市町村自治体があることから、今後の需要期待は大きそうです。また、企業はリリースを積極的に行っていることもあり、PRTIMES(https://prtimes.jp/)のサイトで「プレスリリース 上場企業」などと検索してみるものいいでしょう。

なお、話題のテーマ株には資金が集中しやすい一方で、全体の資金量は限られているわけですから、新たなテーマが出てくると、必然的に資金は次に流れていきますので、エントリータイミングと合わせて、クローズのタイミングが重要となります。


先行き不透明な半導体業界にも注目テーマは隠れている

最近筆者が注目したテーマの一つには「炭化ケイ素パワー半導体」があります。減速懸念が強まっている半導体関連ですが、米ウォールストリートジャーナル紙では、2022年8月に米議会で可決した「2022年半導体・科学法(CHIPS法)」案によって、ハイテク企業は支えられる可能性を伝えています。この法案は米半導体企業による研究開発・生産・労働力開発の支援に527億ドル(約7兆7600億円)を支給するものになります。

とはいっても、先行き不透明感が強いなかでは手掛けづらい面はあるでしょう。ただし、筆者はこの報道に加えてローム(6963)のほか、三菱電機(6503)富士電機(6504)といった大型株、さらに個人投資家の資金流入期待から、先ほどのタカトリやMipox(5381)東洋炭素(5310)タムラ製作所(6768)テセック(6337)ジェイテックコーポレーション(3446)などがヒットしました。

なお、テーマごとに関連銘柄が見られるサイト等もネット上には多数ありますが、情報が更新されていなかったりすることも多く、実際に自分で情報を取りに行くことは重要です。なんでも効率的にできる時代だからこそ、逆にそこに価値が生まれるという面もあるでしょう。



author
村瀬智一
むらせ・ともかず

大東証券(現みずほ証券)を経て、金融情報会社のフィスコで情報配信部長として活躍。2018年に投資情報サービス会社「RAKAN RICERCA(ラカンリチェルカ)」を設立。株式市場の潮流や需給、経済の動きなどから関連銘柄を発掘していく。IPO銘柄や中小型株に詳しく、マネー雑誌や投資系サイトなどでも執筆多数。


本稿執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。

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