一般NISA制度は2014年からスタートし、10年目に突入しました。
実際に、どのくらいの人が、どのような目的でNISAを利用しているのでしょうか。「NISAを始めたいけど、みんなはどの程度利用しているの?」など、他人のNISAの利用状況が気になる人もいるでしょう。
今回は、NISAを始めるか迷っている人へ、2023年まで行われる現行のNISA制度の利用状況について解説します。(2024年から新NISA制度へ移行します)
日本証券業協会が実施した調査によると、証券会社におけるNISA口座数の推移は下図のとおりです。
引用)日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2022年9月30日現在)について」p.1
2014年に開始した「一般NISA」と2018年にスタートした「つみたてNISA」を合わせた総口座数は、右肩上がりです。*1
また、2022年9月末の一般NISA口座における買付総額は、19兆5,242億円であり、前年から13.4%増加しました。*2
同様に、つみたてNISA口座における買付総額は1兆6,322億円であり、制度が始まった2018年末の563億円と比べると、約4年で買付額が大きく伸びています。*3
実際にNISA制度を利用している人は、投資経験者が多いのでしょうか。
日本証券業協会が実施したアンケート調査などをもとに、利用者の年代・始めた理由などをみてみましょう。
NISA制度には「つみたてNISA」と「一般NISA」があります。
2022年9月末の調査では、投資未経験で「つみたてNISA」を利用している人の割合は、89.1%でした。*4
他方、「一般NISA」における投資未経験者は、全体のうち49.3%を占めています。
引用)日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2022年9月30日現在)について」p.2
つまり、一般NISAに比べると、つみたてNISAの方が、投資経験がない初心者に好まれる傾向にあるようですが、どちらの制度も「投資未経験者」による口座開設が年々増えています。
NISA利用者が口座を開設した理由として、最も多いのは「老後の資金を蓄えるため」です。*5
下図のとおり、特に40〜50代、また世帯金融資産でみると300万円未満の層がその理由として挙げています。
引用)日本証券業協会「2021年度 国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査報告書」p.24
また、20〜30代の若い世代では、「預貯金だけでは貯蓄として不十分だから」という理由で始める人も少なくありません。*5
70代など高齢者世代や、金融資産が1億円前後の層においては、「余剰資金の運用のため」にNISA口座を開設するケースが多く、世代ごとに理由も様々です。
NISA口座を開設した人のうち、実際に金融商品を購入したことがあると答えた人は、78.6%を占めます。*6
それでは実際に、NISA口座でどのくらいの金額を運用しているのでしょうか。
引用)日本証券業協会「2021年度 国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査報告書」p.28
上図のとおり、NISA口座で保有している運用資産総額の全体平均は、173万円です。*7 しかし、この全体平均値は、60代以上などの資産総額が多い層によって引き上げられています。
そのため、つみたてNISAを実施している人の約半数は、「100万円未満」の資金で運用を行っています。
また、運用資産の拠出元についても、年代ごとに特徴があります。*8
20〜40代では、「毎月の給与」から拠出していると答えた人の割合が高いのですが、60代以上の高齢者層の多くは「預貯金で貯めていた資金」から拠出しています。
投資の経験がなく、いつNISAを始めるか迷っている人もいるでしょう。
前述の通り、現行のNISA口座開設者のうち、投資未経験でNISA口座を作っている人は年々増加しています。*4
また、利用者の運用資産総保有額についても、「100万円未満」で運用している人は全体の約半数です。*7
「NISAを始めたいが、損をしないか心配」と感じる人は、預金での貯蓄とのバランスを考慮しながら、無理のない範囲で始めるのもひとつの手段です。
もちろん、投資には「リスク」があることを忘れてはいけません。*9
しかし、「長期・積立・分散」を意識した投資によって、リスクを抑えることが期待できるといわれています。
「NISAを始めてみたい」と少しでも考えているなら、早いうちに一度検討してみるのも良いでしょう。
NISA制度利用者には、投資の経験がない状態で始めた人も少なくありません。
「老後資産の形成」を目的としてNISAを利用している人が多く、「100万円未満」から運用している利用者が半数を占めます。
投資未経験でNISAの開設を迷っているのであれば、まずは少額から可能な範囲で始めてみてはどうでしょうか。
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※本稿執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客様自身の判断でお取り組みをお願いいたします。
NISAは2024年度から制度変更しています。
詳しくはコチラ
出典
*1-4 出所)日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2022年9月30日現在)について」
*5-8 出所)日本証券業協会「2021年度 国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査報告書」
*9 引用)日本証券業協会 投資の時間「安心して投資するための3つのコツ!長期・積立・分散」point1