株式投資において、「株価の動き」は誰もが気になるポイントです。
株価が上がったり下がったりするたびに、一喜一憂するという人もいるのではないでしょうか。
株の値動きに左右されないようにするには、株価の仕組みを理解する必要があります。
そこで今回は、株価の決まり方や値動きの要因を解説したうえで、株価が変動した際の心構えについて紹介します。
株価とは、株式1株あたりの値段です。*1
各企業の株価は、新聞やインターネット、証券会社のホームページなどで確認できます。*2
また、日本の株式市場全体の値動きを示す指標として、代表的な「日経平均株価」と「TOPIX(東証株価指数)」があります。
株価を決めるのは、買いたい人(需要)と売りたい人(供給)のバランスです。*3
ある株式について、「売り」注文より「買い」注文が上回れば、その株価は一般に上昇します。
一方で、「買い」注文より「売り」注文が多い場合は、株価は一般に下落します。
基本的に、需要と供給のバランスによって決まる株価ですが、その値動きには2つの要因があります。
株価の値動きに影響を与える「内部要因」と「外部要因」について、それぞれみてみましょう。
内部要因とは、業績や事業に関わるニュースなど「その企業に関係すること」による影響です。*4
たとえば、企業に関する前向きなニュースが報じられたり、新商品がヒットしたりすると「業績が良くなる」と予想され、株価は上昇する傾向があります。*3
一方で、事件や事故など、企業にとってマイナスな要因が生じると、株価は下がりやすくなります。
株式市場全体に関係するものを「外部要因」といいます。
外部要因には、大きく分けて下記の5つがあります。*3*4
それぞれ、株価にどのような影響を与えるのでしょうか。
金利とは、お金を貸し借りするための利子や利息の割合です。*5
一般的に、金利と株価はシーソーのような関係があり、金利が低下すると株価は上昇し、金利が上昇すると株価は低下します。*3
下図のような流れで、金利と株価は動きます。
引用)日本証券業協会 投資の時間 「株価を動かす要因ってなに?」
金利が下がると企業にとって利子の負担が軽くなり、資金を借りやすくなるため、業績の向上と株価の上昇に繋がります。
また、預貯金の利子には期待できず、株式投資などへ資金をシフトする人が増えることで株価が上がります。
一方で、金利が上がると利子の負担が増え、資金は借りにくくなり、業績が悪化し株価が下がりします。
資産を安定させるため、銀行へお金を預ける人が増えることも、株価下落の要因です。
為替相場(為替レート)は、円やドルなど異なる通貨を交換する際の、値段を決める比率です。*6
この為替相場の動きも、株価の値動きに影響を与えます。*3
外国通貨に対して日本円の価値が高いときには「円高」、反対に日本円の価値が安いときは「円安」といいます。
為替と株価の関係について、ニュースでよく目にする「円・ドル相場」でみてみましょう。
為替レートが1ドル=100円だったものが、「1ドル=80円」(円高)・「1ドル=120円」(円安)になった場合の、輸出企業と輸入企業の株価の動きを比べると下図のとおりです。
引用)日本証券業協会 金融経済ナビ 「株価はなぜ動く」外国為替「円高の場合」
円高は、輸入企業にとって株価が上昇する要因となりますが、輸出企業にとっては株価が下落する要因です。
反対に、円安になると輸入企業の業績は下がりますが、輸出企業は業績アップの追い風になります。
景気の良し悪しは、株の値動きを予想するために重要な指標のひとつです。 *4
一般的に、景気が良いと企業の収益も上がり、株価の上昇に繋がります。
反対に、景気が悪くなると企業の業績は悪くなり、株価も下落する傾向があります。
このように景気と株価の動きには密接な関連がありますが、景気の動きだけでなく政府や中央銀行の動向にも注目しましょう。
日本銀行に役割と株価に与える影響は別記事で解説しています。
→日本銀行に役割と株価に与える影響は別記事で解説しています。
政府や中央銀行は、景気のバランスを整えるため様々な財政対策・金融対策を取ります。*7
「税金を高くする」や「金利を引き下げる」といったニュースが報道されると、株価も変動する可能性があるため、しっかりチェックしましょう。
歴史に残るような株価の急落の多くは、国際情勢が関わっています。*7
たとえば、リーマン・ショックでは、日経平均株価はバブル崩壊後の最安値を更新しています。*8
リーマン・ショックとは、2008年にアメリカの有力投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻したことによる世界的金融危機・同時不況の総称です。*9
また、2020年の世界的な「新型コロナ感染拡大」による景気悪化は、記憶に新しいでしょう。*7
株式市場の国際化にともない、世界で起こっていることが、日本の株式市場にも大きな影響を与えています。
また、2022年のロシアのウクライナ侵略は、原油価格をはじめ資源価格高騰に拍車をかけ、世界経済へも大きな影響を与えました。
一方で、世界的な好景気が日本株上昇に寄与するケースもあります。
地震や津波などの自然災害や天候も、株価を左右する要因となります。*10
日本は地形や気象などの自然的条件から、地震・津波・土砂災害・台風・豪雨など災害が発生しやすい国です。
世界で発生している地震の発生回数において、日本で生じた地震が20%を占めています。*11
大きな自然災害が発生した場合、被害を受けた企業の業績は悪くなります。*10
一方で、修復・復旧作業によって建設・土木関係の企業は、株価が上昇するケースもあります。
様々な要因によって、株価は上がったり下がったりを繰り返します。株価の動きに振り回されないためには、どのような心構えが必要なのでしょうか。
冷静に運用を続けていくための3つの心構えを紹介します。
まず、「金融ショックは起こる」前提で、資産運用に臨みましょう。 2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマン・ショック、2020年の新型コロナショックなど、世界に影響を及ぼす金融ショックは数十年に一度発生しています。*12
正確な時期を予測することは大変難しいですが、「いつか起こるもの」だと理解しておけば、動揺して判断を誤るのを防げるでしょう。
株価は、景気や国際情勢、天候など多くの要因によって変動します。
「短期的な値動きに一喜一憂しない」ことも、運用において大切なポイントです。
上昇や下落を繰り返しながら、右肩上がりに成長していく市場にともなって、長期的に資産を増やしていくのが資産運用です。*13
そして、株価の下落などに動じず、「長期・積立・分散」という投資スタイルを継続しましょう。
長期的に定額を積み立て、リスクを分散させることで、暴落時に強いポートフォリオの形成が可能になります。
基本的に、株価は需要と供給のバランスによって決まります。
さらに、企業自体に関する内部要因と、金利や国際情勢などの外部要因によって日々変動します。
株価の上昇や下落に一喜一憂せず、値動きの理由を考えながら運用を続けることで、暴落時にも冷静な判断ができるようになりましょう。
*1出所)日本証券業協会 投資の時間 「株式って何株から買えるの?」
*2出所)日本証券業協会 金融経済ナビ 「株価はなぜ動く」
*3出所)東京証券取引所 東証経済教室 「会社の株価の決まり方」
*4出所)日本証券業協会 投資の時間 「株価を動かす要因ってなに?」
*5出所)日本証券業協会 投資の時間 「金利」
*6出所)日本銀行 「為替相場(為替レート)とは何ですか?」
*7出所)東京証券取引所 「株式ABC」 p25
*8出所)日経平均 「バブル崩壊後最安値」
*9出所)金融広報中央委員会 知るぽると 「リーマンショックとは」
*10出所)東京証券取引所 「株式ABC」 p26
*11出所)内閣府 防災情報のページ 「世界の災害に比較する日本の災害」
*12出所)金融広報中央委員会 知るぽると「くらし塾 きんゆう塾2020夏号」p18
*13出所)金融広報中央委員会 知るぽると「くらし塾 きんゆう塾2020夏号」p20
*14出所)金融広報中央委員会 知るぽると「くらし塾 きんゆう塾2020夏号」p19