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これだけは知っておこう!日本銀行の役割と政策をざっくり解説
これだけは知っておこう!日本銀行の役割と政策をざっくり解説

これだけは知っておこう!日本銀行の役割と政策をざっくり解説

2023/06/14・提供元:Money Canvas

日々のニュースをみていると、「金融緩和策を実施」など日本銀行の取り組みに関する話題が出てくることがよくあります。

日本の金融政策を動かすことができる銀行というイメージがあるかもしれませんが、具体的にどのような銀行なのかよく知らない方も多いかもしれません。


日本銀行は、日本の金融情勢を安定・発展させることを目的として運営される国内唯一の中央銀行です。

日本銀行の目的や目的達成に向けて取りうる手段を理解することで、ニュースをさらに理解できるようになるでしょう。


そこで今回は、日本銀行が民間の金融機関とどのように違うのか、また、設置の目的や主な取り組みについて紹介します。



日本銀行とは?

日本銀行は、日本銀行法によりその在り方が定められている認可法人であり、民間の金融機関のような株式会社ではなく、国内唯一の中央銀行です。*1


中央銀行とは、一国の金融機関の中核となる銀行のことを言い、お札(日本銀行券)の発行や物価の安定、金融システムの安定化を図るために運営されています(図1)。*2

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図1 日本銀行とは(出所「日本銀行 : 日本銀行ってなにをしているの?」日本証券業協会 金融・証券教育支援センター)



具体的に日本銀行は、お札を発行する「発券銀行」としての役割や、他の金融機関から預金を預かり、金融機関に貸し出しを行う「銀行の銀行」としての役割、国のお金の出し入れを行う「政府の銀行」としての役割を担っています。

これらの業務を遂行することを目的としている点が、民間の金融機関と大きく異なります。



日本銀行の目的は?

日本銀行の設置目的は、「日本銀行法第1条第1項、第2条」に規定されています。具体的には、「物価の安定」を図ることと、「金融システムの安定」に貢献するという2点です。*3


物価の安定

まず、日本銀行が行う金融政策の目的としては、物価の安定を図ることにあります。*3


物価とは、様々な商品やサービスの価格を集計した価格のことを言います。物価は個々の商品やサービスの価格とは区別されています。物価は、それらの価格を全体的に捉えた価格であるため、経済の実態を把握したい場合などに使われます。*4


物価の安定は、経済が安定的かつ持続的成長を遂げていくうえで不可欠な基盤です。そこで日本銀行は、消費者が消費する商品やサービスの価格全体を捉えた消費者物価指数などによって目標を設定し、後述するような物価の安定化に向けた様々な施策を行っています。*5


金融システムの安定

物価の安定のほか、金融システムの安定に貢献することも、日本銀行の重要な目的です。*3


金融システムとは、お金の受け払いや貸し借りを行う仕組みのことで、様々な金融市場や金融機関から成り立っています。金融システムが正常に機能し、利用者が安心して使用できる状態を維持することで物価の安定にもつながるため、金融システムの安定は日本銀行の重要な目的の一つとなっています。*6

日本銀行の取り組みとは?

日本銀行は、2つの大きな目的達成に向けて、目標を設定し、様々な施策に取り組んでいます。


物価の安定に向けた主な取り組み

日本銀行は、2013年1月に、「物価安定の目標」として消費者物価の前年比上昇率2%と定め、これをできるだけ早期に実現すると発表しました。*7


物価が上がりすぎてしまうと消費者の生活は苦しくなるのでは、というイメージがあると思いますが、物価が下がり続ける環境は、値下げしても物が売れず、企業の業績が悪化し、従業員の給料カットやリストラにつながる「不況」に繋がる可能性があります。*8


実際、バブル景気崩壊後の日本では、物価が下がり続けてお金の価値が上がり続けるデフレーションとなり、不況が続きました。そのような背景から日本銀行は、毎年2%の物価上昇を目指す目標を掲げました。


目標達成に向けて、現在金融緩和政策が行われています。金融緩和とは、市場に出回るお金の供給量を増やして経済を活性化させ、景気回復を図る金融政策のことです。*9


市場に出回るお金の供給量が増えるまでの流れは次の通りです。まず、日本銀行は政策金利と呼ばれる、中央銀行が民間の金融機関にお金を貸し出す際の金利を下げます。


すると、民間の金融機関は低い金利で資金調達ができるようになります。


そうして集めたお金を、低い金利で企業や個人に貸し出します。その結果、市場におけるお金の供給量が増加します(図2)。


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図2 金融緩和の流れ(出所「金融緩和とは?私たちの生活にどう影響するの?」三菱UFJ銀行)



政策金利を引き下げる以外にも、金融緩和を実現する手段としては、金融機関の保有する国債等を買い上げる「量的緩和」もあります(図3)。


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図3 量的緩和とは(出所「金融緩和とは?私たちの生活にどう影響するの?」三菱UFJ銀行)



民間の金融機関は国債を保有することで利子収益を得ていますが、中央銀行がそれらの国債を買い入れると、収入源が少なくなってしまいます。


その対策として民間の金融機関は、国債売却によって得た資金を使って企業や国民にお金を借りてもらうことで、結果的に市場におけるお金の供給量が増加します。


2%物価上昇を目標として掲げた2013年1月以降、日本銀行は金融緩和政策を積極的に推進しています。


例えば、2013年4月には、「量的・質的金融緩和政策(異次元緩和)」を開始し、日本銀行が供給する資金量(マネタリーベース)を2年間で2倍に拡大する施策を実施しました。また、2016年9月には、長期国債の買い入れを行う「イールドカーブコントロール政策」を追加するなど、様々な取り組みを行っています。


金融政策は株価の変動にもつながる可能性があるので注意が必要です。株価変動の仕組みは別記事で解説しています。
株価変動の要因とは?具体例をもとに解説


金融システムの安定に向けた主な取組み

金融システムの安定化に向けて日本銀行は、民間の金融機関などの日本銀行の取引先に対して業務運営の実態や各種リスクの管理状況、収益力についての調査を行い、経営の健全性の維持・向上を促しています。*6


具体的な調査方法は、取引先へ立ち入って調査を行う「考査」や、面談や電話によるヒアリングや提出資料の分析などの「オフサイト・モニタリング」です。


また、個々の金融機関の経営改善を促すだけでなく、金融システム全体のリスク等の分析・評価を行っており、その成果をレポートで対外的に公表しているほか、金融政策の運営にも活用しています。


さらに、システミック・リスク(金融機関の破綻など個々の事情が原因となって金融システム全体に連鎖的な混乱などをもたらすリスク)を回避するため、必要に応じて一時的に資金が不足した金融機関等に対し、資金供給を行うことがあります。


以上のような施策を通じて、日本銀行は日々金融システムの安定化を図っています。



まとめ

日本銀行は、様々な施策を通じて国内の経済金融市場の安定・発展に取り組んでいます。日本銀行が各種施策をどのような目的で行っているのか理解しておくことで、日々のニュースをより深く読み解くことができるようになるでしょう。



*1 日本銀行「日本銀行の概要」

*2 日本証券業協会 金融・証券教育支援センター「日本銀行 : 日本銀行ってなにをしているの?」

*3 日本銀行「日本銀行の目的は何ですか?」

*4 日本銀行「物価」

*5 日本銀行「日本銀行の『物価の安定』についての考え方および『物価安定の目標』について教えてください。」

*6 日本銀行「金融システムの安定に向けた取組みの概要」

*7 日本銀行「2%の『物価安定の目標』と『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』」

*8 NHK「どうして2%?おしえて日銀の物価目標」

*9 三菱UFJ銀行「金融緩和とは?私たちの生活にどう影響するの?」

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