
オルカンとS&P500は、どちらも長期の資産形成で人気の高い投資先です。投資対象やリスクの性質に違いがあるため、どちらを選ぶべきかに明確な正解はありません。世界全体への分散投資を重視するならオルカン、米国経済の成長に期待するならS&P500が有力な選択肢といえます。
この記事では、オルカンとS&P500の特徴や違い、リターン、リスクを比較しながら選び方のポイントを解説します。
まずは、オルカンとS&P500それぞれの特徴と主な違いを確認しておきましょう。
オルカンは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の愛称です。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)への連動を目指して運用されており、1本で日本を含む先進国・新興国の株式にまとめて投資できます。*1
MSCI ACWIの地域別構成比率は以下のとおりです(2025年末時点)。

MSCI ACWIの地域別構成比率(2025年末時点)
出典)三菱UFJアセットマネジメント 「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)についてご紹介」
投資対象は先進国と新興国47ヵ国・地域に及び、世界の投資可能な株式の約85%をカバーしています。
特定の国や地域に依存せず、世界経済全体の成長を取り込みたい人に適した商品といえるでしょう。*2
また、その時代の経済状況に応じて、投資国・地域や銘柄の構成比率が自動的に見直される点も魅力です。
S&P500は、米国株式市場の動向を示す株価指数のひとつです。米国を代表する主要企業約500社で構成されており、米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしています。*3
以下は、S&P500の業種別構成比です。

S&P500の業種別構成比
出典)三菱UFJアセットマネジメント 「S&P500指数についてご紹介」
S&P500に連動する投資信託を購入すれば、世界的な情報技術関連企業や金融機関などへ幅広く投資できます。
構成銘柄数はオルカン(MSCI ACWI)より少ないものの、米国市場には世界有数の大企業が集まっているため、高い成長性が期待されています。近年はAI関連企業の躍進もあり、投資家から高い人気を集めています。
以下は、オルカンが連動を目指すMSCI ACWIとS&P500の比較表です。

MSCI ACWIとS&P500の比較
出典)三菱UFJアセットマネジメント 「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)についてご紹介」
最大の違いは投資対象です。MSCI ACWIは全世界の株式が対象ですが、S&P500は米国株のみを対象としています。また、MSCI ACWIの構成銘柄数は約2,500銘柄、S&P500は約500銘柄と大きな差があります。*2
そのため、オルカンは地域分散効果が期待できる一方、S&P500は米国経済の成長をより強く取り込める可能性があります。
投資先を選ぶ際、どの程度のリターンが期待できるのか気になる人は多いでしょう。ここでは、オルカンとS&P500の過去の運用実績を比較していきます。
以下は、オルカン(MSCI ACWI)とS&P500の長期パフォーマンスです(2005年12月末=100として指数化)。

オルカン(MSCI ACWI)とS&P500の長期パフォーマンス
出典)三菱UFJアセットマネジメント 「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)についてご紹介」
過去10年程度の実績では、S&P500がオルカンを上回る傾向がみられました。
背景には、米国を代表する企業群の高い収益力があります。S&P500には世界的な競争力を持つ企業が多く含まれており、イノベーションの創出や市場拡大を通じて成長を続けてきました。こうした企業の業績向上が指数全体の上昇を支え、S&P500のリターンを押し上げる要因となっています。*4
MSCI ACWIも十分に高いリターンを実現していますが、欧州や日本、新興国など成長率が異なる地域も含むため、米国株のみで構成されるS&P500には及ばない状況です。
ただし、過去の実績が将来も続く保証はありません。
過去10年の米国株は非常に好調でしたが、今後は他の先進国や新興国が成長を加速する可能性もあります。もし米国以外の地域が相対的に好調になれば、オルカンの優位性が高まることも考えられます。
投資では「これまで勝っていた資産が今後も勝ち続ける」とは限らないため、過去のリターンだけで判断しないことが重要です。
投資商品を選ぶ際は、リターンだけでなくリスクも理解しておく必要があります。ここでは、オルカンとS&P500それぞれの特徴的なリスクについて確認しましょう。
オルカンの強みは、世界中の株式へ分散投資できる点です。
ある国の景気が悪化しても、他の地域が成長していれば影響を緩和できる可能性があります。特定の国に依存しないため、長期投資との相性も良いと考えられます。*5
「どの国が将来成長するか分からない」「投資先選びで悩みたくない」という人にとっては、合理的な選択肢のひとつといえるでしょう。
ただし、オルカンが連動を目指すMSCI ACWIは、米国株の構成比率が約6割を占めています。そのため、オルカンも米国株の値動きに影響を受けやすい傾向にあります。*3
S&P500は米国企業のみで構成されているため、米国経済や米国市場の影響を大きく受けます。
米国企業が成長する局面では高いリターンが期待できますが、景気後退などによって株価が下落すると、ファンドの基準価額も大きく影響を受けます。
また、近年は情報技術関連企業の比率が高くなっており、一部企業の業績や株価動向が指数全体に影響を与える可能性もあります。*6
オルカンとS&P500のどちらが適しているかは、投資家の考え方やリスク許容度によって異なります。それぞれに向いている人の特徴を見てみましょう。
オルカンは次のような人に向いています。
オルカンは1本で世界中の株式へ分散投資できるため、シンプルな資産形成を目指す人に適しています。*5
一方で、S&P500は次のような人に向いています。
米国企業の競争力やイノベーションに魅力を感じる人にとって、S&P500は有力な選択肢となるでしょう。*4
結論からいえば、両方保有すること自体は可能です。ただし、分散効果が大きく高まるわけではありません。
オルカンの構成比率の約6割を米国株が占めており、S&P500を追加すると米国株の比率がさらに高まるからです。*7
もし両方保有するのであれば、「分散効果を高めるため」ではなく、「米国株の比率を高めるため」と考えるのがよいでしょう。
オルカンは世界の株式市場への分散投資ができる一方、S&P500は米国経済の成長をより強く取り込める特徴があります。過去の実績ではS&P500が優勢でしたが、将来も同じ結果になるとは限りません。
重要なのは「どちらが勝つか」を考えることではなく、自分が納得して長く保有し続けられる投資先を選ぶことです。運用方針やリスク許容度を踏まえたうえで、自分に合った選択を検討しましょう。
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
本コラムの内容は、特定の金融商品やサービスを推奨あるいは勧誘を目的とするものではありません。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客さまご自身の判断でお取り組みをお願いいたします。
出典
*1 三菱UFJアセットマネジメント 「オルカンをもっと知りたい!Q&A」
*2 三菱UFJアセットマネジメント 「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)についてご紹介」
*3 三菱UFJeスマート証券 「全世界株式とS&P500、どちらを選ぶべき?」
*4 三菱UFJeスマート証券 「米国株価上昇を支える4つの要因」
*5 三菱UFJアセットマネジメント 「教えて!先輩社員S君 第1話「オルカンって何?」」
*6 三菱UFJアセットマネジメント 「S&P500指数についてご紹介」
*7 日本経済新聞 「2025年も「オルカン・S&P500」のままでいいのか?」
