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医療費控除の申告にかかる手間はどれくらい?手続きの流れを具体的に解説
医療費控除の申告にかかる手間はどれくらい?手続きの流れを具体的に解説

医療費控除の申告にかかる手間はどれくらい?手続きの流れを具体的に解説

2024/01/09に公開(最終更新:2024/03/14)
提供元:Money Canvas

医療費控除という制度を耳にしたことはあっても、医療費とはどのような項目を指すのか、医療費控除を受けるための手続きはどうするのか、自分にあてはめてイメージしにくい人も多いのではないでしょうか。


本記事では、医療費控除について制度の全体像や申告にかかる手続きの具体的な流れを解説します。自分が医療費控除の対象であるか、手間はどれくらいかを把握して、申告するかどうかの判断材料にしてください。

医療費控除とは

医療費控除*1とは、1月1日から12月31日までにかかった医療費が10万円を超えたときに、所得控除を受けられる制度です。なお、総所得金額が200万円未満の場合は、医療費が総所得金額の5%を超えると制度の対象になりますが、本記事では総所得金額200万円以上のケースで解説します。


ひとつ注意すべきポイントがあります。病気や怪我により、生命保険や健康保険等の給付を受けた場合は、かかった医療費からその給付額を差し引いて計算する必要があります。1年間の医療費が10万円を超えたからといって必ずしも全員が対象になるわけではありません。
医療費の備えについてあわせて読んでみてください。


医療費控除の対象となる金額は以下の式で表されます。

支払った医療費-保険等の給付-10万円


例えば、30万円の医療費を支払い、5万円の入院費用給付を受けた場合、医療費控除の対象金額は以下のように計算します。

支払った医療費 30万円-入院費用給付 5万円-10万円=15万円

入院費用の給付が多い場合、医療費控除の対象にならない可能性もあるため、保険による給付額はしっかりと確認しておきましょう。


また、医療費控除の特例として、「セルフメディケーション税制」*2というものがあります。これは、薬局等で購入した医薬品の購入費用が12,000円を超えた場合、医療費控除の対象になるという制度です。ただし、先に触れた10万円が基準の医療費控除とは併用できないため、どちらか控除額の大きいほうを選択しましょう。

医療費控除の対象となる要件は?

では、支払った医療費に含まれる項目にはどのようなものがあるのでしょうか。

図1は医療費控除の対象となる項目を示したものです。

ほかにも、医療器具の購入費やリハビリ代*3、不妊症の治療費・人工授精の費用*4についても医療費控除の対象とされています。


いわゆる治療にかかった費用のほか、病院に行くための交通費も対象に含まれています。病院や薬局の領収書だけでは10万円に満たない場合でも、通院のために利用した電車やバスの費用も含めると想定以上のまとまった金額になる場合があります。

医療費控除の対象となる要件は?

図1 医療費控除の対象例



出所「確定申告で医療費控除を受けるには?必要書類の書き方や対象となる費用を解説」三菱UFJニコス



また、自分の医療費に限らず、自分と生計を一にする配偶者や家族・親族の医療費も全て合算して医療費控除の対象額を算出することができます。

4人家族であれば、1人あたり2万5千円の医療費がかかった場合に医療費控除の対象となります。

このように家族全員の1年間の医療費であれば自分も該当するのではないかと、ぐっと身近に感じる方もおられるのではないでしょうか。

医療費控除の具体的な手続き

ここからは確定申告で医療費控除を行う際の、具体的な手続きの流れを解説します。申告のために何をするべきなのか大まかな流れを把握しましょう。

医療費控除額の計算・対象であるかの確認

まずは、1年間にかかった医療費の総額を計算します。健康保険組合等から交付される「医療費のお知らせ」や病院や薬局の領収書を参照して、1年間にかかった総額を計算しましょう。このとき、交通費や家族の費用も忘れずに含めてください。


計算した総額から保険金等の給付と10万円を引いた金額が医療費控除の対象額です。この対象額に所得税の税率をかけた金額が申告によって還付されます。*2

「医療費控除の明細書」の作成

確定申告をするため、「医療費控除の明細書」を作成します。申告のための書類と聞くと、作成が難しそうなイメージがありますが、国税庁が提供する確定申告書等作成コーナー*5にて簡単にまとめることができます。入力した金額について、システムが自動計算をしてくれるため、計算ミスを防止できる点も魅力です。


この確定申告書等作成コーナーでは「医療費のお知らせ」の読み込みや「医療費のお知らせ」を基に金額入力を行い、交通費や医薬品購入といった不足分の追加入力によって明細書を作成できます。複雑な計算は必要ないため、確定申告や医療費控除が初めてという方でも戸惑うことなく申告の準備ができるでしょう。また、マイナポータルと連携して医療費通知情報を読み込む方法もあります。*6


確定申告のための「確定申告書」も合わせて作成が必要ですが、源泉徴収票を参照して記入欄を埋めることで作成が可能です。さらに、令和5年分の申請からはマイナポータル経由で自分のデータを取得すると、確定申告書等作成コーナーにおいて源泉徴収票の情報が自動入力されるようになります。*7

税務署への申告

上記の確定申告書等作成コーナーで作成した申告書は、マイナンバーカードを使用するとe-Taxからオンラインで申請でき、わざわざ税務署に行く必要がありません。マイナンバーカードを持っていない人も、IDとパスワードを届け出ておくことでオンライン申請の利用が可能です。*8

もちろん、出力した申告書を税務署に持参し、対面で提出する方法も選択できるため、自分に合った方法で申告をしましょう。

還付金の入金確認

税務署への申告後、1か月から1か月半程度で還付金が指定した預貯金口座に振り込まれます。念のため、申告に基づき入金がされているか確認しておきましょう。また、ゆうちょ銀行や郵便局に行って受け取る方法もありますが、移動の必要がない指定口座での受け取りが便利でしょう。*9

保存しておくべき書類

医療費控除をした場合、以下の関係する書類について5年間の保管が必要です。*5

・医療費のお知らせ(医療費通知)

・領収書(医療費のお知らせに記載があるものを除く)

・各種費用の証明書類

還付金確認後に誤って処分してしまわないよう気を付けてください。書類はファイルに1年分をまとめておき、「何年まで保管」とわかりやすく記入しておくようにしましょう。

オンライン提出可能で便利な医療費控除。対象であれば申告を

医療費控除の提出について、想像していたよりもずっと簡単に感じられたのではないでしょうか。確定申告書等作成コーナーやe-Tax、マイナポータルを活用することで、医療費控除の申告は以前よりもさらに簡単になってきています。税務署に行かず、自分の空いた時間に申告できる点は重要なポイントです。


個人差はありますが、たとえ医療費控除の申告が初めてであっても、医療費のお知らせや領収書等の書類がそろっていれば、2~3時間程度で申告まで進めることができるはずです。医療費控除の対象となる領収書等は、日頃から整理しておき、自分が医療費控除の対象になるようであれば、申告に挑戦してみると良いでしょう。



本稿執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。


出典
*1、国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
*2、三菱UFJニコス「確定申告で医療費控除を受けるには?必要書類の書き方や対象となる費用を解説」
*3、三菱UFJ銀行「入院費用で医療費控除になるものは?確定申告のとき気をつけるべきポイント」
*4、国税庁「不妊症の治療費・人工授精の費用」
*5、国税庁「確定申告書等作成コーナー」
*6、国税庁「令和5年分 確定申告特集(準備編)医療費控除を受ける方へ」
*7、国税庁「令和5年分の確定申告はマイナンバーカードとe-Taxでさらに便利に!」
*8、国税庁「令和5年分 確定申告特集(準備編)e-Taxの利用方法」
*9、国税庁「税金の還付」


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