ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、エネルギー安全保障の重要性が大きく論じられるようになりました。
いわゆる地政学リスクの高まりによって、エネルギーを十分に確保することが困難になってしまったためです。
なかでも、火力発電の燃料などに使われるLNG(Liquefied Natural Gas、液化天然ガスの略称)の調達が難しくなったことが経済に大きな影響を及ぼしており、世界的な問題としてクローズアップされています。
特にその影響を大きく受けているのが、欧州連合(EU)です。
EUはこれまでパイプラインを通じてロシア産の天然ガスを輸入し、ロシアにエネルギーを大きく依存してきました。
それが、ウクライナ紛争を境にロシアと対立を深めたことにより、代わりの輸入先を急いで探す必要が出てきてしまったのです。
これに伴う天然ガス価格の高騰がメディアで多く取り上げられたこともあり、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
LNGとは、天然ガスをマイナス162度にまで冷却して液化させたものです。
気体の状態と比べて体積が約600分の1に減少するので、設備の小型化や輸送・貯蔵が容易となるのです。
天然ガスは石油や石炭と比べて燃焼時の二酸化炭素の排出量が抑えられることから、クリーンエネルギーの一翼を担うものとして注目されてきました。
環境意識の高まりとともに、その需要は年々拡大を続けてきたのです。
そうしたなかでウクライナ紛争が勃発し、EUを筆頭に各国がロシア産ガスの輸入を縮小せざるを得なくなったわけですが、これによって新たな動きが生まれています。
代替需要に対応するために、LNG増産の動きが活発化しているのです。
当然ながら、LNGの生産設備を手掛ける企業には追い風です。
そして、日本にはこの分野で世界有数の企業が複数存在し、株式市場で注目の的になっています。
代表格は日揮ホールディングス<1963>で、北米の大規模なLNG案件など有力な受注候補をいくつも抱えています。
千代田化工建設<6366>、東洋エンジニアリング<6330>などのプラント会社、三井物産<8031>や三菱商事<8058>といった大手総合商社にも投資家の熱い視線が注がれています。
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