突然の不幸である、家族や大事な人との別れ。
しかし家族が亡くなった際に何をすべきか明確に分かっている方は、あまり多くはありません。
”慣れる”ような出来事でもありませんので、当然のことでしょう。
そして死亡届や火葬許可申請書など、慌ただしい中でも迅速に対応する必要がある、様々な書類があります。
そこで今回は、遺された家族にとって必要な手続きについて、見ていきましょう。
お金に関する大事な項目もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
家族が亡くなった場合、葬儀の準備や相続など、やらなければならないことは多々あります。特に、死亡から7日以内に行わなければならない手続きなどもあり、猶予はありません。
ただし、やらなければならないことは「死亡直後」と「葬儀後」の2つに分けることができます。
このうち急ぐ必要があるのは「死亡直後」の手続きです。
死亡直後にやらなければならない手続きのうち、主なものは下記のとおりです。
地域により若干の違いはありますが、上記の手続きは居住地にかかわらず必要になるでしょう。
そして上記の手続きの内、年金受給停止や、世帯変更届、介護保険証の返却・資格喪失届の提出といった手続きは、該当者の場合のみ行うことになります。
したがって、全ての方に当てはまるのは、1~3、6、8の5つです。
人間の死亡を医学的・法律的に証明する書類として、「死亡診断書」または「死体検案書」があります。*1
医師が「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合」には「死亡診断書」が、それ以外の場合には「死体検案書」が交付されます。
自宅療養中に亡くなり医師が死亡に立ち会えなかった場合でも、死因が診療していた傷病に関連するものと判定できれば「死亡診断書」の交付が受けられます。*2
この「死亡診断書」または「死体検案書」は、年金の受給停止や健康保険・介護保険の資格喪失届、葬祭費・埋葬費等の請求、生命保険や損害保険金の請求などに必要になります。
原本は死亡届を提出すると戻ってこないため、必ず5〜10部ほどコピーを取っておきましょう。
家族が死亡したら、7日以内(国外で死亡の場合は3ヶ月以内)に、死亡届を市区町村窓口に提出しなければなりません。
届出先は、「死亡した人の本籍地」「届出人(死亡届に署名する人)の所在地(住民登録地)」「死亡地」のいずれかの市区町村の役所です。*3
死亡届の用紙は市区町村の役所や、役所のHPなどで取得可能です。
多くの場合、死亡届と同時に市区町村の役所に提出する書類です。
この書類を提出しないと、埋葬または火葬ができないため速やかに提出する必要があります。*4
死亡した家族が年金を受給していた場合は、日本年金機構に「受給権者死亡届(報告書)」を提出する必要があります。
ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合は、原則として、「年金受給権者死亡届(報告書)」を省略できます。
また、年金を受けている方が亡くなったときにまだ受け取っていない年金や、亡くなった日より後に振込みされた年金のうち、亡くなった月分までの年金については、未支給年金としてその方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができるので、速やかに申請しましょう。*5
詳しくは、日本年金機構のHPをご覧ください。
日本年金機構死亡した家族が世帯主だった場合は、「世帯変更届」の提出が必要です。
14日以内に市区町村の役所へ提出してください。*6
国民健康保険、または健康保険の被保険者が死亡した場合は、保険証の返却と資格喪失届を提出する必要があります。
健康保険の場合は事業主へ、速やかに必要書類を提出しましょう。*7
国民健康保険の場合はお住まいの市区町村役所へ、14日以内に提出してください。*8
また、加入者が死亡した場合は、遺族が埋葬料・埋葬費、または葬祭費が支給される可能性があります。*9
全国健康保険協会の被保険者に生計を維持されていた遺族が埋葬を行う場合、5万円が支給されます。*10
国民健康保険加入者の場合は、市区町村によって支給額が異なります。
例えば新宿区の葬祭費は7万円ですが、横浜市では5万円です。*11 *12
詳しくは、各市区町村に問い合わせてみてください。
介護保険の被保険者の場合は、介護保険証の返却とともに、資格喪失届の提出が必要です。
お住まいの市区市町村役場へ、14日以内に提出しましょう。*13
慌ただしく手続きを済ませつつも、葬儀も行わなくてはなりません。
できれば、エンディングノートなどを利用しながら、葬儀場の決定や、葬儀の規模、お墓の件などを事前に家族間で話し合っておくとスムーズです。
今回は、家族が死亡した際に、すぐに行わなくてはならない手続きをまとめました。
しかしこれ以外にも、生命保険または損害保険の請求や、銀行などの金融機関への死亡連絡、相続関連の手続きなど、やるべきことは多々あります。
いざという時に慌てないためにも、家族間でエンディングノートを共有するなど、死亡時の対応について話し合っておくことは重要です。
やらなければならない手続きは何か、どのようなことを話し合わなくてはいけないのかの参考として、本稿が助けになりましたら幸いです。
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本稿執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
参考文献/参考サイト
*1 出所)厚生労働省「令和4年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル 1 死亡診断書(死体検案書)の意義」p5
*2 出所)厚生労働省「令和4年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル 3 医師が患者の死亡に立ち会えなかった場合」p6
*3 出所)法務省「死亡届 」
*4 引用)厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)」
*5 引用)日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき 」
*6 引用)e-Gov法令検索「昭和四十二年法律第八十一号 住民基本台帳法 (世帯変更届)第二十五条」
*7 引用)日本年金機構「従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き」
*8引用)e-Gov法令検索「昭和三十三年厚生省令第五十三号 国民健康保険法施行規則 (法第六条各号のいずれかに該当するに至つた者に係る資格喪失の届出)第十三条」
*9 引用)e-Gov法令検索「昭和三十三年法律第百九十二号 国民健康保険法 第二節 その他の給付 第五十八条」
*10 引用)全国健康保険協会「ご本人・ご家族が亡くなったとき」
*11 引用)新宿区「葬祭費の支給」
*12 引用)横浜市「葬祭費の支給」
*13 引用)e-Gov法令検索「平成十一年厚生省令第三十六号 介護保険法施行規則 (資格喪失の届出)第三十二条」