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夫婦で資産形成は難しい…成功するために必要なこと
夫婦で資産形成は難しい…成功するために必要なこと

夫婦で資産形成は難しい…成功するために必要なこと

2024/05/19に公開
提供元:雨宮紫苑

夫婦で資産形成って難しいな……。

30代になったしそろそろお金について真面目に考えないと、と一念発起して夫とアレコレ話しているのだが、さっそく壁にぶち当たった。

そう、夫と意見が合わないのである!

さまざまな資産形成の情報やノウハウがあるが、そのほとんどが個人、もしくは家計=ひとつの財布であることが前提になっている。

我が家のように、お互いの貯蓄額や収入をまったく知らず、完全別管理している家庭では、どのように資産形成すべきなのだろうか。

※我が家が男女の夫婦であることから便宜的に「夫婦」「夫」「妻」と表現しているが、みなさんのご家庭にあわせて「カップル」「パートナー」などに読み替えていただきたい。


お金を別管理している我が家…どうやって資産形成する?

わたしと夫は、お金を別管理している。

基本的に家賃や生活費、食費などはすべて夫が出し、わたしの給料はすべて貯蓄にまわす。ただし税金や引越しなど、まとまったお金が必要なときはわたしが出す。

大まかに言えば、こんな感じのルールだ。

こうなった理由は単純で、夫は買い物が好きでよくお金を使うから。浪費家、というほどではないが、あまりお金を貯める意識がないため、「だったら無駄遣いできないようにお金が手元に残らない状態にしよう」となったのだ。

最初……とはいってももう10年も前の学生の頃だが、共同口座を作ってお互い200ユーロ、毎月400ユーロ振り込まれるように設定して共同管理を試みたこともあった。

しかし、引き落としでスーパーのデリバリーサービスを利用して食料品を買っていたところ、お互い残高をまったく確認しておらず残高が足りなくて支払い不可になり、サービス利用を止められたことが2度もあった(反省)。

こういった夫婦なので、「とりあえず夫が全部払って必要に応じてわたしが出す」というかたちに落ち着いたのだ。

夫は「妻が貯蓄してくれている」と安心できるし、わたしは「夫が払ってくれる」と安心できるから、結構いいやり方だと思う。

しかしそのせいで、お互いの経済状況に完全に無頓着になってしまった。

夫が全部払ってくれるので、夫の給料を知らなくても困らない。夫も、使ってないならそれなりに貯まっているだろうと、わたしの給料や貯蓄額に興味を持たない。

……こういう状況で「夫婦で資産形成」なんて、いったいどうすればいいのだろう?


パートナーの資産額を知らない人は案外多い

実は我が家のように、「パートナーの貯蓄額を知らない」という人は、実は珍しくない。

「なんとなくは知っているけど詳しくは聞いてない」「改めて確認したことはない」という人もいるだろう。

共働きが一般的になった現在では、夫婦それぞれが収入・資産を持っている家庭も多い。その結果、夫婦でお互いの経済状況を把握していない状況はよくあるのだ。

とはいえ資産形成をするのであれば、1人でやるより2人で協力したほうがいい。

理由は単純で、1人でやるより2人でやったほうが効率がいいから。例えば、単身世帯だと月の消費支出は16.8万円だが、2人世帯になると1人当たり13.2万円にまで下がる、という統計がある。*1

家賃や光熱費など共通の払うべきお金があるうえ、お金をどう運用するかはライフプランに直結するので、夫婦としてともに暮らしていくのであれば、「お金」はいずれ向き合わなければいけない問題だ。

……なんて話をしたところ、わたしと夫の「お金に対する価値観」が想像以上にちがうことを痛感した。

わたしは、節約して引越しや将来の子どものためにお金を貯めたいと思う。だから外食を減らしたいし、もう少しお金をちゃんと管理したい。堅実な生活が理想。

一方の夫は、いっぱい稼いでどんどん運用していきたいと言う。実際、積極的に投資をしているし、資産として家を買いたいという気持ちもあるらしい。

なるほど、これでは「夫婦で資産形成」なんてできるわけがない。

よく「アラサー夫婦が2000万円貯めた」「平凡な主婦がマイホームを買った」といった本やブログを見かけるが、それはどれも、夫婦で同じ目標に向かって協力したからできることなのだ。


資産形成へのモチベーションをすり合わせる

そこでわたしは、まずモチベーションのすり合わせに取り掛かった。
簡単に言えば、「どれくらい頑張るか」の確認だ。

例えば、節約のために外食を減らすとしよう。
しかし今は週2回ほど外食+1~2回カフェに行っているが、「誕生日以外は一切外食禁止」にしたところで、うまくいくだろうか。

夫婦が2人とも外食なんかより節約が大事だと思っていれば、うまくいくだろう。でも片方が「そこまで締め付けなくたって……」と思っていればストレスだし、いずれケンカになってしまう。

夫婦で資産形成はあくまで二人三脚。片方だけが全力疾走しても、相手はついてこれない。

「もうちょっと外食減らそうよ。土日両方カフェに行っているけど、せめて1日にしない?」
「えー、土日にカフェでパフェを食べるのが俺の生きがいなのに……」
「じゃあカフェに行かない日は、わたしがスコーンを作るよ。あれ、好きでしょ?」
「お、いいね。じゃあそうしようか」

夫はカフェを1日我慢するぶん、わたしは面倒だけどスコーンを焼く。これくらいなら、お互い妥協できる範囲。

こうやって、お互い無理なく不公平感を抱かずに継続するために、どの程度頑張るかの意識をすり合わせるのが、夫婦で資産形成の第一歩だ。

2人にとってメリットがある目標を定める

次に、なんのためにやるかについても少し話し合った。頑張るなら、2人にとっていいもののためにすべきだからだ。

夫は通勤で毎日車に乗っているから、もう少しいい車が欲しいという(現在のマイカーは、友人に格安で売ってもらったかなり古いモデルの中古)。

一方わたしは運転できないし、1年以上乗っても駐車場で自分の車がどれか判別できないレベルの人間だから、「車のためにお金を貯めよう!」と言われてもまったくやる気にならない。

「2人」で資産形成するのだから、「2人」の将来にとって必要なものに対し、一緒に頑張るほうがいい。

といったら、やっぱり家と子どもだ。

ただここでもかなり意見が割れて、わたしは家の広さや内装にかなりお金をかけたいけど、夫は通勤の便利さと静かさを優先したいという。

子どもに関しても、わたしは安心できる金額の貯蓄を望んでいるけど、夫は「十分な収入と国からの補助がある」と言って、子どものための貯蓄には懐疑的だ(ドイツは必要な教育費などが日本より少ないため、夫の言い分も一理ある)。

うん、これじゃ「この目標に向かって一緒に頑張ろう」は無理だな。

本当はここで「我が家はこう解決しました」と書ければいいのだが、目標設定はお金だけではなくお互いのライフプランに直結するから、現在も絶賛話し合い中である。

なかなか意見がまとまらないが、それでもそれぞれが望むことを伝え合ういい機会になったと思っている。


どちらにもストレスなく続けられる方法を検討していく

モチベーションと目標が共有できたら、、最後に決めるべきは「どうやるか」だ。

我が家はまだ目標が明確には定まっていないが、お金をちゃんと管理して増やすことについては夫も乗り気なので、「じゃあどうする?」という話し合いを始めている。

お互いの経済状況をちゃんと把握しようとネットで口座にログインし、それぞれのノートパソコンを並べて見せ合う。そのうえで、直近3か月の出費をざっくりと確認していく。

思っていた以上に食費が高くて、お互い顔を見合わせた。
あれ、こんなに外食していたっけ……?

食費用の共同口座を作るか? いやいや、それで昔失敗しているじゃないか。
毎週末食費用の共同口座をチェックすればいいんじゃない? うーん、ちゃんとやらない気がする。

とまぁこんな感じで話し合いつつ、とりあえず月末に反省会を開き、お互いの経済状況を一緒に確認するルールにした。

もっと細かく資産形成のプランを練ったり、数年単位の投資をしたりするのは、2人でお金の管理がちゃんとできるようになってからでもいいだろう。


夫婦で資産形成のために必要なのは「話し合い」

夫婦で資産形成は難しい。でも同じ家で暮らしている以上、片方だけが頑張っても不満が溜まってしまう。だからあくまで、「2人で頑張る」が理想。

もちろん、価値観がちがう2人がお金を共有し、運用していくのだから、考え方のすれ違いはいくらでも起こる。

そこでちゃんと話し合って不満や不公平感がないようにするのが、「夫婦で資産形成」には不可欠なのだ。


出典
*1 生命保険文化センター「世帯の人数、共働き世帯かによって家計の状況はどう違う?」


雨宮紫苑

ドイツ在住フリーライター。Yahoo!ニュースや東洋経済オンライン、現代ビジネス、ハフィントンポストなどに寄稿。
著書に『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)がある。



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