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若いときには貯金なんかせず経験に投資せよという人がいるけど多分それはウソ
若いときには貯金なんかせず経験に投資せよという人がいるけど多分それはウソ

若いときには貯金なんかせず経験に投資せよという人がいるけど多分それはウソ

2023/11/28・提供元:安達裕哉

「若いときには貯金なんかせず、経験に投資せよ」という人、結構います。


私が20代のときも、40代のベテランコンサルタントの中に、そのようなことを言う人がまわりにいました。


でも本当にそうなのでしょうか?

私は懐疑的です。

というのも、若いときの「貯蓄」と、それをタネ銭とした「投資」が、長期的には資産形成の近道だからです。



実際、世界有数の資産家である、ウォーレン・バフェットは若いうちに「貯蓄」をせよと述べています。



彼は、TV番組に出演した時、こう尋ねられました。

「お金に関して私たちが犯す最大の間違いは何ですか?」


すると、バフェットはこう答えました。


「まあ、一番の間違いは、早めにきちんと貯める習慣を身につけなかったことだと思います。節約は習慣だからです。」*1



バフェットの言う通り、「貯蓄」は時間を味方につければ、莫大なリターンがあります。


例えば、23歳から月に5万円、節約をして貯めたとします。

年間60万円の貯蓄ですから、33歳をすぎる頃には手元に600万円貯まります。


たかが600万円、と思うかもしれませんが、実際にはこれは60代の保有する金融資産保有額の中央値と同程度となりますから、30代の前半に既に「多くの老人より金持ち」になれるわけです。


さらに、30代から月に10万円を貯蓄すると、60代になるころには貯蓄だけで3,600万円。

引退する頃には4,000万円もの貯蓄を手元に残すことができます。

これは、日本人の上位20%に相当する資産です。*2



さらにこれを、30代から「投資」に回したとしましょう。

保守的に年利3%で、月10万円の積立を行い、元金は20代に貯めた600万円とします。


複利計算を行えば、30年間コツコツと積み立てを行うと税金を考慮に入れても、6,500万円となることがわかります。

金融資産5,000万円以上は「準富裕層」、日本人の上位8%に入ります。


20代には月5万円の貯蓄。

30代以降は月10万円の貯蓄+投資


このシンプルな活動だけで、60歳を過ぎるころには準富裕層になれますから、一介のサラリーマンであっても、十分可能です。


なお、ウォーレン・バフェットは、世界で最も優れた投資家の一人だと言われていますが、バフェットの純資産の95%以上は、65歳以上に得られたものであることは、あまり知られていません。


例えばもし、バフェットが人並みの人生を歩んでいて、たとえば10代や20代は殆ど投資せず、30歳の時点で純資産2万5千ドルから投資を開始したとします。


そして早々に60歳で引退した場合、バフェットの現在の純資産は、845億ドルではなく、1,190万ドル。つまり、現在より99.9%も少ないのです。*3


バフェットの真の成功の秘訣は、「何に投資をしてきたか」ではありません。

彼の真の強みは「長期投資」です。

10歳から投資をし、90歳以上になるまで、それを継続していると言う点にあります。


こう考えてくと、貯蓄は大事であると、認識できるのではないでしょうか。


若いうちにしか、できないことがあるのでは?

このように述べると、表題にあるように、

「若いときには貯金なんかせず、経験に投資せよ」というもっともらしい意見を言う方もいるでしょう。


「若いうちにしか、できないことがあるのでは?」という方もいるかもしれません。

あるいは、

「歳を取ってからお金を持っても、使い道がない」という方もいるでしょう。



でも、本当にそうでしょうか。


例えば、「20代でなければできない、5万円でできる経験」って、一体なんでしょう?


都内の高級ホテルに宿泊することでしょうか?

それとも、銀座の寿司屋で背伸びして食事をすることでしょうか?


そんなの、別に「たいした経験」と呼ぶほどのことでもないですし、せいぜい1度でもやれば十分ですよね。

それなら別に、「経験に投資する」というほどでもないと思います。


そもそも、仕事を頑張っていると、上の人がお金を出して、そういった経験をさせてくれます。


例えば、取引先の社長や、自分の上司などが、「できる若手」に対して、お金を出してくれるでしょう。

そういう「経験」は、貴重であり、しかもそれは、人脈も合わせて手に入るわけです。


では何かの資格をとったり、学校に通うための資金とする、というのはどうでしょう?


それもいいですが、今では「リスキリング」というテーマで、助成もたくさん出ますし、そもそも無料で学べるコンテンツがwebには数多くあります。

わざわざ、高々「月5万円」を自分で出すことに、あまり意味はありません。


旅に出て、知見を広げる、というのはどうでしょう?

そもそも、お金をかけなくても、良い旅はできます。


それこそ若いのであれば、安宿に泊まったり、野宿をすることも特に問題はないでしょうし、そうして「頭を使ってお金をかけない」という工夫そのものが、重要なのです。


つまり若いうちは、「自腹」ではなく、「仕事を頑張る」ことや「工夫してみる」、「時間を使う」ことで、お金をかけなくても、いくらでも貴重な体験をすることができます。


若いときにお金を使って、経験を買うと言ってみたところで、所詮、金額が小さいので、できることは高が知れています。

それであれば、時間と知恵を使って、お金をかけずに様々なことに取り組んでみるほうが、はるかに良い経験が得られます。


金は貯めよ、知恵と時間を使え

つまり言いたいことは、若いときも「金は貯めよ、知恵と時間を使って体験をせよ」という事です。

「若いときには貯金なんかせず、経験に投資せよ」というのは、ウソです。


私もかつて、「若いときには貯金なんかせず、経験に投資せよ」というベテランのことを信じそうになりました。


しかし、私の最大の恩師はこういいました。

「安達さん、金は貯めておきなよ。いつか起業したくなった時に、金がないと困るから」

そして、彼はいつも、飲みに行くときにはカネを出してくれました。


そのアドバイス通り、私は若いときにほとんどお金を使いませんでした。

クルマを買わず、家を買わず、服を買わず、飲みにもいかず、高い買い物と言ったら、たまに買う中古のパソコン、そして自転車くらい。


コンサルタントの給与はそれなりに良かったですが、奨学金の返済と家賃にほとんどのお金が消えました。

しかし、おかげで35歳を過ぎる頃には、約2,000万円の貯蓄ができたのです。


では、その2,000万円を何に使ったかというと、まさに恩師の言う通り、37歳の時に「起業」に使いました。

投資信託や株に投資しても良かったのですが、私はお金を「起業」という「経験」に使おうと思ったのです。


「貯金なんかせず、経験に投資しなよ」というアドバイスは、一件正しいように見えます。

しかし、お金を真に有用な経験に投資するのは、かなり難しいのです。


であれば、本当に必要な経験をするために「貯蓄」をしておくことは決して悪くない選択であると、私は思います。



出典
*1 The Motley Fool"Warren Buffett Reveals the Biggest Mistake We Make When It Comes to Money"
*2野村総合研究所「日本の富裕層は122万世帯、純金融資産総額は272兆円」
*3サイコロジー・オブ・マネー――一生お金に困らない「富」のマインドセット


安達裕哉
あだちゆうや

1975年生まれ。デロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社後、品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事。その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。
大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」の経営者として、コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。


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