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ペイオフ対策していますか?制度の概要と保護対象資産を弁護士が解説
ペイオフ対策していますか?制度の概要と保護対象資産を弁護士が解説

ペイオフ対策していますか?制度の概要と保護対象資産を弁護士が解説

19時間前に公開
提供元:阿部由羅

銀行などの金融機関が破綻したときは「ペイオフ」が適用されます。1つの金融機関につき、預貯金が1000万円まで保護されるというものです。

ペイオフは預金者を保護するための制度である一方、1000万円を超える預貯金は保護されません。複数の銀行に預貯金を分散するなど、万が一のケースに備えた対策をお勧めします。

本記事ではペイオフに関する基礎知識や、金融機関の破綻に備えるための対策(ペイオフ対策)について解説します。


ペイオフ(預金保険制度)とは

「ペイオフ」とは、金融機関が破綻した場合に、預金保険制度に基づき、その金融機関の預貯金を一定の範囲内で保護する仕組みです。


金融機関の破綻時に、1金融機関当たり1000万円まで預金が保護される

銀行などの金融機関が破綻すると、預けられている預貯金は本来、その金融機関の財産の範囲内でのみ支払われます。

法律上の優先順位が高い支払いを終えた段階でほとんど財産が残っていないと、預貯金の大部分は支払われずに終わります。そうなると、多くの預金者が経済的に困窮してしまうでしょう。

このような事態を防ぐため、ペイオフによって1金融機関当たり1000万円(+破綻日までの利息等)までの預貯金が保護されることになっています。破綻した金融機関の財産が残っていなくても、預金保険機構の資金によって預金者に対する支払いが行われます。


ペイオフの対象となる金融機関

ペイオフの対象となるのは、日本国内に本店がある次の金融機関です。対象金融機関は、預金保険機構のウェブサイトで確認できます。*1


  • 銀行
  • 信用金庫
  • 信用組合
  • 労働金庫
  • 信金中央金庫
  • 全国信用協同組合連合会
  • 労働金庫連合会
  • 商工組合中央金庫

これに対して、金融機関の海外支店や外国銀行の在日支店、政府系金融機関はペイオフの対象外です。


ペイオフの対象となる預金・対象外の預金

ペイオフの対象となるのは、次に挙げる預金等です。


【ペイオフの対象となる預金等】

  • 当座預金
  • 普通預金
  • 別段預金
  • 定期預金
  • 通知預金
  • 納税準備預金
  • 貯蓄預金
  • 定期積金
  • 掛金
  • 元本補てん契約のある金銭信託
  • 金融債(保護預り専用商品に限る)

など

これに対して、次に挙げる預金等はペイオフの対象外とされています。


【ペイオフの対象外の預金等】

  • 外貨預金
  • 譲渡性預金
  • 金融債(募集債および保護預り契約が終了したもの)
  • 特別国際金融取引勘定において経理された預金(オフショア預金)
  • 無記名預金
  • 他人名義の預金、架空名義の預金

など


1つの金融機関の預貯金が1000万円を超えると、超過分は破綻時に保護されない

ペイオフの難点は、1つの金融機関につき1000万円(+破綻日までの利息等)までしか預貯金が保護されないことです。

1000万円を超える部分については、破綻した金融機関の財産状況に応じて、裁判手続きに従って支払われます。金融機関の財産が足りない分は、最終的に支払われずに終わってしまいます。

金融機関が破綻するのは例外的な事態であるものの、全く可能性がないわけではありません。実際に日本でも、1990年代後半から2000年代初頭の時期において、複数の金融機関が破綻したことがあります。

ペイオフによる保護の上限額を考慮すると、1つの金融機関に1000万円を超える預貯金を預けておくのはリスクがあると言えるでしょう。


金融機関の破綻に備えるための対策(ペイオフ対策)

金融機関が万が一破綻した際に、預貯金などの資産ができる限り守られるようにするためには、次の対策などを検討してください。


  • 預貯金を複数の金融機関に分散する
  • 決済用預金を利用する
  • 株式や投資信託などに分散投資する

預貯金を複数の金融機関に分散する

最も基本的な対策は、複数の金融機関に預貯金を分散させることです。

ペイオフによる1000万円の上限額は、金融機関ごとに適用されます。

たとえば3000万円の預貯金を、A銀行・B銀行・C銀行に1000万円ずつ分散させておけば、その全額がペイオフによる保護の対象となります。


決済用預金を利用する

ペイオフによる保護は1金融機関当たり1000万円(+破綻日までの利息等)までが原則ですが、例外的に決済用預金は全額保護されます。

「決済用預金」とは、次の3つの要件を満たす預金をいいます。たとえば、当座預金や無利息型普通預金などが該当します。


  • 利息がつかないこと
  • 預金者が払戻しをいつでも請求できること
  • 決済サービスを提供できること(公共料金の口座引き落とし、給与・年金の受け取りなどに使えること)

たとえば、A銀行に当座預金2000万円と普通預金1500万円を預けていたとします。

もしA銀行が破綻しても、ペイオフによって当座預金2000万円は全額保護されます。普通預金1500万円については、そのうち1000万円が保護されます。

決済用預金は利息が付きませんが、ペイオフの上限額を気にすることなく安全に資金を保管できます。たとえば自宅の売却代金や相続財産など、一時的に1000万円を大きく超える資金を預ける必要がある場合は、決済用預金の利用を検討するとよいでしょう。


株式や投資信託などに分散投資する

預貯金口座から証券口座へ入金し、株式や投資信託を購入することもペイオフ対策になります。

証券会社などの金融商品取引業者には、投資家から預かった資産を自社の資産と分別して管理し、その管理を信託銀行等に信託することが義務付けられています(=顧客分別金信託)。*2

もし金融商品取引業者が破綻しても、投資家の資産は全額保護されており、信託銀行等から返還されます。

たとえば、A銀行の口座に2000万円の普通預金を持っているとします。

このうち1000万円をB証券会社の口座へ入金すれば、A銀行の普通預金は1000万円となり、ペイオフによって全額保護されます。また、B証券会社に預けた資産も、顧客分別金信託によって全額保護されます。

ただし、元本が保証されている預貯金とは異なり、株式や投資信託は市場価値が変動する点に注意が必要です。値下がりして元本が毀損されることもあり得るので、リスクを許容できる範囲内に抑えて堅実に運用することをお勧めします。


まとめ

金融機関が破綻した場合はペイオフにより、普通預金や定期預金などは1金融機関当たり1000万円まで保護されますが、それを超える部分は保護されません。

1つの金融機関に1000万円を超える預貯金を預けておくと、万が一その金融機関が破綻した際に一部が返ってこなくなるリスクがあるので注意が必要です。

ペイオフの上限額が気になるときは、複数の金融機関に預貯金を分散させることや、全額保護される決済用預金を利用することを検討しましょう。

顧客分別金信託によって保護されている証券口座で資産運用をすることもペイオフ対策になり得ますが、株式や投資信託などは値下がりして元本が毀損されることもあるので、リスク管理を慎重に行ってください。



本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
本コラムの内容は、特定の金融商品やサービスを推奨あるいは勧誘を目的とするものではありません。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客さまご自身の判断でお取り組みをお願いいたします。


出典
*1 預金保険機構 「預金保険制度の対象金融機関」
*2 一般社団法人信託協会 「顧客分別金信託」


阿部 由羅(あべ ゆら)

ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。

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