
金利の上昇は、投資の世界では資金の流れを大きく変える重要な要素です。
日銀は2016年から続いていた「マイナス金利」を2024年に解除しました。それ以降、日本の金利は上昇傾向にあります。
一般に、金利が上がると債券価格にも株式市場にも影響がおよびます。
それはどのようなメカニズムによるのでしょうか。
本稿では、金利と株価・債券価格の基本的な関係を押さえたうえで、金利上昇局面で投資資金がどの資産に向かいやすいのかを、その背景とともにわかりやすく解説します。
まず、金利とはどのようなものでしょうか。
金利とは、利息(金額)の計算レート(利率)です。「%」で示され、一般には「年利=1年あたりの利率」を指します。*1
預金なら、預け入れ預金に対して、銀行から預金者に支払われる1年分の預金利息の割合です。
たとえば、100万円を金利0.3%の定期預金に1年間預けた場合、その利息は3,000円となります。
一方、お金を借りると利息を支払う立場になります。*2
たとえば、ローンを組むのはお金を借り入れることです。ローンには、住宅ローン、カードローン、教育ローン、マイカーローンなど、さまざまなローンがありますが、それぞれ金利が異なります。

図1 金利が年10%で、1年後に返済する場合の「現金+利息」
出典)三菱UFJ銀行 「金利とは?利息の計算方法など仕組みや注意点をわかりやすく解説!」 (2024年6月14日更新)
私たちがお金を預金したり、借りたりする場合の金利は、それぞれの金融機関が日本銀行(日銀)の金融政策に基づいて決めています。
日本の中央銀行である日本銀行は、景気や物価の安定など金融政策上の目的を達成するために、短期金利の推移する目標を定めています。*3
この短期金利が、金融機関の預金金利や貸出金利などに影響を与えます。
一般的に好景気によってインフレ(物価上昇)傾向になると、政策金利を引き上げて経済の過熱を抑えます。
金利が上がると、お金が借りにくくなるため、企業は事業を縮小し、売り上げや利益が減ります。そのことによって、経済の過熱が抑えられるのです。*4
一方、それとは反対に不景気によるデフレ(物価下落)傾向になると、政策金利を引き下げて経済を刺激します。
金利が下がると、お金が借りやすくなるため、企業は事業を拡大し、売り上げや利益が増えます。その結果、景気が良くなるのです(図2)。*5

図2 金利と景気の関係
出典)三菱UFJ銀行 「利上げとは?住宅ローンや為替・株価・物価に与える影響をわかりやすく解説」
日本では、2016年に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が導入されました。*6
マイナス金利とは、銀行が日本銀行に預けているお金の一部に対して、利息をもらうのではなく支払う仕組みです。個人の預金に直接影響を与えるわけではありません。*7
この政策の目的は、銀行にお金をため込ませず、企業への貸し出しや住宅ローンなどに回してもらい、景気を良くすることです。
その背景には、長く続いたデフレ(物価が下がり、給料も上がりにくい状態)があります。
マイナス金利の結果、ローン金利は下がりお金を借りやすくなりますが、預金の利息はさらに低くなります。ただし影響は小さく、利息が少し減る程度です。
つまりマイナス金利は、経済を活発にして、将来は給料や金利を上げるための政策です。
その後、 2024年に、日本銀行はマイナス金利政策の役割は果たされたものと考え、マイナス金利の解除を決定しました。*6
それ以降、政策金利は段階的に引き上げられ、2026年1月には0.75%に引き上げると発表されました。*8
2026年中にはさらに金利が引き上げられるのではないかと、とりざたされています。*9
金利が上昇すると、株価や債券価格はどうなるのでしょうか。
金利は株価に大きな影響を与えます。*4
一般的に、金利と株価はシーソーのような関係にあるといわれています。金利が下がると株価は上がり、金利が上がると株価は下がる傾向があります(図3)。

図3 金利と株価の関係
出典)日本証券取引所グループ 「経済を学ぶ 会社の株価の決まり方」
一般的に利上げが継続している局面では、資金調達が困難になり、資金が不足します。その結果、生産・設備投資が縮小します。*3そして、金利が高水準に達し、景気を抑制し始める局面では、インフレによる消費の縮小が企業業績の悪化につながります。
また、貸出金利の上昇による設備投資の縮小が企業活動の鈍化につながることなどを懸念して、株価が下落する傾向があるのです。
ただし、株価はさまざまな要因で動くため、金利の上昇によってのみ価格が決まるわけではありません。*4
では、金利と債券価格の関係はどうでしょうか。
債券価格と金利はシーソーの関係になっています。*10
つまり、金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がるという関係です。
たとえば、金利2%の債券があると仮定して考えてみましょう。
金利2%ということは、この債券を100円分買えば、1年間で2円を受け取ることができるということです。
では、債券の金利が3%に上がったらどうでしょうか。
金利3%の債券を100円分購入すれば、1年間で3円を受け取ることができます。
そうすると、金利2%の債券よりも金利3%の債券のほうが魅力的、ということになりますので、金利2%の債券は魅力が減って価格が下落するのです(図4)。

図4 金利の上昇と債券価格
出典)日本証券業協会 「今さら聞けない!投資Q&A Q債券価格と金利って、どういう関係なの?」
金利が上がると、債券価格は下がり、株価も一般的に下がる傾向があります。
では、金利が上がると、お金はどこに向かうのでしょうか。金利の上昇によって、魅力が増す金融商品をみていきましょう。
金利が上がると、預貯金の金利も上がります。*2
たとえば、日本銀行が公表している「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等(月次)」をみると、定期預金(預入金額 1千万円以上/1年)の金利(年利)は、2022年4月時点では0.004%でしたが、2026年3月23日15:00時点では0.365%にまで上昇しています。*11
普通預金の金利も、2022年4月時点では0.002%でしたが、2026年3月23日15:00時点では、0.25%に上昇しています。
たとえば、100万円を預けたときに年利0.002%では1年間でもらえる利息は20円(税引前)ですが、年利0.25%になると1年間でもらえる利息は2,500円(税引前)になります。
金利が上がると、個人向け国債の債券の金利も上がります。*2
個人向け国債は原則として個人だけが購入できる国債で、以下の3つのタイプがあります(表1)。*12

表1 個人向け国債の3つの商品
出典)財務省 「個人向け国債とは?」
財務省の発表によると、個人向け国債の2026年2月募集(3月発行)分は8,743億円でした。
2025年度の販売額は合計6兆1526億円で、前年度から36.9%増加し、2019年ぶりの高水準となりました。*13
これは、金利が上がったことで、より安全に運用したい人たちが、国債にお金を移したためだと報道されています。
金利の上昇は、株式や債券の価格だけでなく、資金の流れにも大きな影響を与えます。
金利が上がる局面では、預貯金や個人向け国債などの魅力が高まり、お金の行き先が変化します。
こうした関係を理解しておくことは、投資判断を行ううえで重要です。
今後の金利動向にも注目しながら、自分に合った資産配分を考えてみてはいかがでしょうか。
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
本コラムの内容は、特定の金融商品やサービスを推奨あるいは勧誘を目的とするものではありません。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客さまご自身の判断でお取り組みをお願いいたします。
出典
*1 一般社団法人 全国銀行協会「教えて!くらしと銀行 知っておきたい、金利表示の見方と注意点」
*2 三菱UFJ銀行「金利とは?利息の計算方法など仕組みや注意点をわかりやすく解説!」 (2024年6月14日更新)
*3 三菱UFJ銀行「政策金利」
*4 日本証券取引所グループ「経済を学ぶ 会社の株価の決まり方」
*5 三菱UFJ銀行「利上げとは?住宅ローンや為替・株価・物価に与える影響をわかりやすく解説」
*6 全国銀行協会「マイナス金利解除」
*7 日本銀行「金融政策 5分で読めるマイナス金利」 (2016年3月25日)
*8 日本経済新聞「日銀、「賃金・物価の上昇維持」で利上げ決定 12月会合要旨」 (2026年1月28日 9:21)
*9 野村総合研究所「日銀総裁記者会見:市場の利上げ期待を通じて円安阻止を狙ったか」 (2026年3月19日)
*10 日本証券業協会「今さら聞けない!投資Q&A Q債券価格と金利って、どういう関係なの?」
*11 日本銀行「主要時系列統計データ表」 (更新日時 2026/03/23 15:00)
