
「持ち家か賃貸か」は永遠のテーマかもしれません。
現在、住宅価格は長期的に上昇し、地価も全国的に4年連続で上昇するなど市場環境は大きく変化しました。
一方で、マイナス金利解除後は住宅ローン金利も上昇傾向にあり、低金利前提の「持ち家有利論」は揺らぎつつあります。
最新の不動産価格指数や住宅価格・地価データ、住宅ローンの金利などをもとに、持ち家と賃貸を比較し、住まい選びの判断材料をわかりやすく紹介します。
ここでは、持ち家と賃貸の割合やメリット・デメリットについてみていきます。
まず、持ち家派と賃貸派はどちらが多いのでしょうか(図1)。
宅建協会が行った「2024 住宅居住白書」(以下、「住宅白書」)によると、持ち家派の割合は賃貸派の3倍以上になっています。*1
図1 持ち家派と賃貸派の割合
出典)宅建協会 「2024 住宅居住白書」p.8
持ち家派が63.3%なのに対して、賃貸派は20.1%、「どちらともいえない」と「あてはまるものはない」の合計が16.6%でした。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、2人以上世帯の場合の持家率は、全国平均で64.3%で、上述の持ち家派の割合とほぼ一致します。*2
世帯主の年齢別にみると、20歳代の持家率は20.5%ですが、年齢が高くなるにつれて持家率が高くなり、60歳代で74.1%、70歳代で80.7%となっています(図2)。*3
図2 持ち家の割合
出典)公益財団法人 生命保険文化センター 「家を持っている人の割合はどれくらい?」
次に持ち家派と賃貸派、それぞれの理由をみていきましょう。
「住宅白書」によると、持ち家派の理由のうち最も割合が高いのは、「家賃を払い続けることが無駄に思えるから」(55.8%)であり、次いで「落ち着きたいから」(40.2%)、「老後の住まいが不安だから」(32.9%)が続いています。*1
一方、賃貸派の理由のトップ3は、「住宅ローンに縛られたくないから」(42.1%)、「税金や維持管理にコストがかかるから」(34.1%)、「天災が起こった時に家を所有していることがリスクになると思うから」(30.3%)となっています(図3)。
図3 持ち家派と賃貸派の理由
出典)宅建協会 「2024 住宅居住白書」p.8
次の図4は、持ち家と賃貸それぞれのメリット・デメリットをまとめたものです。*4
図4 持ち家と賃貸のメリット・デメリット
出典)三菱UFJ銀行 「【徹底比較】持ち家と賃貸はどっちがおトク?メリット・デメリットをシミュレーションで解説」
住宅価格が高騰しているという報道をよく耳にします。
実際にはどの程度の価格高騰が起こっているのでしょうか。
国土交通省が2026年3月末日に公表した不動産価格指数(2025年12月・2025年第4四半期分の速報値)によって、2025年12月の指数をみてみましょう。
2010年平均を100とした指数は、全国の住宅総合が148.0(前月比0.5%増)、住宅地は119.8、戸建住宅は121.9、マンション(区分所有)は225.1となっています(図5)。*5
図5 住宅の価格指数(2025年12月分・季節調整値) ※2010年平均=100
出典)国土交通省 「不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比0.5%増加、商業用は前期比0.2%減少~」(2026年3月31日)p.2
図5をみると、特にマンション価格の高騰が激しいことがわかります。
次の表1は、地域別にみた価格指数です。
都市圏別にみると、南関東圏(159.4)、京阪神圏(158.1)の指数が高く、都道府県別にみると、東京都が182.1と突出していますが、対前月比をみると、微減していることもあり、今後、注意深く情報収集をする必要がありそうです。
表1 住宅の地域別価格指数
出典)国土交通省 「不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比0.5%増加、商業用は前期比0.2%減少~」(2026年3月31日)p.2
次に、新築分譲マンション価格をみてみましょう。
下の図6は、不動産経済研究所が公表したもので、2023年3月~2026年3月までの新築分譲マンション価格の推移を表しています。*6
首都圏の2026年3月の価格は、2023年3月時点と比べると、4,000万円弱安くなっていますが、依然として1億円を超えています。
一方、近畿圏の2026年3月の価格は4,759万円と、2023年3月と比べてやや高騰している程度ですが、最近は価格変化が激しいため、今後の推移に注目する必要がありそうです。
図6 新築分譲マンション価格の推移 2023年3月~2026年3月(首都圏・近畿圏)
出典)不動産経済研究所 「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年3月」(2026年4月20日)p.5
日本では住宅ローン利用者の約8割が変動金利を選んでいますが、2024年3月のマイナス金利政策の解除以降、金利は上昇傾向にあります。*7
さらに、住宅価格の上昇により、返済期間が35年を超えるローンや、夫婦で借りるペアローンも増えています。
こうした状況では、将来の返済負担が大きくなる可能性があるため、金利の変動リスクをあらかじめ理解しておくことが重要です。
そのため国土交通省は、金利リスクへの理解を広める取り組みを進めるとともに、住宅ローンを選ぶ際の注意点をまとめたリーフレットを公表しました。
下の図7は、2026年3月時点での金利に基づいて、変動金利型と固定金利型の特徴をまとめたものです。*8
図7 変動金利型ローンと固定金利型ローンの特徴
出典)国土交通省 「住宅ローンの常識が変わる?」(2026年3月31日更新)p.7
金利が低いのは変動金利の方ですが、現在、変動金利は上昇傾向にあります。したがって、変動金利は将来も上昇する可能性を考慮する必要があります。
たとえば、1.0%の変動金利で4,000万円借入した場合、金利が最初の5年間で1%上昇すると、返済額が月に2万円、もし最初の10年間で2%上昇すると、返済額は月に約4万円も増えることになります。
一方で、固定金利は一般に変動金利より高いのですが、将来の返済が確定する安心を得ることができます。
以下の図8は、フラット35の固定金利型ローンと変動金利型ローンのシミュレーションです。
ちなみに、フラット35には、家族構成や住宅の性能によってポイントが付与され、そのポイントによって、当初の金利を抑えて毎月の返済が軽くなるプランもあります。
たとえば、図8の「固定金利」パターン②は、家族構成と住宅の性能によって6ポイントを適用した場合です。
6ポイントの適用によって金利が引き下げられ、借入金額が4,000万円、借入期間35年の場合、毎月の返済額は、当初5年間は11.8万円、6~10年目は12.6万円、11年目以降は13.4万円と、パターン①の金利引下げの適用なし(毎月13.8万円)と比べると、返済の負担が軽減されます。
図8 変動金利型ローンと固定金利型ローンの特徴
出典)国土交通省 「住宅ローンの常識が変わる?」(2026年3月31日更新)p.6
このように、ローンを組んだ場合の返済額は、持ち家の価格だけでなく、ローンの種類やそのときどきの金利によって違います。
一方、家賃はどうなっているのでしょうか。*9
全国家賃管理ビジネス協会「全国家賃動向」2026年3月調査の結果をみていきましょう。
3部屋に注目すると、全国平均では家賃は前年同月比+0.9%程度の上昇となっており、全国平均は55,258円。
もっとも家賃が高いのは東京都で、前年同月比+2.9%の102,478円でした。
家賃は地域差が大きく、以下の地域では大幅な上昇がみられます。
これまでみてきたように、「持ち家か賃貸か」は、住まいを構える地域やローンの金利などによって、大きく左右されることになります。
また、住宅を購入した場合には、住宅の金額だけでなく、ローンの返済額・控除額、火災保険料、固定資産税、都市計画税、リフォーム費用などがかかります。*4
一方、賃貸の場合にも、家賃だけでなく、礼金、敷金、仲介手数料、保証人代行サービス、火災保険、それにマンションであれば共益費もかかります。*10
こうした状況から、以下のようなシミュレーションで概要を把握し、それを参照して検討するという方法もあります。
三菱UFJ銀行「住宅ローンシミュレーション」*11
ホームメイト「賃貸の初期費用と計算シミュレーション」*10
持ち家か賃貸かに「絶対の正解」はありません。
金利の上昇や不動産価格の高止まりといった環境変化の中では、これまでの常識も見直しが求められています。
大切なのは、コストだけで判断するのではなく、将来のライフプランやリスク許容度を踏まえて選ぶことです。
最新のデータを基に、納得できる住まいの形をみつけてみてはいかがでしょうか。
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客さまご自身の判断でお取り組みをお願いいたします。
出典
*1 宅建協会 「2024 住宅居住白書」
*2 J-FLEC 金融経済教育推進機構 「家計の金融行動に関する世論調査>二人以上世帯>各種分類別データ(令和7年)>39 住居の状況」
*3 公益財団法人 生命保険文化センター 「家を持っている人の割合はどれくらい?」
*4 三菱UFJ銀行 「【徹底比較】持ち家と賃貸はどっちがおトク?メリット・デメリットをシミュレーションで解説」
*5 国土交通省 「不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比0.5%増加、商業用は前期比0.2%減少~」
*6 不動産経済研究所 「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年3月」
*7 国土交通省 「『住宅ローンの常識が変わる!?』リーフレットを作成しました!~住宅ローンの金利リスクの普及啓発に取り組みます~」
*8 国土交通省 「住宅ローンの常識が変わる?」
*9 全国家賃管理ビジネス協会 「全国家賃動向 2026年3月調査」
*10 ホームメイト 「賃貸の初期費用と計算シミュレーション」
*11 三菱UFJ銀行 「住宅ローンシミュレーション」
