back icon
私が教わった、上手な「仕事の手の抜き方」について
私が教わった、上手な「仕事の手の抜き方」について

私が教わった、上手な「仕事の手の抜き方」について

2023/12/22に公開(最終更新:2024/04/19)
提供元:安達裕哉

「仕事の手を抜く」というと、あまり聞こえが良くないかもしれませんが、実は「仕事が遅い」を解消する方法は2つしかありません。


一つは「仕事を早くやる」。

そしてもう一つが、「仕事の手を抜く」です。


そして多くの場合には、もう一方の「仕事を早くする」よりも、仕事の手を抜く、つまり「仕事を減らす」ことを憶えたほうが早く結果が出ます。


特に若い人や新人さんが知るべきは「やらなくていいことをしない」も「細部に時間をかけて良いのは、それに意味がある場合だけ」と言う事実です。


だから「手を抜く」事を憶えさせることも、上司の役割の一つであることは間違いありません。



むかし、わたしにも「仕事が遅い部下」がいたことがあります。

その人は不器用で、要領よくやることが他の人に比べて苦手でした。


例えば、明日の社内会議のために、事前に「アジェンダ(議事)」を作っておいてくれ、と指示をしたとします。


仕事の早い人であれば、前回の議事録を読み返して、宿題事項の確認を冒頭に入れ、定例的な話題を配置し、今回だけのテーマがあれば上司にそれを確認、で終わりです。

おそらく、20分程度で終わるでしょう。


しかし彼に頼むと、ゆうに1時間以上はかかるのです。

「いったい、何でそんなに時間がかかったのだろう?」と不思議に思って、やったことを聞いてみると、


「まえ10回分の議事を読み返した」

「今回までの積み残しの課題がないかチェックした」

「ディスカッションをどこに入れるか悩んだ」

などと言うのです。


なるほど、確かに前々回の会議以前から、いくつか積み残している課題があったのは確かです。


が、それはいったん、通常のアジェンダを作ってから、「前回より前の積み残し課題が結構あったはずなのですが、今回の会議に入れますか?」と上司に聞けばよく、一人で悩む話ではありません。


このように、必要以上に多くの時間を投入してしまう事で、「あさっての方向の努力」をしてしまうケースは、要領の悪い若手に散見される特徴です。


では、こういったケースに対して、上司や先輩はどのように対処すべきでしょう?


「そんなことは頼んでない」と、冷たく言う人も昔は多かったような気がします(笑)が、今はそんなことをしたら、すぐに人が辞めてしまいますので、やんわりと「手の抜き方」を教える良い機会だと思って、以下のようなことを教えると良いでしょう。


ただし「手を抜く」と「怠ける」は大きく違います。


「怠ける」は必要な工程や重要な成果をすっ飛ばしてしまうことを指しますが、仕事の手を抜くときに何より重要なのは、まず「成果につながる仕事のみを行うこと」です。


言葉としては簡単ですが、実際には手を抜く分、頭を使わなくてはならないので、その頭の使いどころを教える、といったイメージです。



(1)最初に「この仕事で一番重要なことは何か?」と聞く。

仕事を引き受ける際に最も重要なことは、「成果を定義すること」です。

これをやらないと、手戻りや修正など、あとから無駄な努力が発生します。


ですから、できる限り手を抜くには、引き受けた仕事について「この仕事で一番重要なことは何か?」と、依頼者に聞くことから始めること。作業の重要度の見極めをすること。

これを怠ると、見当違いの方向に努力してしまうことになります。


なお、依頼者から話をしてもらうときには、キチンと「メモをとること」が重要です。

というのも、喋り言葉は書いてみると論理が破綻していることがたくさんあるからです。

メモに書かれたものを、あとで依頼者と確認することで、あとあととても楽ができるのです。



とにかく、依頼者から引き受けるときに時間をかけること。ここで時間をかけておくと、あとで大きく工数を削減でき、「手を抜く」ことにつなげやすくなります。


(2)困ったら勝手に想像せず、確認を取る。

ただし、仕事は「やってみないとわからない」ことも数多くあるため、どうしてもあとから、「これはやったほうがいい?それとも不要?」という判断をしなければならないことが数多く出てきます。


しかし、そこで「聞くのが面倒だから」と言って、確認を怠ると、たいてい後で手戻りややり直しが発生し、結局「無駄な仕事」が発生してしまいます。


ヘタに判断に迷ったり、無駄に依頼者の意図を類推しようとするよりは、すぐに連絡を取って、作業の要不要を確認するほうが圧倒的に仕事を減らせるのです。


例えば、私が昔受けた仕事の中に、「議事録の要約」がありました。

ChatGPTなどない時代でしたから、膨大なページ数の資料を読み込んで、要約を出すのはなかなかつらい仕事だったのです。


しかし、作業を始めて間もなく、よく見ると議事録の大部分は、「新商品に関する説明」だったため、これは手を抜けるのでは、と思いました。


そこですぐに席にいた上司に、「この説明はカタログの概要で置き換えていいですか?」と相談したところ、「あ、それでいいよ」と言われて、だいぶ作業量を削減できた記憶があります。


(3)可能な限り口頭ではなく、文書で指示してもらう

依頼者によっては、やってくれないかもしれませんが、可能な限り、指示はメールや文章でもらい、口頭で受けることを避けたほうが良いです。


口頭で指示を受けると、後から不明な点が続出して手戻りが出ることが多いですし、最悪、依頼者と「言った、言わない」の水かけ論争になることもあります。


口頭での指示は極力、できるだけ「メールで詳細をいただけますか」ということが大事です。

これには、依頼者が適当に指示を出しているケースを抑制するという意味もあるので、依頼者への牽制にもなります。


ただ、ダメ上司の中には、言語化がヘタで口頭のほうが好きな依頼者も多々いるので、その際は面倒だけどメモを取り、後で確認のメールを送ることです。


繰り返しになりますが、周到に仕事を引き受けないと、後で苦労するのはあなたです。


(4)自分でやらないほうがいい仕事は、依頼者やお客さんにしてもらう

自分でやらないほうが早く終わる仕事は、結構多いものです。


だからあなたが何年目だろうと、上司やお客さんにバンバン指示を出すことも、学んだほうが良いでしょう。


「いや、上司やお客さんなんて、立場の上の人に作業を振るとかありえないでしょ……」と言う人もいるかもしれませんが、上司とお客さんがどうやったら動くかを考えるのも仕事の一つです。


そもそも、上司やお客さんがデータや資料を持っているケースも多く、「ヒアリングをさせてください」や「資料をこちらにいただけないでしょうか」と頼むだけでも、だいぶ工数を削減できたりします。


コツは交換条件にすること。「まとめはこちらでやりますから、喋るだけでいいので」とか、「こちらはパワポ作成をやりますから、資料探しだけ引き受けてもらえないでしょうか」と、バーター取引にすることが、立場が上の人を使う基本の頼み方です。


(5)真似する/定型文を使う

ビジネスは、学問の世界や芸術の世界のように、「オリジナリティ」が重要な世界ではありません。

もっと言えば、「真似てよし」「成果が出れば良し」「速さ>質」の世界でもあります。

だから、最初は抵抗があるかもしれませんが「ゼロから考えるのは時間の無駄」と割り切りましょう。


社内資料をコピペする。

競合の情報を参考に利用する。

顧客から資料をもらって、それを使う。

様式、マニュアル、基準を作って、同じことで2度悩まない。


そういうムーヴが、「仕事で手を抜ける」環境を作り上げていくのです。


実際、ビジネスなんてパターン化がある程度できますから、都度、アイデアを必要とする非定型のように思える仕事であっても、実はほとんどの仕事は定型化できます。


例えばインタビュー、企画書の作成、設計書のレビュー、マニュアル作り、営業、メルマガの作成などは、すべて定型化できます。


だから、定型化に必要なのは、実は「記録」がモノを言います。

何かの仕事を手掛けたときには、その周辺資料も含めて自分なりにアーカイブを作っておくと、後で必ず役に立ちます。


以上、上手な仕事での手の抜き方でした。

本当に面白くて重要な仕事に、貴重な貴方の時間を使えるよう、工夫してみてください。



安達裕哉
あだちゆうや

1975年生まれ。デロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社後、品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事。その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。
大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」の経営者として、コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。


安達裕哉氏のコラムを読んでみよう


関連コラム
もっとみる >
Loading...
scroll-back-btn