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【弁護士が解説】不動産の相続を共有名義にする際の注意点は?2024年から義務化された相続登記とあわせて解説
【弁護士が解説】不動産の相続を共有名義にする際の注意点は?2024年から義務化された相続登記とあわせて解説

【弁護士が解説】不動産の相続を共有名義にする際の注意点は?2024年から義務化された相続登記とあわせて解説

2026/07/07に公開
提供元:阿部由羅

不動産を相続するに当たり、複数の相続人の共有名義とするケースがしばしば見られます。

しかし、不動産を共有している状態では、共有者間でトラブルが生じるリスクに注意しなければなりません。特別な事情がない限り、遺産分割協議の中で不動産の分割方法をよく話し合い、共有名義での相続は避けた方が無難です。

本記事では、相続した不動産を複数の相続人が共有する場合の注意点などを弁護士が解説します。2024年4月から義務化された相続登記など、不動産を相続する場合に必要となる手続きについても解説するので、参考にしてください。


不動産を相続するとどうなる?

亡くなった人(被相続人)が所有していた不動産は、相続人が引き継ぎます。いったん相続人全員の共有となりますが、最終的には遺産分割協議によって不動産を相続する人を決定します。


遺産分割前の不動産は、相続人全員の共有となる

被相続人が生前所有していた不動産は、遺産分割が完了するまでの間、相続人全員の共有となります。

相続人となるのは、被相続人から見て次の続柄にある者です。

  • 配偶者
  • 直系卑属(孫など)
    ※相続人である親がすでに亡くなっている場合など(代襲相続)
  • 配偶者
  • 最も親等が近い直系尊属(父母など)
    ※子およびその代襲相続人がいない場合
  • 兄弟姉妹
    ※子およびその代襲相続人、ならびに直系尊属がいない場合
  • 甥、姪
    ※相続人である親がすでに亡くなっている場合など(代襲相続)


不動産の分割方法は、遺産分割協議などによって決める|共有も可能

不動産も含めて、被相続人が生前所有していた財産(=相続財産)の分け方は、次の方法によって決定します。

【遺言書によって分け方が指定されている場合】
遺言書が無効であるなどの事情がない限り、遺言書の内容に従って分けます。

【遺言書によって分け方が指定されていない場合】
相続人全員の遺産分割協議によって分け方を決めます。協議がまとまらないときは、家庭裁判所の調停や審判を通じて決定します。

不動産の分割方法は、後述する「現物分割」「代償分割」「換価分割」のいずれかを選択するのが一般的ですが、複数の相続人が共有することもできます。ただし、不動産を共有状態のままにすることには、トラブルのリスクを伴うので注意が必要です。


不動産を共有状態にしておくことのリスクは?

共有状態の不動産については、その活用方法などを巡って、共有者間でトラブルが生じることがあります。

共有不動産の管理(賃貸など)に関する事項は、共有持分の過半数によって決めることになっています(民法252条)。
たとえば、AとBが2分の1ずつ不動産を共有している場合は、どちらかが反対すれば賃貸に出すことができません。

また、共有不動産の変更(売却など)は、共有者全員の同意がなければ行うことができません(民法251条)。

上記のルールにより、共有者間で意見が対立すると、不動産の賃貸や売却などをスムーズに行うことができないおそれがあります。

さらに、一部の共有者が共有持分を第三者に売却することも想定されます。見ず知らずの第三者が共有関係に入ってくると、トラブルのリスクが高まってしまいます。

このように、不動産を複数の相続人が共有することはトラブルの原因になり得ます。特段の事情がない限り、相続した不動産は共有以外の方法で分割することが望ましいです。


共有以外の不動産の分割方法

共有状態を解消しながら不動産を分割する方法としては「現物分割」「代償分割」「換価分割」の3つが挙げられます。


現物分割|土地を分筆する

「現物分割」は、不動産を物理的に分割する方法です。建物の現物分割は困難ですが、土地は分筆による現物分割ができます。

複数の相続人が土地の相続を希望する場合には、現物分割が有力な選択肢となります。ただし、土地の形状や面積によっては、分筆すると活用しにくくなることがあるので注意が必要です。


代償分割|1人の相続人だけが不動産を相続する

「代償分割」は、一部の相続人だけが不動産を相続し、他の相続人に対して金銭などによる埋め合わせを行う方法です。

相続人のうち1人だけが不動産の相続を希望する場合には、代償分割が有力な選択肢となります。不動産以外にも価値のある相続財産があれば、その財産を他の相続人に与えてバランスをとることもできます。

ただし、不動産の価値が高額である場合や、他に価値のある財産がない場合などには、不動産を相続する人が代償金を準備しなければなりません。代償金を準備できないときは、代償分割が困難なこともあるのでご注意ください。


換価分割|不動産を売却して代金を分ける

「換価分割」は、不動産を売却したうえで、その代金を相続人間で分ける方法です。

相続人が誰も不動産の相続を希望しない場合は、換価分割が有力な選択肢となります。1円単位で公平に代金を分けられる点も、換価分割の長所と言えるでしょう。

ただし、不動産の状態や立地などによっては、なかなか買い手が見つからないこともあるので注意が必要です。


不動産を相続したときは、相続登記を申請する必要がある

2024年4月から、不動産の相続登記の申請が義務付けられました。

不動産を相続したときは、そのことを知った時から3年以内に、不動産の所在地の法務局に相続登記を申請しなければなりません。ただし、2024年3月以前に相続したことを知った不動産については、2027年3月末までに登記申請を行う必要があります。

相続登記の手続きには「相続人申告登記」と「所有権移転登記」の2種類があります。

【相続人申告登記】
不動産について相続が開始した旨と、自らがその相続人である旨を公示する登記です。いわば暫定的な登記で、各相続人が単独で申し出ることができます。申請手続きも比較的簡単です。

【所有権移転登記】
不動産の所有権を取得した旨を公示する登記です。こちらは確定的な登記で、遺言書や遺産分割協議書の添付を要するなど、申請手続きが複雑になっています。

相続人申告登記は、相続開始後3年以内に遺産分割が終わりそうにない場合に適しています。相続人申告登記を申し出れば、ひとまず相続登記の申請義務を果たしたことになります。

遺産分割によって不動産を相続することが決まったら、所有権移転登記を申請しなければなりません。申請期限は、遺産分割の日から3年以内です。

登記申請を怠ると「10万円以下の過料」が科され得るほか、不動産に関する権利を失ってしまうおそれも否定できません。不動産を相続したら、速やかに相続登記を申請してください。


まとめ

不動産の共有はトラブルの原因になり得るので、相続した不動産を共有のままとすることはリスクが高いです。現物分割・代償分割・換価分割の中から、家庭の状況に合った方法を選択して遺産分割を行いましょう。

不動産を相続したときは、3年以内に相続登記を申請する必要があります。遺産分割協議のサポートは弁護士、登記申請のサポートは司法書士が行っているので、必要に応じてご相談ください。



本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。


阿部 由羅

ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。

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