お金を増やすためにはなにをすべきか。
まず最初に挙げられるのが、収入を増やすことだ。手に入るお金が多ければ、そのぶん経済的余裕が生まれる。
とはいえ、収入を増やすのはなかなか難しい。うまくキャリアアップすれば可能だが、希望通りの条件で転職できるとはかぎらないし、そう何度も転職や昇進できるわけでもない。
そんななかで注目を浴びるのは、昨今ブームとなった副業だ。2つ以上の仕事をしてより多く働けば、当然収入はふえる。
さてさて、「副業 初心者」「副業 在宅」などで調べるといろんな仕事が出てくるのだが、そのなかでもいたるところで紹介されているのが、ブログだ。
だが経験者として、声を大にして言いたい。
「収入目的の副業なら、ブログはおすすめしないぞ」
わたしのライターとしてのキャリアのスタートは、ブログだった。
ブログはもう長いこと放置状態なのであまり覚えていないが、5年ほど前は毎日更新していて、広告収入で月10万円ほど稼いだこともあった。平均すると、だいたい月3~5万円ほどの収入だっただろうか。
ブログは趣味だと割り切っていたので、たまにSEO対策(検索順位を上げてアクセスアップを狙うこと)をしたり、アフィリエイト(広告)をつけたりはしたが、あくまで収入はおまけという認識でやっていた。
なぜわたしが収益化にそこまで本気になれなかったかというと、ブログの収益がかなり不安定だからだ。
そもそもブログを立ち上げてから利益が発生するまでの期間が長く、1ヵ月毎日更新して順調に収益が発生する人もいれば、3ヵ月毎日更新しても鳴かず飛ばずという人もいる。
また、Googleのアルゴリズム(簡単にいえば検索順位を決めるルール)が変更され、今まで検索3位だった記事が突然3ページ目まで下がることもあった。
順位が下がればアクセス数は激減し、月5,000円の収益を上げていた記事の収入が突然ゼロになる……というのがブログの世界。
さらに、ブログ収益化自体はもう10年以上も前から行われており、「利益率が高いおいしいキーワード」はすでに、大手メディアや古参アフィリエイターがきっちり押さえている。
後発組が稼ぐためには、それなりに勉強したうえで日々記事を書き、ライバルが少ないキーワードを選んで……というような戦略的なブログ運営が必要になる。
こういった事情があって、「ブログは趣味程度にやるのが一番楽しいな~」という結論に至ったのだ。
ブログで収入を得る手段は主に2つで、Googleアドセンスとアフィリエイトだ。企業案件もあるが、あくまで上級者向けなので今回は取り上げない。
まずGoogleアドセンスとは、ブログにコードを埋め込んでおけば、対象者にぴったりの広告を選んで自動で表示してくれるもの。
広告が表示された回数やクリックされた回数に応じて収入を得られる仕組みで、YouTubeの冒頭に自動で差し込まれる広告と似たようなイメージだ。
アドセンス収入は広告が表示されなくては始まらないので、一定以上のアクセス維持が必須。
しかしそのアクセス維持というのが結構大変で、最初のうちはひたすら更新、わたしは月100記事は書いていた。
それでもまだスタートラインで、アクセスがふえる時間帯に合わせて記事をアップしたり、記事内のどこで読者が離脱したかを分析して最後まで読んでもらえる工夫をしたり、SNSで宣伝したり……。
そう、ただ書くだけじゃ、たいした収入は見込めないのだ。
収入を得たいなら、「稼げるブログ」にしなきゃいけない。
もうひとつの方法、アフィリエイトとは主に、アプリケーションサービスプロバイダ(以下ASP)を介して宣伝料をもらうこと。
ASPに登録するといろんな案件が利用でき、各案件の広告をブログに載せると、アクセスや契約数にしたがって収入を得られる。
「今年プレイしたおすすめのSwitchゲーム30選」「肌別おすすめファンデーション10選」のような記事にはたいてい商品リンクが貼ってあるが、それがアフィリエイトだ。
アフィリエイトの収入は検索順位に大きく左右されるため、検索順位を上げる方法を学ばなくてはいけない。本気で取り組むなら、特定分野に特化したブログにする必要もある。
ただの雑記ブログに突然「おすすめファンデーション10選」を書いても、たいしたアクセスは見込めない。それなら最初から、化粧品アフィリエイトのためにブログを運営すべき、ということだ。
とはいえ案件が多い美容やWi-Fiなどは、それだけライバルが多い。案件が少ないニッチ分野はそもそもアクセス数自体が少ないので、パイの奪い合い。
どう考えても勝ち目がないので、わたしは早々にアフィリエイトから撤退した。
ブログで収入を得るためには、「なにか書いていればお金が入ってくる」なんて甘い考えではダメで、SEOや多少のプログラミングを学び、アクセス数や読者属性を分析し、それに応じて記事を更新・修正し続ける必要がある。
それでも必ず収益が生まれるわけではないし、収入が突然なくなることもあるのがブログの世界。
……と聞くと、副業としてのブログが結構ハードル高い印象にならないだろうか。
「いやいや、そんな本気のやつじゃなくて、月2~3万円ちょこっと稼げればいいんだよ」という人もいるかもしれない。
でもその「ちょこっと稼ぐ」ためにも、それなりの努力が必要なのだ。
わたしがブログを始めた約10年前、世間は空前のブロガーブーム。当時は月100万円を達成した20代前半のブロガーが多く、ブログサロン(月額制のオンラインの習い事・ファンクラブのようなもの)を続々と主催していた。
わたしもいくつかのブログサロンに参加。そこには「自分らしく生きる」に憧れたブロガーの卵たちがたくさんいて、みんなブログこそが生きる道だと信じていた。
が、勢いがあったのは最初だけ。
数百人の参加者がいたが、3ヵ月毎日ブログを更新し続けられた人は、体感5%以下。
最初は意気揚々と記事を書いていても、だれも読んでくれないし、検索順位も上がらない。当然、収益化なんて夢のまた夢。
そんな現実を前に、「書くこともないし今日はいいか……」が続いて、更新が止まるのだ。
もちろん、たった10記事で検索上位に食い込み、SNSでの宣伝なしでも月ウン十万円稼いでいるアフィリエイターも存在する。
でもそれは、投資と同じ。
有名トレーダーが1時間で1億円稼いだからって、それを真似れば投資初心者が億り人になれますか?という話だ。
ブログノウハウはたくさんあり、成功者がたくさんいるのは事実。しかしその裏には、数百、数千、もしかしたら数万倍の「ブログに夢を見たけど早々に諦めた人」がいることを忘れてはいけない。
とはいえブログが副業としておすすめされる理由も、わからないわけではないのだ。
ノウハウが多く素人でも始めやすいこと、専門機材不要で自宅でできること、空き時間にやりやすいことなど、副業向きの要素もたくさんある。
わたしはなにも、「ブログなんてやめておけ」と言いたいわけではない。
将来メディアの仕事をしたいという人や、文章を書くのが好きで収入はおまけだと割り切れる人、豊富な資金があり記事執筆や検索順位管理を外注する人などにとっては、ブログ運営はいい経験になるだろう。
ブログは自分自身のセンスや知識、文章力をいかんなく発揮できるし、検索順位や収益アップのための試行錯誤にはゲーム性があり、向いている人は心から楽しめると思う。
しかし「収入目的の副業として」となると、話は別。
収入目的のブログは不確定要素が多すぎるし、費やす時間と労力に見合う利益を得られるかがまったくわからない。
それでもやりたいと思えるか? 結果を出すために勉強、試行錯誤することにやりがいを感じるか?
誤解を恐れずにいえば、ほとんどの人は、ブログをやるよりアルバイトしていたほうが安定して多くの収入を得られるだろう。
ブログを研究して戦略的に運営するのが楽しいのなら、それでよし。
しかしそうではないのなら、ブログより別の手段の副業を選ぶほうが、より確実にお金を稼げるはずだ。
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