円安などの影響により、増え続ける家計負担。民間のシンクタンクによると、令和5年度の2人以上の世帯の家計負担額は、前年度から平均で10.2万円ほど増えると試算されています 。*1
一方で、国や自治体は毎年、様々な分野において、補助金を交付しています。これらを上手く活用することで、家計の負担を減らすことにもつながります。
そこで今回は、個人でも申請が可能なエコに関する補助金等について、主なものを紹介します 。
家計への負担が大きい住宅費用。国土交通省や環境省など様々な省庁が、省エネ性能の向上等を目的として、住宅の新築やリフォーム等にかかる費用への補助を行っています。
「子育てエコホーム支援事業」は、高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等を行う子育て世帯・若者夫婦世帯等に対する補助です。*2
申請が可能な補助対象者は、以下に該当する子育て世帯・若者夫婦世帯となります(図1)。*2
図1 申請可能な子育て世帯・若者夫婦世帯とは
出典)「子育てエコホーム支援事業 事業概要」国土交通省
注文住宅の新築及び新築分譲住宅の購入の場合には、長期優良住宅であれば1住戸につき上限100万円、ZEH住宅であれば80万円の補助が受けられます。
長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅で、都道府県や市町村等で認定を受けたものを指します。*3
ZEH住宅とは、「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略語で、エネルギー収支をゼロ以下にする住宅のことです。*4
なお、市街化調整区域、土砂災害警戒区域又は浸水想定区域に立地している場合、補助額は原則、長期優良住宅で1住戸につき50万円、ZEH住宅で40万円となります。*2
また、本事業は、リフォーム時にも補助金の交付申請が可能です。
工事内容に応じて、子育て世帯・若者夫婦世帯は上限30万円、その他の世帯も上限20万円までであれば申請することができます。
また、子育て世帯・若者夫婦世帯が既存住宅購入を伴う場合には、交付申請額の上限が60万円に引き上がります。
さらに、長期優良リフォームを行う場合には、子育て世帯・若者夫婦世帯は上限45万円、その他の世帯も上限30万円まで申請可能です。
環境省は、2024年3月に、高い断熱性能を持つ窓への改修にかかる費用を補助する「先進的窓リノベ2024事業」の申請受付開始を予定しています(図2)。*5
図2 先進的窓リノベ2024事業の概要
出典)「先進的窓リノベ2024事業の概要」環境省
交付申請期間は、2024年3月中下旬から予算上限に達する(遅くとも2024年12月31日)までです。補助額は、住宅の建て方、設置する窓の性能と大きさ、設置方法に応じて定額で、一戸当たり5万円から最大200万円までとなっています。*6
資源エネルギー庁は、2024年3月中下旬以降、高効率給湯器導入にかかる費用を補助する「給湯省エネ2024事業」の申請受付を開始する予定です。*7, *8
補助額は、給湯器の種類や性能によって異なります。ヒートポンプ給湯器であれば最大13万円、ハイブリット給湯器だと最大15万円、家庭用燃料電池では最大20万円となっています(図3)。*7
図3 ⾼効率給湯器導⼊補助⾦における補助額
出典)「⾼効率給湯器導⼊促進による家庭部⾨の省エネルギー推進事業費補助⾦の概要」資源エネルギー庁p.3
令和6年度に実施予定の自動車関連の補助金として、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」があります。*9
同補助金は、クリーンエネルギー自動車の普及拡大に向けて、EV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)等の購入にかかる費用を補助するものです(図4)。*9
図4 クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)概要
出典)「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)の概要」経済産業省p.1
各車両の補助額については、車両性能や充電インフラ整備などメーカーの取り組みを総合的に評価したうえで決定され、3月中旬に補助対象車種等が公表される予定です。
同補助金の活用を検討する場合には、3月中旬以降、ホームページで対象車種等を確認すると良いでしょう。
自治体によっては、家庭から出る生ごみの減量を目的として、生ごみ処理機等にかかる購入補助金を助成しています。*10
例えば、愛知県長久手市は令和5年度、生ごみ処理機の購入費の2分の1の額で、1基につき1万円を上限とした額を補助しました。
また、栃木県小山市は、令和5年度と6年度の2年間限定で、電動式生ごみ処理機の補助額を増額しており、6万円を上限として購入費の10分の7を補助しています。*11
令和6年度の実施は未定の自治体もありますが、お住まいの自治体のホームページで、今後の補助事業の実施について確認してみると良いでしょう。
以上のように、国や自治体によって様々な補助金や助成金等が交付されています。
今回紹介した補助金以外にも、自治体によっては、地域の実情に合わせた補助金が交付されていることがあります。また、年度が切り替わる4月以降、今回紹介した以外の補助金等が公表される可能性もあります。
今後何かの購入等を検討する際には、活用できる補助金がないか国や自治体のホームページ等を通じて事前に調べてみてはいかがでしょうか。
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意下さい。
出典
*1、NHK「円安加速いったいなぜ? 家計の負担いくら増える? 年収別に試算」
*2、国土交通省「子育てエコホーム支援事業 事業概要」
*3、国土交通省「子育てエコホーム支援事業 注文住宅の新築」
*4、資源エネルギー庁「知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~新しい省エネの家『ZEH』」
*5、環境省「先進的窓リノベ2024事業の概要」
*6、環境省「先進的窓リノベ2024事業 事業概要」
*7、資源エネルギー庁「⾼効率給湯器導⼊促進による家庭部⾨の省エネルギー推進事業費補助⾦の概要」p.1 p.3
*8、資源エネルギー庁「給湯省エネ2024事業 事業概要」
*9、経済産業省「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)の概要」p.1
*10、長久手市「生ごみ処理機等購入補助金」
*11、小山市「生ごみ処理機補助金について」