自動車を購入した場合や、自動車を所有している場合には税金がかかります。税金を含めた取得や維持のコストが高いため、最近では車を持たない人が多くなっている状況です。
車を購入する際には、利便性とコストを比較したうえで、本当に必要かどうかをよく検討してから決断しましょう。
本記事では、自動車にかかる税金について解説します。
自動車を購入する際には、以下の税金がかかります。
消費税と地方消費税は、物やサービスを購入する際にかかる税金です。日用品や家具など他の物と同様に、自動車を購入する際にも消費税と地方消費税がかかります。
世間一般では、消費税と地方消費税を合わせて単に「消費税」と呼ばれるケースが大半となっています。消費税は国税、地方消費税は道府県民税です。
2019年10月以降、消費税の税率は7.8%、地方消費税の税率は2.2%で、合計10%にされています。
たとえば、税抜価格が300万円の車を購入した場合、消費税・地方消費税を足して330万円を支払う必要があります。
自動車税と軽自動車税は、自動車を所有する人に対して課される税金です。
自動車を購入する際には自動車税、軽自動車を購入する際には軽自動車税の「環境性能割」がかかります。
環境性能割とは、燃費性能などに応じて車両の取得時に課される道府県民税です。2019年10月から、従来の自動車取得税に代えて環境性能割が導入されました。
環境性能割の税率は、自動車の燃費性能などに応じて細かく区分されています。
電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などは環境性能割が非課税とされています。
これに対してガソリン自動車については、高いレベルで燃費基準を達成しているものは環境性能割が非課税とされる一方で、そうでないものには0.5~3%の環境性能割が課されます。
環境性能割は、実際の購入価格にかかわらず、その自動車の取得のために通常要する価額(=課税標準額)に対して課されることになっています。
環境性能割の課税標準額は、おおむね車両本体価格の9割程度です。
たとえば、環境性能割の税率が2%で課税標準額が270万円の車を購入した場合、5万4,000円の環境性能割を上乗せして支払う必要があります。
仮に実際に購入価格(税込)が330万円だったとすると、環境性能割を合わせた負担額は335万4,000円です。
自動車を購入した後も、その自動車を所有している間は以下の税金が課されます。
毎年4月1日時点において、自動車の所有者として自動車検査証(車検証)に登録されている人には、自動車税または軽自動車税の「種別割」が課されます。
ただし、購入代金の分割払いなどのために売主が自動車の所有権を留保している場合は、使用者として自動車検査証に登録されている人に種別割が課されます。
種別割の金額は、自動車の種別・用途・総排気量・最大積載量・乗車定員などによって決まります。
たとえば、2019年10月1日以後に初回新規登録をされた総排気量2リットル超2.5リットル以下の乗用車の場合、種別割は年額4万3,500円とされています。
自動車重量税は、自動車の重量などに応じて課される国税です。車検を受ける際などに自動車重量税を納付する必要があります。
自動車重量税の金額は、車両の総重量や環境性能によって決まります。*7
燃費基準を高いレベルで達成している車両については、自動車重量税が免除または軽減されます。
令和7年度の税制改正大綱では、自動車税の環境性能割に関して、以下の特例措置がいずれも2年間延長されました。*8*9
また、中小企業者がトラック(3.5トン以上)その他機械装置等を取得した場合の特別償却または法人税額等の税額控除の特例措置も2年間延長されました。
上記に加えて、自動車関係諸税の総合的な見直しが掲げられています。「2050年カーボンニュートラル」目標の実現に対して、積極的に貢献するような自動車関係諸税の整備が目指されています。
特に注目されているのは、環境性能割を含む車体課税の見直しです。環境性能割については、従来から消費税との二重課税であることなどを理由に、業界団体から廃止が要望されていました。*10
令和7年度の税制改正大綱では、車体課税の見直しに関する結論は示されていません。
しかし、負担軽減を含めて課税のあり方を見直すとともに、関係者の意見を聴取しつつ検討し、令和8年度税制改正において結論を得るものとされています。
自動車を維持するためには、税金以外にも以下のようなコストがかかります。
一般社団法人日本自動車工業会の調査*11*12によると、乗用車の平均月間維持費は1万2,100円で、2017年度以降上昇が継続しています。
月間維持費に含まれるのは燃料代・修理代・有料駐車場代・有料道路通行料等で、車両代・ローン返済・保険料・税金は含まれていません。
乗用車の維持費の負担感については、調査対象者全体のうち、約6割が「どちらかといえば大きい」または「大きい」と回答しています。
車を持っていると便利な場面が多々ある一方で、小さくない経済的な負担が生じます。利便性とコストを比較検討したうえで、車を持つべきかどうかを判断しましょう。
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
出典
*1 国税庁「消費税のしくみ」
*2 東京都主税局「自動車税環境性能割」
*3 東京都主税局「自動車税環境性能割 Q6」
*4 東京都主税局「自動車税種別割」
*5 渋谷区「軽自動車税(種別割)とは」
*6 国税庁「自動車重量税のあらまし」
*7 国土交通省「自動車重量税額について」
*8 国土交通省「令和7年度 物流・自動車局税制改正の概要」
*9 内閣府「令和7年度税制改正の大綱」
*10 一般社団法人日本自動車工業会「令和7年度 税制改正・予算に関する要望」
*11 一般社団法人日本自動車工業会「2023年度乗用車市場動向調査について」
*12 一般社団法人日本自動車工業会「2023年度乗用車市場動向調査」p18