銀行券は無期限に通用するため、旧紙幣もそのまま利用できます。
では、いざ旧紙幣から新紙幣に両替したいと思ったときには、どうしたらいいのでしょうか。
実は、その対応は金融機関によってまちまちです。
両替が難しい場合もありますし、両替可能でも、枚数によっては手数料が発生するケースもあります。
本記事では、旧紙幣から新紙幣への両替について、わかりやすく解説していきます。
紙幣(銀行券)は発行されると、法令に基づく特別な措置がとられない限り、通用力を失うことはありません。*1
そうした特別な措置は、今まで3回発動されたことがあり、これまでに日本銀行が発行した56種類の紙幣のうち31種類は通用力が失われました。
現在使える紙幣は25種類ですが、そのうち旧紙幣は以下の21種類と、平成12年(2000年)7月に発行された2,000円札です。*2, *3
これらのお金は新紙幣に交換しなくても、そのまま使えます。
図1 現在使える旧紙幣
出典)国立印刷所「お金に関するよくある質問>昔のお札をもっているのですが、今でも使えるものはありますか?」
では、旧紙幣を新紙幣に両替したいとき、どこで両替できるのでしょうか。
金融機関ごとにみていきましょう。
日本銀行は、両替や新紙幣への単純な交換には応じていません。*4
ただし、既に発行されなくなり流通に不便な銀行券は、日本銀行の本支店で、現在発行されている紙幣と引き換えることができます。*1
現在、発行されている紙幣は以下の紙幣ですから、この7種類以外の紙幣なら日本銀行で交換が可能ということになります。*5
図2 現在発行されている紙幣
参考)日本銀行「現在発行されている銀行券・貨幣」を筆者抜粋
ここで紛らわしいのは、福澤諭吉肖像の一万円札は2種類あり、このうち昭和59年(1984年)、あるいは平成5年(1993年)に発行が開始されたものは、平成19年(2007年)4月2日に発行停止になっていることです。*6
その一万円札は、平成16年(2004年)11月1日に発行開始された一万円札と一見、同じように見えますが、裏面が明らかに違いますので、注意しましょう。
<現在も発行されている福澤諭吉肖像の一万円札>
図3 現在も発行されている一万円札
出典)日本銀行「現在発行されている銀行券・貨幣」
<現在は発行されていない福澤諭吉肖像の一万円札>
図4 既に発行されていない一万円札
出典)日本銀行「一万円券 平成19(2007)年4月2日発行停止」
ただし、 現在発行されている紙幣であっても、汚染、損傷その他の理由により使うのが難しい場合には、紙幣の引換えをしてもらえます。*4
引換えを希望する場合には、あらかじめ電話などで予約することになっています。
日本銀行「引換受付サイト」*7
ゆうちょ銀行や郵便局では両替業務がありませんので、新紙幣を旧紙幣に両替してもらうことはできません。*8
ただし、 ゆうちょ銀行・郵便局の貯金窓口で払戻しや払渡しをする場合、あるいはその他の各種サービスで生じるおつりに対しては、金種を指定することが可能です。*9
その際、持ち帰る金種として新紙幣を指定することができます。
図5 窓口で金種を指定した払戻し・払渡しの料金シミュレーション
出典)ゆうちょ銀行「窓口で金種を指定した払戻し・払渡し時の料金シミュレーション」
そうしたサービスを受ける場合、旧紙幣の1万円以外は、合計枚数が50枚を超えると、合計枚数に応じて金種指定料金を支払わなければなりません。*9, *10
表1 金種指定料金
出典)ゆうちょ銀行「金種指定料金早見表」
また、預金の引き出しなどでゆうちょ銀行のATMを利用した際に、新紙幣が出てくる可能性もあります。
民間の銀行では旧紙幣を新紙幣に交換してもらうことができます。
ただし、その際に枚数に応じて手数料がかかります。
また、現在、発行していない紙幣を新紙幣に交換する際には、取り扱い紙幣の種類や手数料を確認する必要があります。
三菱UFJ銀行を例にみていきましょう。
三菱UFJ銀行では、窓口、あるいは両替機で旧紙幣を新紙幣に指定して両替することができます。*11
その際の手数料は、当行で口座をお持ちかどうかや、枚数によって以下のようになっています。
表2 三菱UFJ銀行の両替手数料
出典)三菱UFJ銀行「その他手数料」
三菱UFJ銀行は、2025年4月28 日から、「『旧券・旧貨』および『記念貨幣』の取扱手数料」を新設しました。*12
このサービスで、旧紙幣から新紙幣への交換の対象となるのは、日本銀行のウェブサイト「現在発行されていないが有効な銀行券・貨幣」のうち、昭和59年(1984年)以降に発行された紙幣を除いた、以下のものです。*12, *13
図6 三菱UFJ銀行「『旧券・旧貨』および『記念貨幣』の取扱手数料」の対象の「現在発行されていないが有効な紙幣」
参考)国立印刷所「お金に関するよくある質問>昔のお札をもっているのですが、今でも使えるものはありますか?」から筆者抜粋
このサービスを利用すれば、現在、流通していない旧紙幣を新紙幣に交換することができます。
手数料は税込で、以下のようになっています。*12
旧紙幣は今でも法的に有効なものが多く、基本的にそのまま使うことができます。
ただ、新紙幣に両替したい場合もあるでしょう。
そうした場合、両替の可否や手数料の有無が金融機関ごとに異なるため、注意が必要です。
無駄足を防ぐためにも、事前に金融機関の対応を確認しておきましょう。
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
出典
*1 日本銀行「これまでに発行されたお札のうち、現在使えるお札はどれですか? 古いお札を持っていますが、現在も使えますか?」
*2 日本銀行「現在有効な銀行券」p.1
*3 国立印刷所「お金に関するよくある質問>昔のお札をもっているのですが、今でも使えるものはありますか?」
*4 日本銀行「新券発行開始後の引換えに関する留意事項について」
*5 日本銀行「現在発行されている銀行券・貨幣」
*6 日本銀行「一万円券 平成19(2007)年4月2日発行停止」
*7 日本銀行「引換受付サイト」
*8 郵便局「銀行サービス一覧」
*9 ゆうちょ銀行「窓口で金種を指定した払戻し・払渡し時の料金シミュレーション」
*10 ゆうちょ銀行「金種指定料金早見表」
*11 三菱UFJ銀行「その他手数料」
*12 三菱UFJ銀行「旧券・旧貨・記念貨取扱手数料新設のお知らせ」pp.1-2
*13 日本銀行「その他有効な銀行券・貨幣>現在発行されていないが有効な銀行券」