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電気自動車補助金の最新動向:CEV導入で活用したい2025年の制度概要
電気自動車補助金の最新動向:CEV導入で活用したい2025年の制度概要

電気自動車補助金の最新動向:CEV導入で活用したい2025年の制度概要

2025/04/20に公開
提供元:Money Canvas

CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助)とは、環境性能に優れた電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)などを購入する際に、その費用の一部を国が補助する制度です。

EVなど次世代自動車の導入コストを軽減し普及を後押しすることで、温室効果ガス排出量の削減に貢献することが目的とされています。

本記事では、公的機関のデータや発表に基づき、最新の補助金情報や申請方法、注意点についてくわしく解説します。


電気自動車補助金とは?

最初に、そもそも「CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助)」とは何かを具体的に解説します。


概要

CEV補助金とは、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)などのクリーンエネルギー自動車を新規購入する際に交付される国の補助金制度となっています。*1
従来のガソリン車に比べ車両価格が高価な次世代自動車の購入費用の一部を国が支援し、普及を加速させることで温室効果ガス削減につなげる狙いがあります。
補助金の執行団体は一般社団法人次世代自動車振興センター(NEV)で、経済産業省や環境省の予算によって実施されています。*2


CEV補助金の上限

補助金額は車種や性能に応じて算定されますが、交付額の上限(最大額)が設定されています。
2025年度CEV補助金の上限額は、電気自動車(EV)で85万円、軽自動車のEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)で55万円、燃料電池自動車(FCV)で255万円です。
この上限額は前年度から据え置かれており、2025年度も同水準が維持される見込みです。
ただし補助額の算定にあたっては、車載電池の安全性確保や重要鉱物の調達といった評価項目が追加され、環境負荷の低い鋼材(グリーンスチール)を車体製造に導入するメーカーには最大5万円の加算措置が設けられる予定です。*3

実際の補助額は車種ごとの評価点により決定されますが、上記上限を超えて交付されることはありません。


CEV補助金の開始時期

CEV補助金は国の年度予算に基づき実施され、毎年新年度の開始に合わせて内容が更新されます。
2025年度分の補助対象となるのは、2025年4月1日以降に新車新規登録(新車新規検査届出)された車両です。*3
補助金の申請受付は2025年5月頃から申請受付開始となる見込みです。*4


CEV補助金の背景

日本政府は2050年までにカーボンニュートラル(実質的な温室効果ガス排出ゼロ)を実現する目標を掲げており、その実現に向けて運輸部門の脱炭素化を積極的に推進しています。

日本のCO2排出量の約2割は運輸部門から排出され、その約9割を自動車が占めているため、自動車の電動化(EVシフト)とクリーンエネルギー車の普及拡大が温室効果ガス削減の鍵となります。*1

政府は「2035年までに新車販売で電動車100%を実現」する方針も打ち出しており、EVやFCVへの転換(GX=グリーントランスフォーメーション)のための支援策の一つとして購入補助金制度を拡充・継続しています。
実際、2024年度補正予算ではCEV補助金(車両および充放電設備)に約1,100億円もの予算が計上されており、政府がEVをはじめとする次世代車の普及促進に注力していることが窺えます。*4

こうした政策の下、CEV補助金は導入初期段階にあるクリーンエネルギー自動車の需要喚起やメーカーの設備投資の後押しをする役割を担っており、脱炭素社会の実現と日本の自動車産業の競争力強化に寄与することが期待されています。


CEV補助金の交付条件

CEV補助金を受けるには、補助対象者および補助対象車両が一定の条件を満たす必要があります。
主な交付条件は次のとおりです。


対象車である

補助金の対象となるのはクリーンエネルギー自動車に該当する新車です。
具体的には、以下のような車種が対象となります。


  • EV(電気自動車) – バッテリーのみで走行する電気自動車
  • 軽EV(軽自動車の電気自動車) – 軽自動車規格の小型EV
  • PHEV(プラグインハイブリッド車) – 外部充電可能なハイブリッド自動車
  • FCV(燃料電池自動車) – 水素で発電しモーターで走行する燃料電池車
  • 超小型モビリティ – 超小型の1~2人乗り電動モビリティ車 *5

一方で、クリーンディーゼル車やハイブリッド車(HEV)といった上記に当てはまらない車種は補助の対象外です。

また、事業用用途の車両(営業ナンバーのタクシー車両など)も補助対象に含まれません。


一定期間内に購入した新車である

国のCEV補助金は新車の購入を対象とした制度であり、中古車は補助対象になりません。
年度ごとに補助対象となる新車の登録期間が定められており、2025年度分の場合は2025年4月1日以降に初度登録された新車だけが補助金の申請対象となります。*3

たとえば、2025年3月までに登録を済ませた車両や、一度登録された後未使用のまま流通している「登録済未使用車」(新古車)も、国のCEV補助金については対象外となるので注意してください。

補助金を利用するには必ず新品のクリーンエネルギー車を購入し、定められた期間内に新規登録を完了する必要があります。


購入した新車を一定期間所有し続ける

補助金の交付を受けた車両には、一定期間の保有義務が課されます。取得した車両は登録日から少なくとも3年間(場合によっては4年間)は継続して所有しなければなりません。
この処分制限期間内に、次世代自動車振興センターの承認を得ずに車両を売却・譲渡したことが判明した場合、交付された補助金を全額または一部返還しなければならなくなります。*6

NEVでは補助金を交付した車両について定期的に保有状況を調査しており、無断で手放した場合は発覚する仕組みです。
どうしても処分が必要になった際は事前に「財産処分承認申請書」を提出し承認を受ける必要があり、承認された場合でも補助金相当額の返納が条件となります。したがって、短期間での乗り換えを予定している場合は、補助金の申請を見送ったほうが良いでしょう。


CEV補助金の申請方法

国のCEV補助金は、所定の手続きを踏むことで申請し受け取ることができます。
ここでは、補助金申請から交付までの基本的な流れを順に解説します。


必要書類を準備する

まず、補助金の交付申請に必要な書類を揃えます。
主な必要書類は以下のとおりです。


  • 交付申請書(補助金交付申請書兼実績報告書)
  • 申請者の本人確認書類(写し)
  • 申請車両の確認書類(写し)
  • 車両代金の支払い証明書類(写し)
  • 購入車両の注文書類(写し)
  • 振込先口座の確認書類(写し) 等 *7

書類の提出・審査

必要書類が準備できたら、NEVに交付申請書類一式を提出します。申請方法はオンライン(Webシステム)または郵送(紙申請)のいずれかで、窓口への持ち込み提出はできません。

問題なく審査を通過すれば、交付額が確定して「補助金交付決定通知書」(兼補助金額確定通知)が申請者に交付されます。
なお、補助金は車両購入後に事後申請して受け取る仕組みであるため、申請時点で車両代金の全額支払いが完了していることが必要です。*2


V2Hの設置・支払い

電気自動車と家庭用のV2H(Vehicle to Home)充放電設備を導入する場合は、それぞれ補助申請が可能です。
補助額の上限はおおむね45万円前後が上限額の目安です。*4
いずれも自己資金で全額支払い、その後補助金として一定額が払い戻される形になります。


実施報告

V2H設備の設置と支払いが完了したら、30日以内にオンラインで実績報告を行います。報告には工事完了書類や支払い証明書を添付し、NEVの審査を受けて補助金額が確定されます。


補助金を受け取る

交付決定後、確定した補助金が支払われます。電気自動車の補助金は通知書発行後約1週間で申請者の口座に振り込まれます。V2H設備の補助金は実績報告の審査完了後、2~3ヵ月後に申請者の口座に振り込まれます。*4


CEV補助金を申請する際の注意点

最後に、CEV補助金を利用するうえで知っておきたい注意点をまとめます。


交付条件や金額は都度変わる

CEV補助金の内容(交付条件や金額、制度設計)は毎年度見直し・変更される可能性があります。
実際、2024年度から補助金制度の大幅な見直しが行われ、車両の環境性能だけでなくメーカーの取組状況なども評価して補助額を決定する新しい仕組みに移行しました。
2025年度もこの枠組みを踏襲しつつ一部評価項目の追加(前述の電池の安全性やグリーンスチールなど)がおこなわれる予定です。*1

したがって、補助金を活用する際は毎年度最新の公式情報を必ず確認し、その年の要件に合わせた対応が必要です。
また、補助金の申請受付期間や期限も年度ごとに異なります。予算枠に達した場合などには、当初の予定より受付締切が早まるケースもあります。


中古車は対象にならない

繰り返しになりますが、中古車や登録済未使用車は国のCEV補助金の対象外です。
CEV補助金はあくまで新車の導入を支援する制度であり、一度でもナンバー登録された車両(中古車・新古車)は補助金申請できません。

これは事業用車両についても同様で、たとえば営業用タクシー車両などは補助対象外と明記されています。
補助金の趣旨が新規にクリーンエネルギー車を普及させることにあるため、中古市場で流通している車の購入には適用されない点に注意してください。

自治体によっては独自に中古EVを対象とした支援策を設けている場合もありますが、国のCEV補助金には中古車への適用はありません。


交付条件を破ると全額返還しないといけない

補助金を受け取ったあとは、交付条件を確実にまもる必要があります。保有義務期間内に無断で車両を処分(売却・譲渡)したような場合には、補助金の返還を求められることになります。*6

万が一、短期間で車を手放す可能性がある場合、補助金を受けるメリットが失われるどころか返還の手間が生じるため、最初から申請しない判断も必要でしょう。


CEV補助金を活用すれば電気自動車がお得に購入できる

CEV補助金は、日本政府のカーボンニュートラル政策のもとでEVやPHEV、FCVといったクリーンエネルギー車の普及を促進する重要な制度です。
2025年度もEVで最大85万円など手厚い補助が用意されており、適用条件を満たす新車であればぜひ活用したいところです。

補助金を受けるには、対象車種の新車を購入して期間内に申請し、一定期間の保有義務をまもることなどが求められます。
申請には多くの書類準備や手続きが必要ですが、販売店(ディーラー)からサポートを受けることも可能です。
国の補助金に加えて自治体独自の補助制度と併用できる場合もあり、条件が揃えば購入費用を大幅に軽減することもできます。

常に最新の制度情報を確認しつつ、適切にCEV補助金を活用して、環境にも家計にも優しい電気自動車ライフを始めてみてはいかがでしょうか。



本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。

出典
*1 ツギノジダイ「CEV補助金とは 2025年度に評価項目を追加 グリーンスチール加算も」
*2 カーネクスト「電気自動車の補助金はどれくらい?申請方法は?」
*3 一般社団法人日本自動車会議所「経産省、2025年度「CEV補助金」の概要決定 新たに「電池の安全性」など 上限額は変更なし」
*4 エコ発電本舗「2025年(令和7年) CEV補助金、V2Hと電気自動車の補助金を解説!最新情報」
*5 レディバグ「【2024年版】CEV補助金とは?いつもらえるの? 新しくなった補助金額の算出方法や申請方法など詳しくご紹介!」
*6 八十二銀行「【自動車の補助金】対象車や補助金額、申請の流れを詳しく解説」
*7 ちば興銀「CEVやEVなどの自動車購入時に使える補助金【2024年最新版】」

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