
寒い冬場の光熱費高騰を受け、政府は、2026年1月から3月にかけて、電気・ガス料金の負担軽減策(補助金)を実施することを決定しました。
これにより、2026年の冬の光熱費負担が緩和される見通しです。
しかし、「実際にどれくらい安くなるのか」「手続きは必要なのか」といった疑問や、「知らないうちに損をしていないか」という不安を持つ方もいるかもしれません。
本記事では、2026年冬の補助金制度の仕組みや具体的な値引き額、受け取り方法について詳しく解説します。
また、契約切り替え時の注意点や、将来的な見通しについても触れていきます。
電気代・ガス代の補助金とは、 国の財政支援によって電気料金・ガス料金を割り引くことで家計や企業の光熱費負担を直接軽減する制度です。*1
エネルギー価格の高騰によって電気代・ガス代が大幅に上昇したことを受け、物価高対策の一環として創設されました。
補助対象に所得制限はなく、一般家庭から事業者まで幅広く支援対象となっている点も特徴です。*2
これまでも2023年から2024年にかけて断続的に実施されてきましたが、今回の措置は暖房需要が高まる「2026年の冬(1月〜3月使用分)」に的を絞った緊急支援という位置づけになります。
政府は2025年11月に閣議決定した総合経済対策に基づき、厳冬期にあたる2026年1月〜3月の使用分に対して支援を行います。
ここで注意したいのは、「使用月」と「請求月」のズレです。
一般的に1月の使用分は2月の請求書に反映されます。したがって、私たちが実際に値下げを実感できるのは、多くの場合2026年2月の支払い分からとなります。
ここでは電気代とガス代、それぞれの補助金について詳しく見ていきましょう。
電気料金への支援は、 使用した電力量(kWh)に応じて単価が決まる従量制の補助です。
一般家庭向けの「低圧契約」と、企業向けの「高圧契約」で単価が異なります。
電気代については、使用量に応じて1kWhあたり以下の金額が補助され、毎月の電気代から自動的に値引きされます。*1
たとえば、1月に400kWhの電気を使用した家庭の場合、その月の電気代から1,800円(400kWh × 4.5円)が自動的に差し引かれます。
一般家庭だけでなく、一定の条件を満たす事業者(高圧契約)も対象となる点が特徴です。高圧契約の場合は、1・2月が2.3円/kWh、3月が0.8円/kWhの補助となります。
3月使用分については、春先に向けて暖房需要が減少することを見込み、補助単価が1月・2月の3分の1に縮小されます。
「3月も同じくらい安くなるはず」と思って使いすぎないよう、補助額が減るタイミングには注意が必要です。*1
ガス代についても同様に、使用量に応じた単価補助が行われ、ガス代から直接差し引かれます。
ただし、 今回の支援は主に「都市ガス」が対象となっている点に留意してください。
都市ガスを中心に支援が行われ、冬場の暖房需要による負担軽減が目的とされています。*1
標準的な家庭で月に30㎥のガスを使用した場合、1月・2月はそれぞれ540円(30㎥ × 18.0円)の値引きとなります。
ガスファンヒーターや床暖房を使用する家庭ではガス代が跳ね上がりやすいため、この支援は家計にとって心強い存在となるでしょう。
一方で、地方などで多く利用されているプロパンガス(LPガス)については、本制度の直接的な補助対象外です。
ただし、政府はLPガス利用者を見捨てているわけではありません。
各自治体に対して交付金を配分し、地域ごとの実情に合わせた支援策を実施するよう促しています。*1
電気代・ガス代への補助金が導入された背景には、ここ数年のエネルギー価格高騰があります。
ロシアのウクライナ侵攻にともなう世界的な燃料価格の上昇や円安の進行により、日本が輸入するLNG(液化天然ガス)や石油などの価格が急騰しました。
その結果、電気代・ガス代は大幅な値上がりとなり、家庭や中小企業の経済負担が深刻化したのです。*3
政府は 物価高から暮らしと事業をまもる「生活の安全保障」の観点から、エネルギー分野の緊急支援策に踏み切りました。
実際、2023年以降に電気代・ガス代の激変緩和措置が段階的に実施されており、2025年夏にも一時的な補助が行われています。
その延長線上にあるのが、今回の2026年冬の電気代・ガス代支援策という位置付けです。
エネルギー価格の高騰や為替動向による国民生活への影響を緩和するべく、期間と補助額を限定したうえで実施されています。
電気代・ガス代の補助金は 原則として申請不要で、自動的に各利用者の料金明細に反映されます。*2
対象となる電力会社・ガス会社と契約していれば、2026年1月〜3月分の料金請求時に「〇〇円値引き」などの形で補助金適用額が差し引かれる仕組みです。
利用者は特別な手続きをすることなく、いつも通りの支払い方法で割引後の料金を支払うだけで補助を受けられます。
受け取りにあたって 注意したいのは、不正な勧誘や詐欺です。
補助金は自動適用であるため、以下のような連絡が来た場合は詐欺だと断定してください。*4
実際に個人情報や手数料の提供を求める不審な電話も報告されています。
こうした連絡には応じず、絶対に個人情報を教えないようにしましょう。
また、電力・ガスの契約を途中で乗り換える場合にも注意が必要です。
補助金による値引きは事業者(電力会社・ガス会社)ごとに実施されており、適用期間が各社で若干異なる可能性があります。
そのため、補助実施期間中に他社へ契約を切り替えると、切り替え後の新しい契約では適用期間が短くなり、一部の値引き対象期間が減ってしまうケースがあります。
補助金適用中の乗り換えは慎重に検討しましょう。*5
2026年4月以降の補助金継続については、エネルギー価格の動向や政府の経済対策次第となります。
現時点(2025年12月)では、 政府から4月以降の継続に関する正式な発表はありません。*6
今回の措置はあくまで「冬場の暖房需要期」に限定した緊急対応であり、基本的には3月で一旦終了する公算が大きいでしょう。
しかし、もし中東情勢の悪化などで原油価格が再び高騰したり、円安がさらに進行して国民生活が困窮したりする事態になれば、政府は追加の支援策を検討せざるを得ません。
実際、過去にも「終了予定」と言われながら、経済状況に鑑みて延長が繰り返された経緯があります。*7
現時点での方針や、過去の制度延長の傾向を踏まえ、今後の見通しを整理すると、必ずしも「4月で完全に終わり」とは言い切れませんが、長期的な継続には慎重論もあります。
それは、日本がめざす「2050年カーボンニュートラル(脱炭素社会)」との整合性です。化石燃料由来の電気やガスを補助金で安くし続けることは、省エネや再生可能エネルギーへの移行を遅らせる副作用があるためです。*7
政府内では「脱炭素成長型経済構造への移行(GX)」を推進するため、今後は一律の補助金ではなく、省エネ家電への買い替え支援や断熱リフォーム補助など、構造的な対策へ予算をシフトしていく動きも見られます。
したがって、4月以降も漫然と補助金が続くと期待するのではなく、「補助金はいずれなくなるもの」と捉え、今のうちから自宅の省エネ化を進めるなどの自衛策を講じておくのが賢明でしょう。
2026年冬の電気代・ガス代の補助金について、その仕組みや注意点をまとめました。
あらためて重要なポイントを確認しておきましょう。
寒さの厳しい冬場は電気代・ガス代がかさみがちですが、今回の支援策を正しく理解し活用することで、家計へのダメージを軽減できます。
補助金の仕組みや条件を知っておくことで「知らないと損」を防ぎ、賢く冬の光熱費を乗り切りましょう。
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
出典
*1 経済産業省 資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について」
*2 寺田税理士事務所「【2026年1~3月】電気・ガス補助約7,000円|全世帯が対象?いつ・どうやって受け取る?」
*3 楽天エナジー「電気代の補助金が2025年1月に復活!利用方法や値引き額のシミュレーションを紹介」
*4 経済産業省 資源エネルギー庁「電気・都市ガスをご利用するみなさまへ」
*5 東京電力エナジーパートナー「国による電気・ガス料金支援について」
*6 エネチェンジ「【2026年】電気代・ガス代の補助金の最新情報|2026年1月から光熱費補助が再開」
*7 朝日新聞「電気・ガス料金補助、2026年1~3月に家庭なら約7000円の負担減へ」
