あなたはまぶたの一部が赤く腫れて痛痒い、あるいは目がゴロゴロするといった経験はありませんか? いわゆる「ものもらい」(地域によって「めばちこ」「めいぼ」とも言う)は、犬にもできるものです。そのほかにも、目やまぶたに現れるできものもあります。併せてチェックしておきましょう。
まぶたの縁には「マイボーム腺」という腺の開口部である小さな穴が一列に開いていて、ここから分泌される脂分が涙と混じり合うことで目の乾燥を防いでいます。
その皮脂腺が細菌により炎症を起こし、赤く軟らかいイボを生じたものが、人間の「ものもらい」「めばちこ」「めいぼ」にあたるものです。
原因の多くは、皮膚に常在している細菌の異常繁殖です。
ものもらいの「もらう」という言葉から、ほかの犬にも移りそうなイメージがありますが、この菌は常在菌なので、ほかの犬に移って病気を引き起こす心配はほぼないと考えられています。
また、「マイボーム腺」が何らかの原因で詰まると、本来外に出ていくはずの脂分が溜まって、まぶたの中でイボのような塊になってしまい、周辺に炎症を起こすことがあります。
まぶたにポツンとできるイボのような腫瘍です。
腫瘍と聞くと「悪性?」と驚いてしまうかもしれませんが、犬のまぶたでは良性の腫瘍がほとんどなので、小さければ転移することはほとんどありません。
多くは単発でできるのですが、中にはまぶたに2つ、3つとできることも。
まぶたの内側にできた腫瘍や大きなものは、角膜に当たって傷つけてしまうので、切除が必要になります。
犬の目やまぶたにできものがある状態に加えて、以下の症状が見られる場合は、病気の恐れがあるので病院で診てもらいましょう。
マイボーム腺の疾患が考えられます。そのほか、ダニがついていることもあります。
角膜が常に刺激されている状態が考えられます。角膜炎の原因にもなるので、早い処置が必要です。
良性腫瘍が考えられます。
良性腫瘍であったとしても、まぶたの幅の3分の1を超えたら難しい手術になり、最悪、まぶたを温存できず眼球を取らなければならない可能性が出てきます。
まぶたのイボを取るだけなのに、眼球を摘出しないといけなくなり、非常に心を痛めてしまう飼い主もいます。
イボのようなものの大きさが、まぶたの幅の3分の1以上になる前に病院に行き、治療を受けましょう。
犬のマイボーム腺炎(せんえん)とは、涙液の油分を分泌するマイボーム腺が細菌感染したり詰まったりすることで、炎症が起きる病気です。
ブドウ球菌などに感染して目が腫れ、イボができる「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と導管の閉塞で分泌物が溜まってまぶたの裏側に氷のあられ粒のような白いしこりができる「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」があります。
犬のマイボーム腺腫(せんしゅ)とは、涙液の油分を分泌するマイボーム腺に腫瘍ができる病気です。
腫瘍は良性ですが、手術で表面だけを切除し,根っこを取り残すと再発しやすくなります。
また、切除せずにそのままにして放置すると、さらに大きくなり角膜を傷つけ、結膜炎や角膜炎になる恐れがあります。
小さなうちに適切な手術を行えば、再発することはありません。
犬の皮膚乳頭腫(ひふにゅうとうしゅ)とは、皮膚に乳頭のようなイボができる病気です。
若い犬や抵抗力の落ちた犬の場合、イヌパピローマウイルスの感染が原因と言われています。
多くは良性で自然消失することもありますが、目に当たって刺激をする場合は、手術で切除する必要があります。
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