地球温暖化による気候変動が懸念されるなか、世界各国の政府や企業が脱炭素社会に向けた取り組みを活発化させています。
航空業界でも二酸化炭素(CO2)の削減は重要課題となっていて、国際民間航空機関(ICAO)では2050年までに国際線の航空機が排出するCO2を実質ゼロとする目標を掲げています。
そこで関心が高まっているのが、バイオ航空燃料です。
バイオ航空燃料は、SAF(Sustainable Aviation Fuel、持続可能な航空燃料)とも呼ばれています。
原料となる一般ごみや廃食用油などの回収から製造、利用までの一連のサイクルにおいて従来の化石燃料よりもCO2排出量を大幅に削減することができ、航空業界の脱炭素化を実現するものとして大きな期待が寄せられているのです。
政府は国際競争力のある国産SAFの開発・製造を推進するため、SAF供給側の事業者と利用側の航空会社との連携を後押ししています。
現状ではSAFの供給量は少なく、製造コストなどの課題もありますが、国産SAFの普及に向けてさまざまな企業が動き出しています。
ミドリムシ製品の開発・販売を手掛けるユーグレナ<2931>は、自社開発したSAFを使った国際線フライトを2022年秋に実施。同社のSAFは政府専用機の燃料として使用された実績もあります。
同年11月にはプラント大手の日揮ホールディングス<1963>とコスモエネルギーホールディングス<5021>傘下のコスモ石油が、国産SAFの大規模生産を行う新会社「SAFFAIRE SKY ENERGY(サファイア・スカイ・エナジー)」を設立しました。
バイオマス原料の製品開発を手掛けるGreen Earth Institute<9212>は環境省が公募したバイオジェット燃料開発事業の実施者に選ばれており、取り組みを進めているようです。
「バイオ航空燃料」は、トウモロコシ、大豆、藻類、ミドリムシなどの植物などを原料として、様々なバイオ技術を駆使して生成した航空燃料のことです。
民間航空業界では、有力な代替燃料として、バイオ航空燃料に期待を寄せています。
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