いまや観光産業だけではなく、日本経済を語るうえで欠かせないキーワードとなっている「インバウンド」。
本来は「内向き、中に入ってくること」という意味ですが、観光業界の用語としては「訪日外国人」のことを指します。
政府の観光立国に向けた政策を背景に近年急速に増加し、年間の訪日客数は2013年に1,000万人を突破、2019年には過去最高となる3,188万人に拡大しました。
旅行客が家電製品などを大量に購入する「爆買い」が話題となるなど、大きな盛り上がりをみせました。
ところが2020年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大で状況は一変しました。
世界中で旅行控えが発生し、インバウンド需要は大きく落ち込みました。
政府は2022年9月に1日の入国者数の上限を2万人から5万人に引き上げましたが、この上限を10月11日に撤廃することを発表しました。
その後、2023年2月には月間訪日外客数は対前年比9倍以上、2023年9月には対2019年比マイナス4%とコロナ前の水準まで回復しました。
加えて、最近の円安も追い風に働くことが期待されます。
海外からみれば、自国通貨に対して日本円の価値が下がると、両替した時により多くの円を手に入れられます。
その分、日本で多くの買い物や食事ができるようになります。
株式市場では、三越伊勢丹ホールディングス<3099>や、高島屋<8233>などの百貨店株、資生堂<4911>をはじめとする化粧品株のほか、ビックカメラ<3048>やマツキヨココカラ&カンパニー<3088>、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>といった家電や日用品を手掛ける銘柄がインバウンド関連株として挙げられます。
インバウンドとはいわゆる訪日外国人観光客のことです。彼らによる日本国内での消費活動をインバウンド消費といい、ここ数年、高額商品の売れ行きだけではなく、日用品やレジャー関連需要など幅広い消費分野で、インバウンド消費が話題になっています。
数年前は、中国人訪日客によるいわゆる「爆買い」が消費を活性化させ、百貨店株をはじめとする関連株も動意しました。
しかし、ここにきて爆買いも一巡し、インバウンド消費は爆買いから体験型のコト消費へと変化し始めており、新たな関連銘柄も続々と誕生するようになっています。また、新型コロナウイルスの感染拡大で最もダメージを受けた分野だけに、回復への期待も高いです。
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