子どもが幼稚園、小学校に入って大学を卒業するまで、親は長い期間に渡って教育費を払い続けることになります。
教育費は進学先が公立か私立かによって大きく異なるのはもちろんですが、学年によっても変化があります。
今回は、文部科学省の統計などをもとに、どれくらいのお金がかかるのかを確認していきましょう。
ライフプランを立てる上で避けられない教育費を考える際の、参考にしてください。
まず、「教育費」を考える場合、様々な種類の出費があることを知っておきましょう。
ひとくちに教育費といっても多岐にわたります。学校納付金だけでなく修学旅行や図書・学用品・実習材料費などそれ以外の出費も発生するのです。交通費も必要になっていきます。
たとえば、小学校の場合、年間の教育費は以下のような内訳になっています(図1)。
公立小学校
私立小学校
図1 小学校でかかる年間学校教育費の内訳
(出所:「平成30年度子どもの学費調査」文部科学省)
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf p.9
塾に行かせたり習い事をさせたりする場合は、もちろん上記の「学校教育費」とは別に計算しなければなりません。
ここでは、教育費の具体的な数字をご紹介していきます。
では、幼稚園・小学校での学校教育費をみてみましょう。
まず幼稚園にかかる年間総額です(図2)。
グラフの柄分けは、下から順に「学校教育費」「学校給食費」、塾や習い事などの「学校外活動費」となっています。
図2 幼稚園生にかかる年間教育費
(出所:「平成30年度子どもの学費調査」文部科学省)
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf p.2
平成30年度の調査では、公立幼稚園で年間総額22.4万円、私立で年間総額52.8万円となっています。この段階では、学校教育費の割合が大きくなっています。
そして小学校になると、公立・私立の差は大きくなります(図3)。
図3 小学生にかかる教育費
(出所:「平成30年度子どもの学費調査」文部科学省)
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf p.2
公立小学校の場合は年間総額32.1万円、私立小学校の場合は年間総額159.9万円です。ここでは、公立・私立で特徴も大きく異なっています。
また、公立の小学校に通うと塾や習い事などの「学校外活動費」の割合が大きく、私立小学校では学校外活動費の割合は公立より低くなっていることがわかります。
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次に、中学校・高校でかかる教育費をみていきましょう。
まず、中学校です(図4)。グラフの柄分けは、下から順に「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費」となっています。
図4 中学生にかかる教育費
(出所:「平成30年度子どもの学費調査」文部科学省)
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf p.3
公立中学校に通っている間にかかる教育費は年間総額48.8万円、私立の場合は年間総額140.6万円です。
そして私立中学校の教育費をみると、私立小学校に比べて学校外活動費の割合が下がっていることがわかります。この傾向は、高校まで続きます(図5)。
図5 高校生にかかる教育費
(出所:「平成30年度子どもの学費調査」文部科学省)
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf p.3
そして、ここまでの教育費を学年(年齢)別にみていくと下のようになります(図6)。
図6 学年(年齢)ごとの教育費
(出所:「平成30年度子どもの学費調査」文部科学省)
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf p.5
私立では小学校の1年目、公立では中学校の3年目が最も多くなっているという結果です。
なお、学習塾に通わせている場合、教育費に占める学習塾への支出の割合分布はこのようになっています(図7)。
図7 学習塾費の分布
(出所:「平成30年度子どもの学費調査」文部科学省)
https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_03.pdf p.17
なお、金額ベースで詳細をみると年間で学習塾費に支出した平均金額は、
そして、大学に入ると教育費の事情が大きく異なります。地元を出た地域の大学に進むと、仕送りが発生するからです。
まず、仕送りの金額をみていきましょう。
大学生協の調査によると、下宿生の仕送り額の推移はこのようになっています(図8)。
図8 下宿生の仕送り金額分布
(出所:「第 57 回学生生活実態調査 概要報告」全国大学生協協同組合連合会)
https://www.univcoop.or.jp/press/life/pdf/pdf_report57.pdf p.4
2010年以降では、「5~10万円」という層が最も多くなっています。
そして、ここに加えて大学に支払う費用が発生します。概ね以下のような金額です(図9)。
図9 大学でかかる学費
(出所:私立大学の学費は4年間で300万円超え……奨学金で補う前に知っておきたいこととは」三菱UFJ銀行)
https://www.bk.mufg.jp/column/events/child/0005.html
さて、海外の大学に留学するとなった場合、どのような費用がかかるでしょうか。
欧米の場合、年間にこのような費用がかかります(図10)。
図10 年間の留学コストの例
(出所:「留学費用の準備」京都大学)
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/education-campus/student-3/reserve/cost
また、海外の場合、留学ビザではアルバイトは認められていないことが多く、禁止されているにも関わらずアルバイトの事実が分かると、強制送還されたり、将来その国を訪れることができなくなる恐れがあります*2。
そうならないためにも、十分な費用を準備しておく必要があります。
この場合は国内の関係機関や、留学先の関係機関が奨学金の給付や貸与を行っていますので、それらの活用も合わせて検討するのも良いでしょう。
子どもの進学は、親の人生にとっても大きな節目です(図11)。
図11 生活設計の節目
(出所:「NISA特設ウェブサイト 有識者コラム」金融庁)
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/column/column-01.html
人生の中でも大きなお金を必要とする出来事ですし、親には親のその先の人生がありますから、教育費はあらかじめ備えをしておきたいものです。
投資などによる早期からの計画的な資産形成も、その一助となることでしょう。
*1「平成30年度子どもの学費調査」文部科学省 p.17
*2「留学費用の準備」京都大学