生活費をどのような内訳で使用しているか、他の地域とどのくらい差があるか比較したことはあるでしょうか。
たとえば光熱費を例にすると、寒さが厳しい時期の北海道と東京都では使用頻度により違いがあるなど、地域によって差があります。
本記事では、住んでいる地域によって生活費はどのくらい違いがあるのか解説します。
自分が住んでいる地域と比較しながら、生活費の使い方について参考にしてください。
地域別の消費者物価地域差指数を比較して生活費の違いをみていきます。
消費者物価地域差指数とは、世帯が購入する各種の財およびサービスの価格を総合した物価水準の地域間の差を指数値で表したものです。*1。
具体的な例をみてみましょう。
総務省が作成した都道府県別の「消費者物価地域差指数」を参照すると、消費者物価地域差指数(全国平均=100)の平均が最も高いのは東京都(104.7)となりました。全国平均=100を超えているため、東京都の物価水準は全国平均より高いといえます。次に多いのは神奈川県(103.1)です。
一方、全国で最も物価水準が低いのは宮崎県(96.1)で、5年連続となりました。物価水準が最も高い東京都は宮崎県の1.09倍で、2021年と同じ割合です。*2
宮崎県の次に低いのは群馬県(96.2)で、宮崎県と群馬県は2013年からここ10年ほどは、どちらかが全国で最も低い物価水準となっています。*3
1ヵ月間における地域別の消費支出もみていきましょう。
下図は総務省統計局が実施した「家計調査」を参考にして作成した「1世帯あたり1ヵ月間の消費支出」の表です。
【地域別】1世帯あたり1ヵ月間の消費支出
エリア | 1ヵ月間の消費支出(単位:円) |
---|---|
北海道 | 232,409 |
東北 | 230,889 |
関東 | 260,686 |
北陸 | 259,170 |
東海 | 244,800 |
近畿 | 248,818 |
中国 | 229,463 |
四国 | 233,490 |
九州 | 230,163 |
沖縄 | 196,053 |
図1)参考:総務省統計局「家計調査」表番号2 都市階級・地方・都道府県庁所在市別 総世帯・勤労者世帯・勤労者世帯以外の世帯 EXCEL閲覧DBの【消費支出】を参考に筆者作成
参照すると、1ヵ月間の消費支出で最も高いのは関東の260,686円で、最も低いのは沖縄の196,053円でした。その差は64,633円で、年間にすると約78万円となります。
沖縄の次に低いのは中国地方の229,463円、九州の230,163円が続いています。
このように1ヵ月間の消費支出には違いがあるため、住む場所により年間支出に差が出てきます。
下図は総務省の消費者物価地域差指数を基にしてまとめた、1ヵ月あたりの生活費のランキング表です。
【都道府県別の生活費ランキング 1位~11位】
順位 | 都道府県 | 消費者物価地域差指数 |
---|---|---|
1 | 東京都 | 104.7 |
2 | 神奈川県 | 103.1 |
3 | 北海道 | 101.1 |
4 | 千葉県 | 101 |
5 | 京都府 | 100.9 |
6 | 山形県 | 100.7 |
7 | 埼玉県 | 100.5 |
8 | 山口県 | 99.9 |
9 | 滋賀県 | 99.6 |
9 | 島根県 | 99.6 |
11 | 宮城県 | 99.5 |
出典:総務省「消費者物価地域差指数」 P10
消費者物価地域差指数が全国で最も高かったのは東京都(104.7)で、2位は神奈川県(103.1)、3位は北海道(101.1)となりました。これらの地域では、物価水準が平均以上であるため、生活費が高くなる傾向です。
一方、消費者物価地域差指数が全国で最も低かったのは宮崎県(96.1)で、2番目に低いのは群馬県(96.2)、3番目は鹿児島県(96.6)という結果になりました。したがって、宮崎県、群馬県、鹿児島県は、全国平均より生活費が低い傾向です。
ここでは、各地域の生活費に見られる特徴ついて解説します。
総務省がまとめた都道府県別の「全国平均(100)との差(総合)に対する10大費目別寄与度」を参照すると住居費で最も高いのは東京都で、平均と比較すると2.18になり、他の地域より高いことがわかります。*4
次に住居費が高いのは神奈川県(1.05)です。*4
東京都・神奈川県は他の地域より家賃が高い傾向があります。
全国賃貸管理ビジネス協会が調査した資料(2024年2月調査)によれば、東京都の平均家賃は75,179円、神奈川県は65,037円です。全国平均家賃は55,689円であることから、東京都の家賃は全国平均より約2万円弱の差額となります。*5
一方、住居費が最も低いのは香川県( -1.45)、次いで鳥取県( -1.39)です。*4
鳥取県と香川県は10大費目の寄与度が全体的に低い傾向があり、「教養娯楽」「教育」などの費目も平均以下となっています。
住居費以外の費目も見ていきましょう。
食費で最も寄与度数が高いのは沖縄県(1.66)です。沖縄県の人は生活費の中でも食費に費やす割合が多いといえます。
光熱・水道費が高いのは北海道( 1.33)です。広い地域に人々がまばらに住んでいることから、送電コストがかかり、電気代が高くなります。*6
教育費の割合が多いのは和歌山県(0.78)です。和歌山県では、地域全体で役割を分担しながら共通の目標に向けて取り組む「きのくにコミュニティスクール」に取り組んでおり、教育に力を入れています。*7
住む地域の事情や環境により、生活費で「何を重視して使うのか」が変わってきます。
例えば、家賃が高い東京都では住居費が生活費の中でも多くの割合を占めており、食費や教養娯楽費、教育費なども掛かります。
自分が住む地域ではどんな費用が重視されているのかを知っておき、効率よくお金をつかっていきましょう。
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
出典
*1 宮崎県「消費者物価地域差指数の作成方法」P2
*2 総務省「消費者物価地域差指数」P2
*3 総務省「消費者物価地域差指数」P3
*4 総務省「消費者物価地域差指数」P13
*5 全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向」
*6 NHK「なぜ北海道の電気代は高いの?識者に聞いてみた①」
*7 和歌山県教育委員会「きのくにコミュニティスクールの推進」