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お金の資格を勉強しよう どんな種類がある?就職も有利になる?
お金の資格を勉強しよう どんな種類がある?就職も有利になる?

お金の資格を勉強しよう どんな種類がある?就職も有利になる?

22時間前に公開
提供元:横内美保子

お金の資格は、就職や転職、独立・開業の際に役立ちます。
また、資格取得のための勉強は、自身の家計管理やライフプランニング、資産形成にとっても有益です。

お金に関する資格にはどのようなものがあるのでしょうか。
その資格をもっていれば、キャリアにどのような影響があるのでしょうか。

お金の資格について、一緒に勉強していきましょう。


日商簿記検定

まず、大学生も取り組め、就職に役立つ資格として定評があるのが、「日商簿記検定」です。
大学や短大の推薦入試、単位認定の基準にも採用されているため、大変人気があり、年間で約60万人が受験しています。
*1

簿記は、企業規模の大小や業種、業態を問わず、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能です。

日商簿記検定は、「商工会議所法」という法律に基づく「公的試験」で、企業規模や業種、業態などに関係なく、ビジネス実務に直結する知識やスキルを重視しています。*2
多くの企業から高い評価と信頼を得ていて、昇進・昇格の条件、資格手当の対象にしている企業もあります。

また、1級合格者は、税理士試験の受験資格が得られるというメリットがあり、公認会計士や税理士といった国家試験の登竜門ともなっています。

日商簿記検定には、以下のようなレベルがあります。*3


2

表1 「日商簿記検定」のレベルと内容

出典)日本商工会議所・各地商工会議所「簿記 商工会議所の検定試験」


検定試験のサンプル問題が公表されていますので、興味のある方は一度、覗いてみてはいかがでしょうか。*4


日商簿記検定 サンプル問題

FP(ファイナンシャル・プランナー)

FPとは、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように、総合的な資金計画を立ててサポートする専門家です。*5


FPの種類

FPも、就職やリスキリングに役立つ資格として、大変人気があります。*6

一般的に普及しているFPの資格や検定には、国家検定であるFP技能士と、NPO法人 日本FP協会が認定する「AFP資格」、および「CFP®資格」(上級資格)があります(図1)。


3

図1 FPの資格

出典)日本FP協会「日本の資格・検定AWARDS 2024 -ユーザーが選ぶベスト資格・検定部門- 第2位CFP®・AFP資格/ファイナンシャル・プランニング技能検定」


3種類のFP資格の関係

上でみたFPの3つの資格には、関連性があります。*7

まず、AFP資格の認定要件として、2級FP技能検定の合格とAFP認定研修の修了が必須です。
そして、CFP®資格を得るためには、AFP資格を取得した上で、資格審査試験6課目に合格し、さらに一定の実務経験があることなどが必要となります(図2)。


4

図2 3種類のFP資格の関係

出典)日本FP協会「FPの資格と検定の種類」


FPの試験に向けてはさまざまなテキストや問題集が出版されています。
また、学生や社会人向けにFP講座を実施している大学も全国各地にあります。*8


日本FP協会「学生や社会人がFPを学べる大学一覧」

金融関係の業務独占資格

次に、「業務独占資格」と呼ばれる資格を中心に、5つの国家資格をご紹介します。

国家資格は、国の法律によって一定の社会的地位が保証されるため、社会からの信頼性が高い資格ですが、その分、難易度が高い試験や実務経験が課されており、本格的な勉強が必要です。*9

国家資格のうち「業務独占資格」とは、有資格者以外が携わることを禁じられている業務を独占的に行うことができる資格であり、独立・開業する際には必要になるものです。

まず、業務独占資格を4つご紹介します。


公認会計士

公認会計士の資格は、監査業務が行える唯一の国家資格です。*10

公認会計士試験は、金融庁の公認会計士・監査審査会が年に1回実施しており、試験概要は以下のとおりです。


  • 短答式試験(4科目、年2回実施)と論文式試験(5科目、年1回実施)で構成されている。
  • 短答式試験に合格した者は、その後2年間は短答式試験が免除される。
  • 論文式試験は、科目合格制が導入されているため、合格した科目については2年間免除される。

より詳細な情報は以下で公開されています。*11
公認会計士・監査委員会「公認会計士試験に関するご案内」

公認会計士の資格を得るためには、公認会計士試験に合格し、3年以上の実務経験を経て、日本公認会計士協会による修了考査に合格しなければなりません。その後、内閣総理大臣の確認を受けます。


税理士

税理士は、税務に関する専門家として、申告納税制度の理念にそって、納税義務者が適切に納税義務を果たすことを援助する仕事です。*12

税理士の資格を得るには、以下に該当する人が、日本税理士会連合会の税理士名簿に登録しなければなりません。


  • 税理士試験合格者
  • 税理士法に定める一定の要件に該当する者として税理士試験を免除された者
  • 弁護士
  • 公認会計士

税理士試験は以下の合計5科目すべてで60%正解すれば、合格です。*13


  • 会計学に属する2科目
  • 税法に属する科目のうち、受験者が選択する3科目

税理士試験は科目合格制をとっているため、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験することができます。

税理士試験を受験するためには、受験資格が必要です。*14


国税庁「税理士試験受験資格の概要」

社会保険労務士

社会保険労務士は次のように、社会保険の手続きなどを代行し、労務管理などの相談・指導にあたる業務も行います。*15


5

図3 社会保険労務士の業務

出典)全国社会保険労務士会連合会試験センター 社会保険労務士試験オフィシャルサイト「社会保険労務士制度について」



社会保険労務士になるためには、まず社会保険労務士試験に合格するなどして、社会保険労務士になるための資格を得る必要があります。
その上で、全国社会保険労務士会連合会の社会保険労務士名簿に登録します。

社会保険労務士試験は、「雇用保険法」「健康保険法」など社会保険に関する法律、選択式8科目、択一式7科目から出題されます。*16

社会保険労務士試験にも受験資格が設けられています。*17


社会保険労務士試験オフィシャルサイト「受験資格について」

宅地建物取引士

宅地建物取引業者は、事務所の規模、業務内容などに応じて、国土交通省令で定める数の専任の宅地建物取引士を、事務所ごとに置かなければならないとされています。*18

宅地建物取引士になるためには、宅地建物取引士資格試験(宅建試験)に合格する必要があります。
試験内容は、宅地建物取引業に関する実用的な知識があるか問うもので、日本国内に居住する人であれば、年齢、学歴などに関係なく、誰でも受験することができます。

以上みてきた、「公認会計士」「税理士」「社会保険労務士」「宅地建物取引士」の4つは、事業独占資格です。


中小企業診断士

中小企業診断士は業務独占資格ではありませんが、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を業務とする国家資格です。*19

中小企業診断士試験は、「経済学・経済政策」「財務・会計」など7科目の多肢選択式による筆記試験で、年齢、性別、学歴などに関係なく、だれでも受験することができます。*20


その他の民間資格

最後に、民間資格を2つご紹介します。


外務員

証券業務に従事するためには、外務員資格試験に合格し、外務員として登録を受けることが必要です。*21

外務員資格試験は、日本証券業協会が認定している民間資格で、一種外務員資格試験と二種外務員資格試験があります。

この試験は証券業務に従事する人だけでなく、最近は、証券取引のシステムやコンテンツの制作に携わる人、金融業界に興味のある学生、株式投資を新たに始める人、証券市場の基礎知識を身につけたい人など、幅広い人々が受験しています。


日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)

証券アナリストとは、証券会社などの金融機関で、企業や産業に関するさまざまな情報を入手し、将来のリターンやリスクを予測して投資の対象として価値があるかを分析、評価する仕事です。*22

また、その結果に基づいてレポートを作成し、株式、債券などの金融商品の投資を考えている顧客に対して助言やサービスを行います。

証券アナリストになるためには特別な資格は必要なく、大卒で証券会社、銀行、保険会社などに入社し、社内でさまざまな仕事を経験した後、適性に応じて証券アナリストになるのが一般的です。

資格としては、民間の「日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)」があります。


資格に興味が湧いてきたら

お金の資格が取得できれば、キャリアアップや転職、独立・開業といった人生の選択肢を広げることができます。

また、簿記やFPなどの勉強を通じて得られる知識は、家計や資産を管理する上で大変役立ちます。

厚生労働省の以下のサイトでは、資格名・職業名を入力すれば、その資格に関する業務内容、就業までの流れなどの情報が得られ、求人検索もできます。
*23


厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」

まずは興味のある分野にアクセスしてみてはいかがでしょうか。



本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。

出典
*1 日本商工会議所・各地商工会議所「簿記とは」
*2 日本商工会議所・各地商工会議所「検定試験のご案内」
*3 日本商工会議所・各地商工会議所「簿記 商工会議所の検定試験」
*4 日本商工会議所・各地商工会議所「簿記 サンプル問題」
*5 日本FP協会「ファイナンシャル・プランナー(FP)とは」
*6 日本FP協会「日本の資格・検定AWARDS 2024 -ユーザーが選ぶベスト資格・検定部門- 第2位「CFP®・AFP資格/ファイナンシャル・プランニング技能検定」
*7 日本FP協会「FPの資格と検定の種類」
*8 日本FP協会「学生や社会人がFPを学べる大学一覧」
*9 文部科学省「国家資格の概要について」
*10 日本公認会計士協会「公認会計士試験について」
*11 公認会計士・監査委員会「公認会計士試験に関するご案内」
*12 国税庁「税理士制度」
*13 国税庁「税理士試験について」
*14 税理士試験受験資格の概要
*15 全国社会保険労務士会連合会試験センター 社会保険労務士試験オフィシャルサイト「社会保険労務士制度について」
*16 全国社会保険労務士会連合会試験センター 社会保険労務士試験オフィシャルサイト「社会保険労務士試験の概要」
*17 全国社会保険労務士会連合会試験センター 社会保険労務士試験オフィシャルサイト「受験資格について」
*18 不動産適正取引推進機構「宅建試験の概要」
*19 日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士ってなに?」
*20 中小企業庁「令和7年度の中小企業診断士試験について」
*21 日本証券業協会「外務員・基礎試験」
*22 厚生労働省「職業情報提供サイト 証券アナリスト」
*23 厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」


横内 美保子
よこうち みほこ

博士(文学)。総合政策学部などで准教授、教授を歴任。専門は日本語学、日本語教育。高等教育の他、文部科学省、外務省、厚生労働省などのプログラムに関わり、日本語教師育成、教材開発、リカレント教育、外国人就労支援、ボランティアのサポートなどに携わる。パラレルワーカーでもあり、ウェブライター、編集者、ディレクターとして分野横断的な取り組みを続けている。

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