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トランプ大統領再選が日本企業や株価、生活に与える影響を徹底解説
トランプ大統領再選が日本企業や株価、生活に与える影響を徹底解説

トランプ大統領再選が日本企業や株価、生活に与える影響を徹底解説

2025/01/05に公開
提供元:Money Canvas

ドナルド・トランプ氏が2024年11月の米大統領選で再選したことで、米国のみならず、世界全体の経済や金融市場に多大な影響を与えています。
この政治的な出来事は、株式市場や為替動向、日本経済にとどまらず、私たちの生活にもさまざまな形で影響をおよぼす可能性があります。

本記事では、トランプ氏が掲げる経済政策や貿易戦略が市場や企業に与える影響をくわしく分析し、日本の一般家庭や投資初心者にとってどのようなリスクとチャンスがあるのかを解説します。
トランプ政権の再出発がもたらす変化を理解し、これからの経済環境にそなえましょう。


トランプ氏再選の概要と市場の初期反応

ドナルド・トランプ氏が2024年米大統領選挙で再選を果たしました。
この勝利は、経済再建や雇用創出を掲げた政策への期待、移民問題への強硬な姿勢、そして有権者層の支持拡大が背景にあります。
特に移民政策は、従来の支持層を超え、ヒスパニック系やアジア系の有権者からの支持を大きく広げる結果となりました。*1
ネバダ州ではヒスパニック系支持率が13ポイント上昇し、アジア系支持率も35%から57%に急増。これらが再選を後押ししたと考えられます。


トランプ氏再選による株式市場の初期反応

トランプ氏再選直後、世界の株式市場は大きく反応しました。
米S&P500は約2.5%上昇し、ダウ平均株価は3.6%の上昇を記録。金融株や産業株が牽引し、経済政策が企業収益を押し上げるとの期待が高まりました。*2

一方で、米国債利回りも上昇し、インフレや金利上昇への警戒感が浮上しました。日本市場でも日経平均株価が一時上昇し、米国経済成長の恩恵が期待されましたが、トランプ氏の保護主義的政策の影響は引き続き注目されています。


為替市場の動向と円相場の変化

為替市場ではドル高・円安が進行しました。
減税や規制緩和、インフラ投資拡大など、トランプ氏の経済政策への期待がドルの価値を押し上げたことが要因です。
円安は日本の輸出企業(特にアメリカへの輸出を主とする企業)にとって追い風となる一方、輸入コスト増加や物価上昇といった課題も浮上します。
日本政府は急激な為替変動に対し、適切な対応を取る方針を明らかにしており、今後の動向が注目されています。


トランプ政権の経済政策と株価への影響

トランプ氏の再選が市場に大きな波を立てています。減税政策や規制緩和への期待から株価の動向が注目される一方、貿易政策の変化が企業にリスクをもたらす可能性があるからです。
果たしてトランプ政権は市場にどんな影響を与えるのか?そのポイントをわかりやすく解説します。


減税政策と企業業績への期待

トランプ氏は前政権で法人税率を35%から21%に引き下げ、企業収益や株価上昇に寄与しました。
再選後はさらなる減税を掲げ、法人税率を15%に引き下げる計画を示しています。
*3

この政策により、企業の税負担軽減で利益が増加し、配当や設備投資の活性化が期待され、株価のさらなる上昇につながる可能性があります。


規制緩和と特定業界の株価動向

また、規制緩和への期待が強まり、特定の業界で株価の上昇が目立ちました。
たとえば、エネルギー業界では化石燃料関連株が買われ、航空業界では規制緩和による収益改善期待が高まっています。また、暗号資産業界でも、規制緩和の動きが投資家心理を押し上げ、市場が活発化する兆しが見られます。


日本企業と株式市場への影響

関税政策の強化や為替相場の変動は、日本企業や株式市場に大きな影響をおよぼします。
輸出企業の競争力と市場活性化の一方で、不確実性への対応が求められる可能性があります。
トランプ大統領再選が日本経済と株式市場に与える影響について解説します。


日米貿易関係の変化による日本企業への影響

トランプ氏の新たな関税政策として、輸入品に対して最大60%の関税を課すことが提案されています。
これにより、日本企業はコスト増加、サプライチェーンの混乱、投資の抑制などの影響を受ける可能性があります。*4
関税政策の強化により、特に日本の自動車産業が大きな影響を受けることが予想されます。
上述のとおり、サプライチェーンの再構築を余儀なくされ、コストが増加するリスクがあるでしょう。
また、為替相場の変動によって企業収益に悪影響をおよぼす可能性も考えられます。こうした状況の中で、日本企業は多角的な市場開拓が求められています。


為替相場の変動による日本の輸出企業への影響

トランプ氏の再選後、米ドルは他の主要通貨に対して強含みとなり、円に対しても価値を高めています。

この背景には、トランプ氏の経済政策に対する期待感から、米国での金利やインフレ率の上昇が見込まれていることが挙げられ、これが投資家の米ドル買いを促しているのです。*5
円安は日本の輸出企業にとって有利であり、日本製品の価格競争力が向上し、売上増が期待されます。しかし、トランプ氏の保護主義的な貿易政策や関税の引き上げが懸念されており、日本企業には慎重な戦略が求められます。
円安がプラスに働く一方で、政策リスクへの備えが必要です。


日本株式市場への影響と投資家心理

トランプ氏の再選を受けて、 円は1ドル=150円台後半に達する場面もありました。
この円安の進行は、 日本株式市場において輸出企業の株価を押し上げる効果があり、市場全体の活性化が期待されます。
しかし、一方で急激な為替変動は投資家心理に不安をもたらし、市場の不確実性を高める要因となるため、慎重な投資判断が求められます。


日本国民の生活への影響

日本の企業が受けるであろう影響のほかにも、米国の経済政策の変化が日本の生活に大きな影響をおよぼす可能性があります。
物価、雇用、金利の動向が家計に与える影響について解説します。


物価の変動と家計への影響

トランプ氏の再選によって、米国の経済政策が変化し、ドル高・円安が進行しています。
この影響で輸入品の価格が上昇し、特に食料品やエネルギーなどの生活必需品の値上がりが予想され、家計への負担増が懸念されます。*6

実際、再選直後には、ドルが1年ぶりの高値を更新し、円も3ヵ月ぶりの安値を記録しました。今後の経済情勢において、家計への影響はさらに注視する必要があるでしょう。


雇用市場への影響と賃金動向

国内市場の活性化や新産業の成長が進めば、雇用機会の拡大や賃金の上昇も見込まれます。ただし、影響は業種や企業により異なるため、状況を慎重に見まもる必要があります。


金利動向と住宅ローンなどの借入コストへの影響

米国の金利上昇により、日本でも金利が上昇し、住宅ローンや借入のコストが増加する可能性があります。
特に変動金利型の住宅ローンを利用している場合、金利上昇によって返済額がふえるリスクがあり、家計への影響が懸念されます。*7 

借入時には、今後の金利動向に注意を払い、将来の負担増加にそなえるようにしましょう。


トランプ氏再選を受けて投資家が知っておくべきポイント

最後に、これから投資を始めたり、株価について勉強したりしようと考えている人が、意識すべきポイントについて解説します。


株価変動の要因とリスク管理の重要性

株価変動の要因には、経済指標、企業業績、政治・社会情勢、市場の需給があります。
GDP成長率や失業率などの経済指標は企業業績に影響し、決算内容は個別株の価格に直接反映されます。
また、選挙結果や国際的な問題も市場に影響を与え、投資家の売買動向や市場流動性が需給のバランスを変動させるので、リスク管理の重要性が問われる状況です。


分散投資のメリットと具体的な方法

分散投資のメリットは、特定のリスクを軽減できることです。
地域・通貨の分散により、特定の国や通貨リスクを抑え、資産・銘柄の分散で株式や債券、不動産など異なるアセットクラスへの投資がリスクを減らします。

また、ドル・コスト平均法(一定額を定期的に投資することで、価格変動リスクを低減し、購入単価を平準化する投資手法)などの時間分散を活用することで、購入タイミングのリスクを緩和できます。*8


長期投資の視点と短期的な市場変動への対処法

長期投資では、感情的な判断を避け、一時的な市場下落に動じず冷静に対応することが重要です。
また、ポートフォリオの定期的な見直しで、資産配分がずれた場合にリバランスを行い、リスク管理しましょう。

リバランスとは、投資を始めたときに決めた資産の割合(株式と債券のバランスなど)が崩れたときに、それを元の理想的な割合に戻すことです。
たとえば、ポートフォリオにおける株式の割合が大きくなりすぎた場合には一部を売却し、債券などリスクが低い資産に再配分することでリスクをコントロールします。
半年から1年に一度の頻度でリバランスを行うと良いでしょう。さらに、市場や経済の知識を深めるための情報収集と学習により、適切な判断ができるようになります。


トランプ氏再選で変わるマーケット環境にそなえよう

トランプ氏の再選は、米国の経済政策により日本の株価や生活に大きな影響をおよぼす可能性があります。
輸出企業の競争力向上や株式市場の活性化が期待される一方、関税政策の強化や急激な為替変動がリスクとなります。

投資を始めたばかりで経験が浅い場合は感情的な判断を避け、分散投資やリスク管理を徹底し、長期的視点で市場の動向を見まもるようにしてください。



本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
本コラムの内容は、特定の金融商品やサービスを推奨あるいは勧誘を目的とするものではありません。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客さまご自身の判断でお取り組みをお願いいたします。

出典
*1 朝日新聞GLOBE+「米大統領選でトランプ氏はなぜ圧勝したのか 集める期待と懸念 日本が取るべき対応は」
*2 日本経済新聞「NY株1500ドル高、規制緩和期待 JPモルガン12%高」
*3 日本経済新聞「トランプ氏、法人税率15%に下げ 歳出減へマスク氏起用」
*4 アジア経済研究所「第2次トランプ政権が掲げる関税引き上げは世界経済と日本に何をもたらすか」
*5 三井住友DSアセットマネジメント「【マーケットの死角】米大統領選後のマーケット展望 トランプ再選がもたらす残酷な結末」
*6 東洋経済オンライン「トランプ再登板で日本人の生活はどう変わるのか第2次トランプ政権にとって主要な武器の中身」
*7 イーデス「トランプ再選と日銀の正常化政策は今後にどう影響するか?2024年12月の住宅ローン金利を専門家が予想」
*8 三菱UFJ銀行「【初心者向け】分散投資の方法3つと大切な理由を解説!」

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